第1話 ここから始まる異世界生活
異世界への転生が決まった後、ゼノ様とアナ様に簡単な説明を受けた。
まずはアナ様の管轄する世界のこと、名前を『フロム』と言うらしい。
この世界には、なんと剣や魔法が使えるらしい。魔物なんかもいるようだ。
最初は驚いたが、魔法があると聞いて嬉しかった。
だって魔法だぜ。火の球を出したり、風の刃で切り裂いたり……少しはしゃぎすぎたな。
それに魔物がいるといっても、普通に街で生活してる分には会うことはなく。危険はほとんどないらしい。
危険な所はあるみたいだが、行かなきゃいいだけだしね。
そして1番気になっていたゼノ様の力の一部の話になった。
「まずは、ワシの力を一部といっても神の力じゃ。普通の人とは違った力、これを持っていると知られるのはあまりよろしくないの。そこはお主が考えて使うこと。力の内容は……説明したい様じゃな。アナ頼めるか?」
「待ってましたー⭐︎あなたの得た力の内容なんだけどね。2つあります。まずひとつ……神の目!⭐︎」
(神の目?)
「そう。神の目を使いこなし成長すればありとあらゆる情報を瞬時に解析できたり。戦闘でも素早い攻撃を目で追えるようになるし、少し先の未来を予測したりと、とっても便利な能力ね⭐︎」
(もはやチートでは?)
「うーん。確かにすごい能力なんだけどね。解析するだけならまだしも。神の目だけじゃ戦闘になった時いくら相手の弱点が分かろうが、攻撃が見えたとしても身体能力が低ければ自分の攻撃は当たらないし、相手の攻撃は避けられない。ようはあなたも努力しなさいってことよ⭐︎」
(心の中を読んでる?)
「まぁ神様だしね。ちなみに心を読むのは神の耳の能力よ⭐︎」
「分かりました。努力します。」
「まぁ分かればいいんだけど、ちなみにあなたの身体能力値は……平均ね⭐︎」
「そうですか。分かりました。」
少しだけ期待している自分がいたが、仕方ないと思う事にしよう。こっちの世界でも運動神経は普通だったし。
「そして2つ目の力は…神の魔法ね⭐︎まず魔法について簡単に説明するけど、人によって使える魔法の属性の適正があるわ。適正がない魔法の属性は使えないの。これは生まれながら決まっているわ。魔法には6つの属性があって、火、水、風、土、光、闇があるわね⭐︎」
「なんかワクワクしますね。地球には魔法はなかったので。ちなみに私はどんな適正があるのでしょうか?」
「ちょっと待ってね。…あなたは『土』と…へぇー。『闇』ね!ちなみに光、闇属性の適正がある人は珍しいわ。これは喜んでいいことね⭐︎」
「土と闇か…分かりました。」
「そう。その2つの属性に加えて神の魔法ことゼノの固有魔法が使えるわ。これはゼノが説明した方がいいわね⭐︎」
ここで説明がゼノ様に代わった。
「そうじゃの。ワシの固有魔法は雷属性。なのでお主には土と闇に加えて雷属性の魔法の適正があることになるの。」
「雷属性!!カッコいいですね。それって使える者は?」
「ワシだけじゃよ。いや今はワシとお主だけになるの。」
「雷って…神の魔法だし、かなり強力な魔法なんじゃないですか?」
「そうじゃ。だから使い所は選ばなきゃいかん。それにワシの魔法!!雷魔法は音も範囲も桁違いじゃ。」
「それって使ったら1発で周りにばれるような……。」
「だから考えて使えと言ったんじゃよ。その力を知られたら。その力を利用しようとする奴、それに悪いやつらはどこの世界にもいるものじゃ。だから上手くやりなさい。フフッ」
「はい。」(よし。人前では絶対使わないようにしよう)
「まぁゼノの魔法が分かったところで次の話ね。ここが1番大切な話だから良く聞きなさい⭐︎魔法を使うには魔力が必要になってくるわ。魔力量も人によって決まっているのだけれど、あなたの魂にゼノの魔法の力が混ざった結果、魔力量だけはとんでもない数値になっているわ⭐︎」
「とんでもない数値って…アナ様の世界でいうと、どのぐらいの数値になりますか?」
「魔力量だけは、私の世界で1番ね⭐︎」
「世界で1番…それは隠せるものなのでしょうか?」
「んー。………そこは大丈夫よ⭐︎私がなんとかするわ⭐︎」
(なんだ。その沈黙は…嫌な予感がする。)
「ふーん。神様の言ったことが信じられないとでも?」
(心を読んだな…まずい。)
「分かりました。信じます。」
「ふーん⭐︎本当かなぁー。まぁいいけど⭐︎」
そこから転生する先を決めてもらった。
普通なら生を受ける時はランダムらしいのだが(そりゃそうだよね。)ゼノ様が転生先がとんでもない所だと心配じゃ。って……だからとアナ様にお願いしていたよ。
そしたらアナ様が貸しひとつと言っていたなぁ。神様の貸しって考えるだけで頭が痛くなりそうだけど……。
転生先は、そこそこ裕福な家庭の三男にしてもらったよ。あと1時間ほどで生を受けるらしい。
アナ様は最初は面白がって、だったら王族に転生させちゃう?とか笑って言っていたが、即断りました。
王族なんているんだなぁって思ったけど、王族とか肩こりそうだし。普通にのんびり暮らしたいしね。
そして準備が整うまでゼノ様アナ様と色んな話しをした。
今までの地球でのこと、こらからやりたいこと。
1時間はあっという間だった。
「おっ。そろそろだよ⭐︎」
「はい。色々ありがとうございました。」
「向こうの世界でも達者でな。あまり目立ちすぎるなよ。それに聞きにくかったのじゃが……ワシを恨んでいるかの?」
「いいえ。ゼノ様のことは恨んでいませんよ。あの亀裂は事故みたいなものなんですよね。確かに地球に心残りがないとはいいませんが……最後に親子を助けられて、死んでしまった所を、ここまで良くしてもらって、感謝しかありません。ありがとうございます。」
「良く出来た子ね⭐︎」
「そうじゃの。ワシの力が渡ったのがお主で良かったわい。決して無茶するではないぞ。世界が違えどお主を見ているからの。」
「うん⭐︎困った時は私に願いなさい。神の力を持つあなたなら声を届けることなら出来るはず。少しならアドバイスぐらい出来るから⭐︎」
体が光り出した。もう転生するのだろう。
「はい。ありがとうございます。では時間ですね。お二人ともお元気で、次は姿も見て見たいですね。では……行って……」
ヒュン!!
「転生したか。」
「そうね⭐︎でも本当に良かったの?神の力を一部とはいえ。そのままに転生させるなんて…」
「いいのじゃ。あやつ…がいる限りどこの世界にいようと危険はある。ワシの力があればなんとかなるかもしれんしな。それに、この子ならワシの力も上手く使って色んな人を助けてくれるじゃろうて。」
「そう。ゼノがそれでいいなら私は何も言わないわ⭐︎」
「どうか次の生は満足に生きて欲しいものよな。頑張るのじゃぞ。」
そしてここから異世界生活が始まったのであった。