第9話 マヤの森
マヤの森。
魔素が多く充満し、自然豊かなこの森は、豊富な資源はもちろんのこと。数多くの魔物も存在し、多くの冒険者が資源や魔物の素材を集めにやってくる。
単純に深部の方が良い資源が手に入るし、魔物の強さも高くなる。
魔物の素材の他に、マヤの森では年中採取出来る物がある。回復薬の原料になる回復草、解毒薬の原料になる毒消し草など、多岐に渡る。
これらも森の奥へ行けば行くほどに効果が変わっていき、(ポーション小•中•大など)薬になるのだとか。
回復薬などは需要がある為に値崩れもしにくく。初心者の冒険者からベテランまで安定した収入があることから、マヤの森は冒険者にとって人気の場所なのだとか。
ルーベンの住む街ドライカからマヤの森までは、およそ50キロほど離れている。
そしてドライカからマヤの森の間に複数の村があり冒険者は、それぞれ拠点にしながらマヤの森に潜るらしい。
村は冒険者に拠点の提供、素材の買取りなど。
冒険者は森の魔物の討伐と、持ちつ持たれつの関係なんだとか。
エナ村、ここも複数ある村のひとつ。
とある食堂。名は『レーベン食堂』。
「パパ!追加でオークの焼き肉定食2つ!!」
「はいよ!焼き肉定食2つね!!」
「しかし偉いなぁ〜アモちゃんは。まだ5歳なのに家の手伝いして。食堂の看板娘だしね。」
冒険者が手伝っている娘に声をかける。
「ありがとうございます。また食べに来て下さいね。」
そう。この子は先日の鑑定の儀で高い適正値を出した少女アモ•レーベン。
「よし。お昼時は終わったし休憩にしようか。」
「うん。」
「………アモ。ドライカに引っ越しの件…」
「もう。何度も言わせないで私はこの村、この食堂から出て行かないって言ったでしょ。ここはママとの思い出の……ぐすっ…それともパパはこの食堂嫌いになったの?」
「違うよ。ここは大好きさ。パパも離れたくはないよ。でもアモのことを考えるとだな……」
「次言ったらパパのこと嫌いになるからね!」
「そうか。わかったよ。」
ドタバタ!ドタバタ!
足音が聞こえてくる。森に潜っていた、冒険者達だ。
何か不穏な空気が漂ってくる。
「なにかあったのか?怪我人か?それなら早く治療を。」
「違うんだ。一斉に数多くの魔物が森から出てきている。ゴブリンにオーク、コボルト、ウルフに多種多様だ。とにかく数が多すぎる!戦える者は村の防衛を!ドライカには救援を向かわせた。」
「なんだって!?」
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〜ドライカの街〜
ドライカ騎士団。隊長室。
「隊長!ロキ隊長!!」
「どうした?ペンス副隊長そんなに慌てて。」
「それがマヤの森から大量の魔物が出現!危機を察した冒険者が村を囲まれる前に、急ぎこのドライカに伝えにきたそうで。その話を聞いて隊長にと報告しに来ました。詳しくはその者に。」
「なに?すぐ案内してくれ。」
〜騎士団詰所〜
「ご苦労だった。疲れているところ申し訳ないが、説明を。」
ロキが冒険者に詳しい状況を求めた。
「はい。今日も普段と変わらずマヤの森に潜っていたんですけど、奥から魔物が溢れ出してきたんです。通常は魔物ごとにナワバリがあり、お互い群れることはありません。でも今日は様子が違いました。森の奥から多種多様の魔物が出てきて…最初は対応していたのですが……徐々に対応しきれなくなりエナ村に退避しました。魔物の動きも早く、村が囲まれるのも時間の問題でしたので。村人がドライカに避難するのは困難と判断し、防衛戦に切り替えました。そこで私だけは、なんとかドライカに救援をと…魔物の数は村を出る時は、およそ100体はいたかと、今はもっと増えているかもしれません。パーティメンバーも他の冒険者達も。知り合った村人もいるんです。どうか…どうか…救援をお願いします。」
「なっ!!そんなにか……時間の猶予はあまりないと考えるべきか……ペンス!ドライカ全騎士に連絡!いいか。これは強制ではない。命にもかかわる。それでも勇気ある者は急ぎ出陣の準備をせよと。エナ村に救援に行くぞ!」
「はっ!直ちに!」
(まったくロキ隊長は…また上に相談もなく勝手に決めちゃって…)
こうしてドライカ騎士団がエナ村に救援しに行く事が決まった。




