第二十八話 固有能力と人体能力
獣人種のことは気にはなる。
けど、その前に……。
「鼻寅さん、一つ質問があります」
「はい。どうしましたか? 浸夜くん」
「前に森人種の人が空中に浮いているのを見かけたんですけど……。もしかして、種族毎に能力? みたいなものが備わってたりするんでしょうか?」
「いい質問ですね。その答えは、……正解です」
「では、次は各種族に備わってる能力について説明しますね」
鼻寅さんはそう言いながら。
『固有能力・人体能力』と書かれたページを開いた。
「各種族には、元々備わってる『固有能力』と『人体能力』の二つが存在してるんです」
「固有能力というのは、通常なら使用できない特別な能力のことです。この能力は、自分が使いたいと思った時に使用することができます。各種族の固有能力については、後で説明しますね」
「人体能力というのは、どこかしらの身体機能が優れている能力のことです。こちらも、詳細は後で説明します。ですが、わかりやすく例を挙げると、聴力が優れていたり、老化する速度が遅くなったりします」
「ですが、人体能力に関しては自分自身で使おうとするのではなく、常に発動状態なんです。なので、もし使いたくないと思っても、阻止することは不可能です」
「要するに、固有能力は制御可能。対して、人体能力は制御不可能ということです。少しややこしいですが、確実に違いは存在しますので、これから覚えていっても問題ありません」
「わかりました」
それぞれに備わってる適性能力。
それ以外にも、元々備わっている能力が二つ。
特別に備わってる固有能力。
身体機能が優れてる人体能力。
しかも、それが種族毎によって異なる。
確かに、少しややこしいな。
けど……。
「大丈夫です。鼻寅さんの説明が上手なので、よく理解できました」
鼻寅さんの説明が上手なお陰で、結構理解できた。
今の所、わからない点はない。
「それは良かったです」
鼻寅さんは、さも当然かのように振る舞っている。
けど、どことなく嬉しそう。
よく見ると、口元が徐々に緩んでいく。
明らかに、嬉しさが表情に滲み出ている。
パラパラパラ……。
またページをめくっている。
次に開いたのは、『種族 固有能力・人体能力』と書かれているページ。
そこには、今まで以上に大量の文字が書かれていた。
見ているだけで、頭が痛くないそう。
「ではでは、次に各種族に備わってる固有能力と人体能力について説明しますね」
「まず、浸夜くんと同じ練人種の固有能力は、『練眼』。人体能力は、『練度神速』です」
「練眼は、近くの物や遠くの物を正確に認識できる能力です。別名、近遠視とも呼ばれます」
「練度神速は、身体機能・体力・適性能力の熟練度の速度が異常なほど速い能力です。ですが、他の種族に備わってる人体能力以上の身体機能を身につけることは不可能とされています」
「浸夜くんの成長速度が早かったのも、この練度神速によるものだと思います。普通なら、ずっと寝たきりの状態から立って歩けるようになるには、最低でも二年は掛かるはずですから」
「そうだったんですか」
固有能力の練眼。
人体能力の練度神速。
まず、練眼。
近くの物や遠くの物を正確に認識できる能力。
これで、前に遠くの物をくっきりと認識できた理由が判明した。
更に、こっちは僕が使いたい時に使用可能。
僕はあの時、遠くの物を見ようと思った。
だから、無意識に発動できたってことか。
それと、練度神速。
身体機能・体力・適性能力の熟練度の速度が異常なほど速い能力。
確かに、異常なほど成長速度が速かった。
筋トレの成果についても同様に。
子供だから、こんなものなのかと思っていたが。
まさか能力によるものだったとはね。
これは……。
めっちゃいい能力なんじゃない?
いつでも近くの物や遠くの物を正確に認識可能。
接近戦と遠距離戦のどちらでも有利に戦える。
戦闘に向いた能力。
つまり、冒険者向きの能力だ。
そして、身体機能・体力・適性能力が身に付く速度が速い。
それは、この影の能力についても、上達速度が速いってことになる。
影の能力を極めるうえで、この人体能力は最高すぎる。
まだ、その影の能力が使えるようになるのかわからないけど。
とりあえず、いい能力だってことがわかった。




