第十三話 初めての外出
よし、では行こう。
いざ、外へ!
僕は玄関に移動。
まだ開店前のため、照明は消え、薄暗い。
僕は、右側にある下駄箱から紺色のスニーカーを取り出して土間に置いた。
そのスニーカーに両足を通し、靴紐をギュッと結んだ。
ついでに、今日のコーデ内容を紹介しよう。
白色のワイシャツの上に、暗赤色のベスト。
下は、黒色のスラックスを履いている。
本当は全身真っ黒にしたいところだが、母親に止められた。
今日の衣服も母親に選んでもらったものだ。
衣服屋ということもあり、ここには様々な衣服が揃ってる。
コーデの組み合わせも山のようにできる。
ということで、早速行きましょう。
僕はお店の扉に向かった。
扉は片開き式の木製。
サムターンが付いているから、内側から施錠可能。
ドアノブは、プッシュプルハンドルタイプ。
レバーじゃないから、子供の僕でも開けやすい。
僕はサムターンを右に回し、鍵を開けた。
ドアノブを両手で持ち、力一杯押した。
扉を開けた瞬間、隙間から涼しい風が入ってくる。
外に足を踏み出すと、朝特有の爽やかな景色が広がっていた。
ズボンの左ポケットから鍵を取り出し、扉の鍵穴に刺した。
左に回し、カチッという施錠時の音を聞き、鍵穴から鍵を抜いて、また左ポケットに閉まった。
でも、一応ちゃんと施錠できているか確認しよう。
念の為、ドアノブを左手で持って引いてみた。
結果……、開かなかった。
うん、ちゃんと施錠できてる。
ふと、空を見上げると、一面は雲で覆われていて、太陽が完全に隠れている。
現状、特に力が抜ける感覚はない。
やはり、原因は陽光で確定。
その理由は不明だけど。
とりあえず、原因がわかっただけでも儲け物だ。
原因がわからなければ、対策の仕様がない。
ということで、まずは冒険者組合に行こう。
で、乾牧さんたちに相談してみよう。
ここから冒険者組合は、徒歩三十分程度。
ただ、これは母親が歩けばの話。
当然、僕と母親とでは歩幅が異なる。
僕の場合は、恐らく四十分程度は掛かるはず。
現在、八時十分……。
到着時間は、九時頃を目標にしよう。
母親が言うには、今日はずっと曇みたいだから、別に急ぐ必要はない。
けど、雨が降る可能性があるらしい。
それはそれで嫌だ。
できれば雨が降る前に帰りたい。
てか、こんなこと考えてる場合じゃない。
速く行こう。
そして、速く帰って来よう。
外に出てから経過した時間……、六分程度。
僕はやっと歩き出した。
わかってはいたけど、やっぱり人が多い。
見られてないとわかっているのに、なぜか視線を感じる気がする。
僕は自然と目線を下にし、背中を丸くした。
いつもの癖だ。でも、悪い方の癖。
できれば治したい。
ジジ臭いし、カッコ悪い。
けど、そう簡単には治せないのが辛い。
なんというか、体に染み付いてしまっている。
まあ、いつかはどうにかしたいな。
いつかは……、ね。
あと。
やっぱり、凄い視線を感じる。
気のせい、だと思いたかった。
でも、どうやら違うっぽい。
ふと、顔を上げ、周囲を見渡した。
そこに映ったのは、人の姿。
更に言えば、目に映った全員と目が合った。
なぜか、こっちを見ている。
なんで、僕見られてんの!?
どこか変なのかな?
服? それとも顔?
いや、今は真っ黒な服じゃないし、顔にも隈はない。
なら、なんでだろう?
他におかしなもの……。
……。
あ、わかった。
このリュックだ。
よく見たら、全員の目線の先にあるのは、僕ではなくリュック。
その原因は、恐らくこのリュックが大人用だから。
子供が大人用のリュックを背負っている。
しかも、パンパンに荷物を詰め込んで。
多分、そんな大きな荷物を背負ってどこに行くんだろう?
と思っているんだ。
そっか。
じゃあ、別に僕が変だとか、そういう理由じゃないのか……。
良かった〜。
もしかして、どこか変なのかなって不安に駆られていた。
まあ、それがわかってもどうすることもできない。
なら、ここは我慢だ。
今の僕にできることはそれくらい。
あとは……、そうだな。
歩く速度を速めよう。
限界ギリギリまで。
じゃないと、最悪身が保たない……。




