第十話 強い男になる
陰歴二〇九九年九月六日。
あれから五ヶ月が経った頃――。
僕は三歳になった。
前世では、毎年誕生日プレゼントを貰っていた。
けど、どうやらこの世界は少し異なるみたい。
誕生日プレゼントを贈るのは、六歳と九歳の時だけ。
なぜかはわからないけど、そう決まってるらしい。
母親に聞いてみたら、
『う〜ん。確か、六歳と九歳の人間が合わさって、一人の神様になったから、とか聞いたことがあるんだけど……。ごめんね。母さんもよく知らないのよ。気づいたらなぜかそう決まってたような? そんな感じかな』
と言ってた。
母さんもよくわからないみたい。
まあ、禁止されてる訳じゃないから、別に送っても大丈夫みたいだけど。
母親はそいういう決まりをしっかり守る人だ。
だから、六歳になるまで誕生日プレゼントはなし。
前世では常に貰っていたから、少し切なく感じた。
あ。でも、ちゃんと誕生日会はしてくれた。
母親は料理も家事も人一倍できる。
けど、料理は得意というわけではなく、どちらかと言えば嫌いな方。
それでも、一生懸命作ってくれた料理を見て、僕は凄い嬉しかった。
それに、とても美味しかった。本当に……。
それはそうと……。
僕は最近、筋トレにハマってる。
理由は、強い男になるため。
以上。
別にふざけてるわけじゃない。
至って真面目。
というのも、僕は考えた。
今の僕ができること……。
やるべきことはなんなのか。
最初は能力が浮かんだ。
けど、今はまだ能力の使い方はわからない。
それに、その前に知らないといけないことがある。
家のことはわかったけど、この世界のことはまだ知らないことだらけ。
だから、能力を使うのはそれらを知ってからにする。
で、行き着いた先が、筋トレだったってわけ。
よく考えたら、まずは体を鍛えないと何もできない。
剣も触れないし、鎧も着れない。
女の子をお姫様抱っこすることもできない。
そんな時は来ないかもしれないけど。
それに、体力を付けないと長期戦になった場合、力尽きてしまう。
それは致命的すぎる。
能力と関係ないかもしれない。
けど、絶対に無駄にはならないことだ。
まあ、今できるのは、腕立て伏せと状態起こし程度。
当然、まだ大層なことはできない。
一応、一日に三十回を目標に行った。
無理がない程度……、だと思う。
でも、その成果はきちんと現れている。
筋トレを初めて三ヶ月ほどで、腹筋が薄っすら浮き上がり始めた。
前世で筋トレは一切しなかったから、速いのかわからない。
けど、この調子だと、結構速く筋力が付けられそう。




