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  作者: 黒死
第三章 陰から影へ(知識編:月世界)
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第八話 仮説

「でも、よくわかったわね。今まで、父さんの容姿のこと言ったことなかったのに」


「あー。な、なんとなく……ね」


 僕は目線をやや左下に逸らし、なんとか誤魔化そうと試みた。


 前世の父親がそんな容姿だったから〜。

 なんて言えるはずもないからな……。


「そう。じゃ、戻りましょ」


「うん」


 僕は立ち上がり、母親と一緒にその部屋を出た。

 母親は、また胸元から鍵を取り出し、その部屋に鍵を掛けた。


 ん?

 あれ……。


「ねえ、母さん」


「ん?」


「この部屋が父さんの部屋ってことはわかったけどさ。じゃあ、もう一つの鍵が掛かってる部屋は、なんの部屋なの?」


「あ〜、あの部屋は……。まだ秘密よ」


「えー。ついでだし、教えてくれてもいいじゃん。ケチ」


 プクっと頬を膨らませ、ちょっと駄々を捏ねてみる。

 思えば、初めてこんなこと言うかもしれないな。


「駄々を捏ねても駄目よ。だって、父さんと約束してるのよ」


「え、父さんと……」


「ええ。父さんが亡くなる数日前に、『いつになるかわからないけど……。きっと、浸夜に必要になる時が来ると思う。その時に、あの部屋を開けてほしい』って。そう言われてるの。だから、今はまだ開けられないのよ」


「そっか……」


 父親との約束なら仕方ないな。


 まあ、父親がが言った、


『必要になる時が来る』


 という言葉は、ちょっと気になるけど……。


 なんか、先を見据えてるみたいな言い方だよな。

 まるで、そうなることを知ってるみたいな。


 まあでも……。


「わかった。じゃあ、その時が来たら、また声をかけるよ」


「うん。お願いね。いつでも待ってるから」


「うん。ありがとう」


「ううん。じゃあ、母さんお店に居るから、何かあったらいつでも呼びに来てね」


 母親は、僕に向かって右手を振った。


「うん。わかった」


 僕は、母親に右手で振り返した。


 その姿を確認して、母親はお店の方向に歩いて行った。

 その後、僕は自室の方向に向かった。


 自室の扉を開け、中に入ってベットまで移動。

 両手をスプリングの効いたマットレスに手を置き、反動を使って前のめりになりながら上に上がった。


 ゴロゴロと体の向きを仰向けにし、両目を瞑って、ため息を一つ。

 そして、改めて考える。


 数分間に色々ありすぎた。

 まさか、父親が使ってた部屋だったなんてね……。


 まず、父親のことは予想してた。

 とはいえ、やっぱ衝撃が大きかったな。


 それに、ある仮説が浮かび上がった。

 それは……。


 ――この世界が、並行世界(パワレルワールド)だということ。

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