第七話 共通点の意味
「そう……なんだ。ありがとう。色々教えてくれて。けど、ごめんね。言いたくないこと聞いちゃって……」
「ううん。いいのよ。いつかは話さないといけないことだから……」
「そ、そっか……」
確かに、聞けて良かった。
けど、
『冒険者として……』
っか……。
この言葉の重さを実感する。
そして、冒険者という職業の重さも。
父親の死因はわからない。
でも、この言葉から予想はできる。
更に言えば、多分母親が僕に冒険者になってほしくなかった原因と直結してると思う。
母親が、僕に冒険者になってほしくない本当の理由。
それは、多分父親は……。
――魔獣に殺されたんだ。
だから、母親は僕に冒険者になってほしくはなかった。
父親のように、死んでしまうかもしれないから。
死んでほしくないから、本当ならあの時に止めたかったはず。
そう考えれば、全ての辻褄が合う。
あの時、応援するって言ってもらえた……。
けど、まだその気持ちは残ってると思う。
そう思うと、なんだか複雑な気持ちだ。
……でも!
だからこそ、絶対に冒険者になる。
どんな魔獣にも負けないように、この影の能力を極めて、強い冒険者になる。
もう二度と、母親に心配かけないように……。
「それに、浸夜が父さんの部屋のこと聞きに来てくれた時、母さん少し嬉しかったのよ……。浸夜も成長したんだなって思って」
「で、でも、本当は僕がもっと大きくなってから言うつもりだったんでしょ? なのに、なんで今日教えてくれたの?」
「あ〜、それはね。今日が、父さんの誕生日だから。いいタイミングだと思ってね」
「そっか。今日が……」
なるほど。
だから、今日僕に父親のことを教えてくれたって訳ね。
ん?
待てよ……。
「そういえば、母さんって今何歳なの? それに、よく考えたら誕生日も知らないや」
「あ、そっか。そういえば言ってなかったわね。えっと、母さんの誕生日は一月一日で、今二十七歳よ。因みに、父さんが亡くなった時は二十六歳で、母さんの一つ下だったわ」
「そうなんだ」
どうやら、二人とも誕生日は異なるみたい。
前世の父親は、八月八日。
母親は、九月六日だった。
しかも、同い年。
でも……。
「じゃあ……、二人が二十四歳の時に、僕が生まれたんだね」
「ええ、そうよ」
「そう……だよね」
前世の僕が生まれたのも、二人が二十四歳の時。
それに、母親は父親の一つ上って言ってたけど、誕生日が多少異なるだけで、生まれ年は同じ。
「じゃあ、そろそろ出ましょうか」
母親が立ち上がり、扉に向かっている。
「うん……」
なら。
もしかして、父親って……。
「あ、あのさ」
そう考えたら、不意に母親を飛び止めていた。
「ん?」
僕が呼びかけると、母親は反応して、こちらに振り向いた。
「もしかしてなんだけど……。父さんって、白髪に赤色の瞳をした人だった……、なんてことないよね?」
僕はやや苦笑いを浮かべながら、母親に問いかけた。
いや、そんなこと訳ない。
けど……。
「え? そうよ」
「え……」
「無害魔獣の木兎みたいな見た目をしてたわ。だから、お店の名前も『卯月衣服屋』にしたの。兎と月っていう意味を込めて」
「そ、そっか……。兎……」
その言葉を聞いた瞬間、一気に笑みが消えた。
無害魔獣? 木兎?
まあ、それはよくわかんない。
けど、兎っていう名前からして、僕が知ってる兎と同じ容姿のはず。
そっか……。
やっぱり、父親は兎みたいな容姿だったのか……。
それに、兎と月っていう意味を込めて付けた、卯月衣服屋という店名。
いいネーミングセンスだ。
けど、更にある可能性へと近づいていく。
ある、仮説へと……。




