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  作者: 黒死
第三章 陰から影へ(知識編:月世界)
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第四話 予想した人物

「え。な、何やってるの? 母さん……」


 僕は何事かと思い、目を点にしていた。

 しかも、不意に疑問が口から漏れた。


「ん? 何って、鍵を探してたのよ。ほら、万が一失くしたらいけないからね。いつも首に掛けてるの」


 母親は紐に繋がってる一つの鍵を取り出しながら、僕の質問に答えた。

 どうやら、いつも首に掛けているらしい。


「あ、あ〜。そういうことね。ビックリした〜」


 なんだそういうことか。

 いきなり何やってるのかと思ってヒヤヒヤしたよ。


 母親は不思議そうに首を右に傾け、僕を見つめていた。


 その後、母親はその鍵を扉の鍵穴に差し込んで右方向に回した。

 ガチャッという音が聞こえ、その鍵をさっきの位置まで戻して、鍵を抜いた。


 どうやら、鍵が開いたみたい。

 その鍵をまた胸元に仕舞い込んだ。


 母親は右手でドアノブを掴み、その扉を開けた。

 そして、僕に目線を向け、ニコッと笑いながら、小さく頷いた。


 僕は恐らく、


『入っていいわよ』


 ということだと思い、恐る恐るその部屋に足を踏み入れた。


「ここ……」


 真っ先に僕の目に飛び込んできたのは、ごく普通の一室。

 別に鍵を掛ける理由が見つからないほど……、いや。


 けど、違和感はある。


 というよりも、いつも見慣れてる部屋。

 僕の部屋と同じだ。


 部屋の広さ、クローゼットの色や大きさ。

 それに、机やタンスの位置まで、全て同じ。


 ただ、一つ異なってるのは、この部屋にはベットがない。

 その代わり、左側には……。


 ――大きな仏壇が一つある。


 全体に黒の漆塗りが施されていて、内部に金箔が貼ってある。

 台付きタイプ。


 その仏壇を見て、母親が僕に伝えたかったことを予想した。

 なぜなら、そのことを僕自身も気になっていた。


「なんとなくだけど、僕の部屋と似てるね。家具の位置までそっくり……」


 僕は敢えて、仏壇のことには触れなかった。

 間違いなく、母親はそのことを今日教えてくれるはず。


 なら、ここは僕からではなく、母親から言い出すのを待とう。

 もしかしたら、僕の予想が違ってる可能性もある。


 いや、間違っていて欲しいと、心のどこかで願ってるんだ。

 この予想は、当たっててほしくない。


「そうね。多分、それは浸夜の部屋にある家具を決めたのが……、あの人だったから。もしかしたら、意図的に合わせたのかもしれないわね」


「あの人……?」


「うん……。その人は、正義感の塊みたいな人でね。いつも誰かの為に……、誰かを、救う為に行動してたの……」


「そ、それって……」


 母親のその発言で、僕の予想が確信へと近づいた。

 もちろん、僕の顔からは笑みは消え、真っ青になっていた。


 その人物の正体。

 それは……。


「浸夜の……、父さんよ」


 ――父親だ。

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