表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 黒死
第二章 陰から影へ(転生編:月の兎と影)
58/88

第四十一話 月影浸夜の英雄譚

「ん? どうしたの、みんな。なんかビックリしてない?」


 巳手さんも母親たちの異変に気づいた。

 不思議そうに問いかけている。


「いや、だって……。久々に菖蒲がまともなこと言い出すから……」


「ええ。まさか菖蒲の口から、そんな最もな言葉を聞く日が来るなんて……」


「だ、大丈夫ですか? もしかして、熱でもあるんじゃないですか? やっぱり、奥で休んで来た方がいいですよ」


 あ、なるほど。

 みんなさっき言った巳手さんの発言にビックリしてたのか。


 何事かと思ってヒヤヒヤしてたけど。

 僕と同じ考えだったみたい。


「う、うん? とりあえず、褒めてはないね」


 巳手さんは少し目を細くしている。

 どことなく残念そう。


「僕だって、一応普段からちゃんと考えてるんだよー。全く失礼しちゃうなー、もう」


 巳手さんは頬を膨らませている。

 怒ってます感を醸し出していた。


 説得力がないにも程がある。

 今の所、ちゃんと考えてるようには見受けられない。


「え、それは嘘でしょ。菖蒲先輩、いつも何も考えてないじゃないですか」


 すると、鼻寅さんがジト目をしながら即答。

 しかも、結構容赦ない言葉を発した。


 ……ん?


 でも、鼻寅さんって確か。

 巳手さんの後輩だよな……?


 もしかして、さっきのことまだ根に持ってるのかな?


「ちょっとー。なんでそんなこと言うんだよー、野緖」


 巳手さんはそんなに……。

 いや、別に全然怒ってないみたい。


「だって、いつも適当なことしか言わないですし、気づいたら寝てるじゃないですか」


 け、結構ズバズバ言うね、鼻寅さん。

 流石に、仏の巳手さんも怒るんじゃない?


「うーん……。確かにそうだね」


 え。

 認めちゃうんですか、巳手さん。


「認めちゃったよ……」


 僕が思ってたことを、乾牧さんが呟いた。


「じゃあ、僕もたまにはいいこと言うってことで……。この話は終わろ〜」


「はい。わかりました」


 えっと……。

 とりあえず、鼻寅さんの勝利。


「で、どうやったら浸夜くんと結婚できるのか、みんなで考えよー」


 て、またそこに戻っちゃうの?

 もういい加減諦めようよ。


「まだ諦めてなかったのね……」


 流石に呆れてる母親。


「知らないですよ。いい加減諦めて下さい」


 多分呆れる、を通り越して怒ってる鼻寅さん。


「そうだよ。それに、そもそも浸夜くんが菖蒲のことを好きになるかわからないよ?」


 最もなことを叩きつける乾牧さん。


「う〜ん、そうだな……。じゃあ、浸夜くんが大きくなったら、また考えるよ」


 巳手さんはそう言って。

 僕をカウンターの上に下ろした。


 どうやら、やっと諦めてくれたみたい。

 僕は心の底から安心した。


 いや、大きくなったら?

 てことは、まだ完全には諦めてはないのか。


 お願いだから。

 その頃までに忘れてますように……。


「はい。そうして下さい」


「あ。そういえば、掛保先輩。人体検査結果の紙って、もう浸夜くんに渡してあげたんですか?」


「あ! すっかり忘れてた。ごめんね、浸夜くん。ちょっと待ってね」


 乾牧さんは、急いでパソコンを操作し始めた。


 ピピピッという機械音が鳴ったと思ったら。

 印刷機から一枚の紙が出てきた。


 乾牧さんはその紙を両手で取って、


「はい、浸夜くん。これが、現時点での君の登録記録だよ」


 そう言いながら、僕に差し出した。


 僕はその紙を両手で受け取り、じっと見つめた。

 その紙にはこう書かれていた。



 ◻︎人体検査結果


 冒険者組合登録年月日:陰歴二〇九八年九月九日


 名前:月影浸夜(つきかげしんや)

 適性能力:『影』

 種族:練人種

 生年月日:陰暦二〇九六年六月九日

 年齢:二歳

 契約:なし

 称号:なし



 その紙には、適正能力以外にも名前や今日の日付などが書かれていた。


 その中で、僕が一番に目に入ったのは、名前だ。

 この時、僕は初めて自分のフルネームを把握した。


 月影浸夜……。


 それが、今の僕の名前。


 うん。

 いい名前。


 今の僕にぴったりな名前だ。


 というのも、兎を飼っている人の間では。

 兎は亡くなったら月に帰ると言われている。


 つまり、月影の月は……兎。

 月影の影は……シャドウってこと。


 そのことがわかり、僕は改めて思う。


 前世で陰キャを極めた。

 僕、日白陽開は……。


 転生したこの異世界で月影浸夜として……。

 唯一無双だったこの影の能力を極める。


 そして……。

 今度こそ、憧れの存在に……。


 ――最強の英雄になる。


 この世界で、新たな人生を始めよう!


 僕、月影浸夜が。

 最強の英雄を目指す物語……。


 ――月影浸夜の英雄譚を!

【面白い】・【続きが読みたい】と思って頂けたら、是非ブックマーク登録と評価をよろしくお願いします。

評価は、下に☆☆☆☆☆の星マークを五つまで選択できるので、率直な評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ