第二十九話 依頼書受諾
周囲を見渡すと。
大勢の人たちが集まっていた。
鎧を身に纏い、左腰に剣を装備している男性。
黒色のローブを纏い、槍を背中に装備している女性。
その容姿から見るに、間違いなく冒険者だ。
普通の人が槍や剣を持ち歩くはずがない。
もしも、持っていたら問題だ。
逮捕されてしまう。
それに……。
恐らく、先程の試験闘技場で戦っていた人とは違う。
この人たちは、現役の冒険者だ。
その人たちは左右の壁に集まっている。
依頼書のようなものを見つめているみたい。
その依頼書を受けて、冒険者としての仕事をするのだろう。
それよりも、普段ならこれだけの人数が集まっていたら。
僕は確実に人混みに酔う。
けど、試験闘技場の後だからかな?
凄い少ないように感じる。
つまり、全然人混みに酔ってない。
とりあえず一安心。
すると、一人の鎧を身に纏った男性が依頼書を一枚手に取った。
そのまま前方に設置してあるカウンターに向かっている。
仮で、鎧男二号と呼ぼう。
他に特徴ないみたいだし。
そのカウンターの先に居たのは、先程言った鼻寅さん。
ちょっと無表情に見える。
ハッと何かに気づいたように反応。
鎧男二号に気づいたらしい。
と同時に、ニッコリと笑みを浮かべ始めた。
受付特有の作り笑顔だ。
「すいません。この依頼を受けたいんですけど……」
鎧男二号はそう言いながら、鼻寅さんに右手に持っていた依頼書を差し出した。
その声は震えており、少し緊張しているように見える。
「畏まりました。では、冒険者資格証をご確認されて頂いてもよろしいでしょうか?」
鼻寅さんはその依頼書を両手で受け取った。
「はい、わかりました」
鎧男二号は、右手でズボンの右ポケットからカードのようなものを取り出した。
「どうぞ」
そのカードを一度見て確認。
鼻寅さんに差し出した。
「お預かり致します」
鼻寅さんはそのカードを右手で受け取った。
そのカードを目の前にあるパソコンに差し込んで、何やら入力している。
「ありがとうございます。お返し致します」
その数秒後……。
そのカードを抜いて鎧男二号に手渡した。
「はい」
鎧男二号は右手でそのカードを受け取った。
そのまま、右ポケットの中に入れた。
「失礼ですが、本人確認のために氏名・適正能力・冒険者階級をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「はい。名前は、依受頼諾。適性能力は、水。冒険者階級は、塔です」
「ありがとうございます。こちら魔獣討伐依頼書ですが、お間違いありませんか?」
「はい。大丈夫です」
「畏まりました。では、こちら依頼書の受諾を確認致しました」
鼻寅さんは、鎧男二号に依頼書を両手で差し出した。
鎧男二号はその依頼書を右手で受け取り、
「ありがとうございます」
とお礼を口にした。
「とうぞお気を付けて」
鼻寅さんは鎧男二号に向かってお辞儀をしていた。
「はい。頑張ります」
鼻寅さんのその姿を見て、鎧男二号もお辞儀。
その後、冒険者組合の外に出て行った。




