表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 黒死
第二章 陰から影へ(転生編:月の兎と影)
44/88

第二十七話 いい戦い

 その頃、フィールド上では――。


 鎧男が地面に剣を刺し、膝を着いた。

 今にも前のめりになって崩れ落ちそうな姿。


 先程までは、気力だけでなんとか立っていた状態。

 更に言えば、その気力でなんとか戦えていた。


 だが、戦いが終わって緊張感が徐々に抜けた。

 それに伴い、全身に疲労感と痛みが駆け回っている。


 多分、今まさにその状態だろう。


 その姿からして、明らかに……。


 ――もう、戦えない。


 それは、僕以外の人たちも同様に思ったはず。

 フィールドにある四方の通路から、一人の男性が登場。


 桃色の髪に、黄色の瞳をした男性。

 年齢は二十代前半くらい。

 白色のローブを身に纏っている。


 名前わかんないから……。

 仮で、ローブ男と呼ぼう。


 ローブ男が鎧男に駆け寄り、何かを問い掛けている。

 それに対して、鎧男は首を横に振った。


 鎧男の反応を確認したローブ男は一度瞬きをした。

 その後、通路に向かって両腕をクロスさせ、誰かに何かの合図を伝えた。


 所謂、ばってんマーク。

 つまり、試合続行不可能の合図。


 すると……。


 ウイーーーン!


 という機械音が鳴り響いた。


 その音と共に、試験闘技場を囲う壁の上に異変発生。

 四角形の巨大なパネルが競り上がって突如出現。

 計四個あるのが確認できる。


 僕は咄嗟に、パネルのほうに目線を向けた。


 そこには――。


 見本戦人(みもとゆきと)

 最終討伐魔獣:中級(上層)。

 確定冒険者階級:()


 と表示されていた。


 そのパネルが出現した後。

 ローブ男が鎧男に肩を貸し、通路に向かって歩き始めた。


 その姿とパネルの内容を見て、観客の全員が拍手をしている。

 つまり、僕と母親もね。


 パチパチと手を打つ音が試験闘技場全体に響き渡った。

 これは、あの鎧男に向けての賞賛の意思表示。


 その賞賛の音が響く中……。

 二人は通路に入り、姿を消した。


 僕はそれを確認し、拍手を止めた。

 そして、今日の感想を述べる。


 ――とてもいい戦いだった!


 以上。


 けど、二つだけ疑問がある。


 それは、パネルに表示された内容。


 一つは、『最終討伐魔獣:中級(上層)』という文字。

 その文字から、あの土霊兵は正式には魔獣というらしい。


 もう一つは、『中級』という文字。

 中級ってことは、多分その上に上級が存在するはず。


 つまり、あの土霊兵よりも強い魔獣がいる。

 というよりも、人間よりも遥かに強い魔獣たちが……。

 この世界にはまだまだ居るってことになる。


 てことは、『冒険者階級:騎』っていうのも、まだ上の階級がある。


 そのことを理解して、僕は息を呑んだ。


 あの土霊兵よりも。

 更に強い魔獣がいるのか。


 そんなの……。


 ――そんなの、ワクワクしないわけないじゃないか!


 上には上が居る。

 そんなことは百も承知だ。


 だからこそ、その上に行けるように……。

 乗り越えられるように、努力を積み重ねて、強くなっていくものだ。


 だから、これから頑張る。

 必死に努力し続ける!


 そう思っていると。

 観客の人たちが徐々に立ち上がり始めた。


 どうやら、先程の戦いが最後だったらしい。

 観客の人たちは、続々と出口の通路に向かっている。


 母親も立ち上がり、その波に乗って出口の通路を目指して歩き始めた。

 母親は東の出口に向かっている。


 まだここが、この世界のどの位置に存在するのかはわからない。

 けど、家は東側の方向にあると思われる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ