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  作者: 黒死
第二章 陰から影へ(転生編:月の兎と影)
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第二十三話 土霊兵と人間

 ゴォーーーン。


 そうこうしている内に、フィールド上ではゴング音が鳴り響いた。

 そのゴング音と共に、フィールド上に居る土霊兵と鎧男が歩き出した。


 戦闘開始の合図だ。


 両者の歩く速度は速く、とても慎重。

 徐々にではあるが、確実に距離は迫っている。


 土霊兵の足取りは重く、一歩踏み出しただけでも、砂埃が舞うほどの重量。

 対する鎧男の足取りは軽く、足跡がつかないほど軽量。


 身軽さであれば、鎧男の方が優勢。

 力強さで言えば、土霊兵の方が優勢だ。


 両者の距離が四百センチ程度になった。


 鎧男はまだ進み続けている。

 前に足を踏み出そうと、右足を上げた。


 その瞬間……。

 土霊兵が瞬時に反応。


 右手を握り締め、鎧男の頭部に向かって殴り掛かった。

 どうやら、先行したのは土霊兵だ。


 だが、鎧男も気づいている。

 土霊兵の動きを見逃さなかった。


 鎧男は左手を前に突き出しながら、


炎壁(えんへき)!」


 と言葉を発した。


 すると、左手を中心に炎が出現し始め、徐々に分厚い炎の塊になった。

 次第に形が形成されていき、巨大な四角形の壁が構成された。


 凄い反応速度と対応力だ!


 とその前に……。

 わかったことが二つ。


 一つは、この世界にも能力のようなものが存在する。


 この鎧男は、今どこからともなく炎を出現させた。

 しかも、マジックやライターの類では出せないほどの火力量。


 けど、それが複数存在するのか。

 一人一つだけなのかは不明。


 更に、『炎壁(えんへき)』と言った途端、目の前に炎の壁が出現した。

 恐らく、能力を使うためには呪文のような言葉を発する必要がある。


 もう一つは、わかったというよりも、可能性としてあり得るだけだが。

 もしかしたら、僕も何かしらの能力を使えるかもしれない。


 まだ、各能力の必要条件などはわからない。

 けど、使えるようになる可能性はある。


 以上。


 ということで、戦闘を見よう。


 土霊兵が殴り掛かった右拳は、先程鎧男が構成した炎の壁に激突。

 だが、その炎の壁はびくともせず、土霊兵の攻撃を完全に防いだ。


 土霊兵の攻撃は、その巨体から見ても相当威力が高かったはず。

 炎の壁とぶつかり合った時も、ゴドンッと鈍い音が鳴り響いた。


 つまり、それ以上の硬度。

 または、同等の硬度を持った炎の壁をあの一瞬で出現されたのか?


 しかも、それだけじゃない。


 土霊兵の右拳は、炎による威力でジュウッーと焼ける音と共に真っ黒に焦げていた。

 その現象を見ただけで、炎の壁の強度と温度がどれ程のものなのか伝わってくる。


 能力のことは、まだわからないことだらけだ。

 けど、恐らくこの鎧男はかなりの使い手だと見受けられる。


 土霊兵は衝撃の影響で、咄嗟に右腕を引いた。

 右拳には火が燃え移り、轟々と燃えていた。


ギィギャアアアアア!


 いきなり土霊兵が叫んだ。


 次の瞬間、左腕から無数の岩を出現。

 その左腕は、約三倍以上の大きさにまで巨大化。


 土霊兵は左手を握り締め、先程の炎の壁に向かって殴り掛かった。

 確実に先程の右拳よりも威力が上だ。


 その放った左拳が炎の壁に激突。

 炎の壁は衝撃で歪み、徐々に亀裂が入って全体を駆け巡った。


 すると、遂に炎の壁が攻撃に耐えられず、崩れ落ちて完全に消滅した。

 そのまま土霊兵の左腕が鎧男の頭部に向かって迫っている。


 先程の炎の壁でも防ぎ切れないほどの威力。

 当たれば確実にただでは済まない。


 だが!


 鎧男は寸前で跳び上がり、間一髪で攻撃を回避。

 土霊兵の左腕が地面に減り込む。


 と同時に、その左腕の上に着地した。

 剣を振り上げられるように構えている。


 鎧男はそのまま走りながら、


炎纏(えんてん)!」


 と言葉を発し、両手で持っている剣を中心に炎が発生。

 まるで、纏うかのように轟々と音を立てて燃え上がっていた。


 鎧男は両手で持っている剣を自分の頭の位置まで振り上げた。

 土霊兵の頭部に向かって剣を振り下ろし、半分程度まで減り込む。


 その剣を中心に、土霊兵の頭部へ更に亀裂が入って行く。

 炎がその亀裂を徐々に広げ、頭部の左側が崩壊。


 崩れ落ちた岩片が地面に落下。


ギィギャアアアアア!


 その影響で、土霊兵はまた悲鳴を上げた。


 膝から崩れ落ち、地面に両手をついている。

 その衝撃でドスンッと鈍い音が鳴り響き、周囲には砂煙が舞っている。


 鎧男は後ろに跳び、回転しながら地面に着地。

 即座に土霊兵の左側に移動。


 そして、鎧男は土霊兵に向かって走り、


炎纏(えんてん)(ざん)!」


 と言葉を発し、先程以上に剣に炎を纏わせた。


「うおおおおおおお!」


 雄叫びを上げながら走っている。


 恐らくとどめを刺す気だ。


 炎の形状が先程とは明らかに異なっている。

 炎自体が斬撃みたいに、鋭く切れ味を持っているように見える。


 それに、土霊兵からは死角になっている。

 この攻撃が通れば、確実に決着がつく。


 ――と、思った。

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