第二十二話 試験闘技場
席に着いた……。
と同時に感じたのは、大勢の人たちからの視線。
けど、その視線は僕に向けられてるものではない。
その視線の先は、僕の真後ろ。
フィールドだ。
僕も後ろを振り向き、フィールドに目線をを向けた。
そして、さっきまで口元を押さえていた右手を離した。
無意識に口を開け、目を見開いて輝かせて一点を見つめた。
そう。
それは、フィールドだ。
そこには……。
黒色の髪と瞳をしたガタイのいい一人の男性。
全身に鎧を纏って両手で大剣を握り、目の前に構えている。
その先には、先程の男性。
仮で、鎧男と呼ぼう。
鎧男の目線の先には……。
普通の人間の十倍以上の大きさをした化物。
全身に岩を纏っている。
まるで、土霊兵みたいな化物。
ていうか、多分土霊兵。
フィールド上は、砂地。
直径六百メートル程度の円形場。
周囲の高さは五十メートル程度の壁で取り囲まれている。
その土霊兵が手を伸ばしても観客席に届かない程度の高さ。
最前列の前には柵がある。
観客がフィールド上に落ちないためだと思う。
四方には、その土霊兵が軽々通れる程度の通路が設置してある。
恐らく、そこから闘技場参加者がフィールド内に入って行くのだろう。
それと、少々気になる人たちが目に入った。
それは、最前席付近。
そこには、黒色の軍服を着て、白色のネクタイをしている人たちが立って居る。
頭には黒色の制帽を被っている。
人数はざっと見た感じ、二十人程度。
男女問わず居るみたい。
だが、男性の方が多数。
女性は少数みたい。
左右どちらかの肩には、ロケットランチャーのような武器を身に付けている。
見るからに、何かの職業に勤めている人たちだ。
その人たちはフィールドには目を向けず、観客席を警戒している。
明らかに、冒険者資格試験を観覧する目的でここに居る訳ではなさそう。
となれば……。
その格好から見るに、ここの警備をしている人たちの可能性が高い。
つまり、この世界にも警備をする人。
前世でいうところの、警察官みたいな役職が存在するということだ。
そっか。
なら安心だな。
というのも、僕は頭の中で思っていたことがある。
それは、この世界の治安について。
この世界に警察官みたいに、悪人を捕まえたりする役職がいなかったとしたら……。
間違いなく、争いごとが絶えないはず。
けど、この世界は僕が思っていたよりも安全な世界みたい。
それに、この観客の人数は少々異常なほど多いように感じる。
だからこそ、警備の人も雇って安全を確保しているというわけか。
つまり、この冒険者資格試験は……。
僕が思っている以上に、この世界の主要的な行事なのだろう。
そういえば、申取さんもそんなこと言ってたな。
けど、それには納得がいく。
なにせ、僕はさっきまで人混みに酔っていた。
だが、この光景を目の当たりにした途端、一気に酔いが覚めた。
それほどの圧倒的な出来事が、そこには広がっていた。
断言できる。
これを見て興奮しない人はいない。
それが、男性や僕のような子供なら尚更だ。




