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  作者: 黒死
第二章 陰から影へ(転生編:月の兎と影)
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第十四話 勇気と力

 いや、気のせいかもしれない。

 それに、もちろん人間と兎とでは容姿は全く異なる。


 けど、 うまく言葉にできないが、なにかの縁のようなものを感じる。

 まるで、心の中で切り離したものが再び繋がったような……、そんな感じだ。


 しかも、シャドウの面影を感じると言っても、黒色の髪に紫色の瞳の人間はそんなに珍しくはない。

 これは僕の思い違いで、ただの偶然かもしれない。


 容姿だけなら……、ね。


 だが、それだけじゃない。

 シャドウを飼い始めたのは、生後一ヶ月くらいの時から。


 まだシャドウが生きていた時。

 兎のことをもっと知ろうと思って、動物に関する本を何冊か読んだことがある。

 その中に、『兎の年齢と人間の年齢』という本があった。


 その本には、兎の年齢と人間の年齢の違いについて書かれていた。

 兎の一ヶ月を人間の年齢に変換すると、大体二歳くらいらしい。


 ちょうど、僕が転生したこの子も二歳くらい。

 つまり、容姿も年齢もシャドウを飼い始めた時と合致する。


 これは、果たして偶然なのだろうか……。

 偶然にしてはあまりにも出来すぎている気がする。


 そう考えていると、次第に呼吸が荒くなっていき、身体中の毛穴から汗が吹き出るようだった。


 僕は下に目線を向け、両目を瞑って頭の中でシャドウの姿を想像した。

 そして、シャドウに語り掛けるように思った。


 なあ、シャドウ。


 やっぱり、あの時(十二歳の時)のことを……。

 僕のことを、恨んでるのか?


 自分を助けてくれなかった奴が、今更何を変えられるんだ。

 お前なんかが、英雄になんてなれない。


 そう言われてる気がした……。


 ……。


 いや、ちょっと待て!


 それは僕自身が今思っていることだ。

 一旦落ち着こう。


 そして、考えろ。

 このままでは、今までの自分と何も変わらない。


 仮にその考えを導き出したとしよう。

 それで今までみたいに、また後悔して絶望するのか?


 ……違うだろ。


 それをシャドウが望んでいるのか?


 ……そんなはずない。


 僕は決めたはずだ。


 変わるって。

 変えていくって。


 だから、逆の視点で考えろ。

 シャドウの気持ちになって、答えを導き出せ。


 シャドウは僕の大切な家族で、掛け替えのない存在だった。

 いつも僕を支えてくれていた。


 そうだ。

 いつも僕に寄り添ってくれた。


 いつも僕に勇気を……。

 力を与えてくれていた。


 だから、僕はあの頃まで頑張れたんだ。


 きっと僕一人だけだったら、直ぐに諦めていた。

 もしかしたら、そのまま全てを投げ出してたかもしれない。


 けど、シャドウのお陰で、いつも前を向くことができた。

 一歩踏み出し、進むことができた。


 そして、やっと僕はある結論を導き出した。

 それが答えだと、そう思った。


 そうか……。


 だとしたら、シャドウは僕に変わるための勇気を……。

 力を与えてくれてるんじゃないか?


 自分が支えるから。

 だから、前を向いて。

 一歩踏み出して。

 そのまま進み続けてよ。


 きっとシャドウなら、そう言ってくれるはずだ。


 そう考えれば、この容姿にも、年齢にも納得がいく。


 ということは、これはシャドウから僕へ向けての、一種の試練なんじゃないか?


 人間は変わろうと思っても、そう簡単には変われない。

 それを僕自身もよくわかっている。


 だからこそ、シャドウが僕に変わるための勇気を……。

 力を与えてくれている。


 今も尚、僕に寄り添って、支えてくれている。


 そんな気がする……。


 だから、ここで……。

 この世界で、己の中にある後悔と絶望を乗り越えろってことじゃないか?


 自分勝手な結論かもしれない。


 けど、だとしたら僕はこの試練を絶対に乗り越えてみせる。

 いや、なんとしても乗り越えないといけない。


 自分の為にも。

 シャドウの為にも。


 だから、僕は必ずこの世界でこの試練を乗り越える。


 この世界で今度こそ憧れの存在に……。


 ――英雄になる。

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