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  作者: 黒死
第二章 陰から影へ(転生編:月の兎と影)
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第十三話 面影

 お腹が膨れて頭が働いたことで、僕は急にあることが気になった。

 それは、僕の容姿についてだ。


 そんなに重要なことではない。

 なんとなく気になっただけ。


 まだ父親がどんな人なのかはわからない。

 けど、この母親に似ているのなら、僕もかなりの美少年のはず。


 僕は胸を高鳴らせて、周りを見渡した。

 机の上にある一つの鏡を発見。


 お、ちょうどいい感じの鏡があるじゃん。

 あの鏡なら僕の容姿を確認できそう……、だけど。


 残念ながら、僕じゃ届かない位置にある。

 うん、やむを得んな。


 こういう時は、母親に取ってもらおう。


 僕は母親に目線を向けつつ、その鏡を右手人差し指で差した。


「ん?」


 母親は疑問そうな声を漏らしながら、頭を右に傾けた。

 その指が差したものを目で追って、ちょうどその鏡が目線に入った地点で一時停止。


「あ。もしかして、あの鏡が欲しいの?」


 母親は右手人差し指で僕が取って欲しい鏡を指差しながら、僕に問いかけてきた。


 先程の本を指差した時のように、僕が伝えたかったことをわかってくれたらしい。

 僕は母親からの問いに対して返事をする代わりに大きく頷いた。


 その姿を確認し、母親は椅子から立ち上がって、鏡が置いてある机まで移動。

 両手を伸ばしてその鏡を取り、またベットの方に戻って来た。


「はい、どうぞ」


 母親はそう言いながら、僕に手渡してくれた。

 僕は両手で鏡を受け取った。


 母親に向かってニッコリと笑って気持ちを伝えた。

 すると、母親も同じようにニッコリと笑って嬉しそうだった。


 僕は母親の反応を確認したあと、両手に持っている鏡を覗いた。


 そこに映ったのは……。


 ――黒色の髪に、紫色の瞳をした子供だった。


 年齢は、恐らく二歳くらいだと思う。

 予想していた通り、母親に似てかなりの美少年だ。


 うん、嬉しい。

 嬉しいはずなのに……。


 あれ?

 変だな。


 なんだ、この違和感は。


 僕は徐々に顔から笑みが消えていった。

 顔は蒼ざめて、絶望に似たような表情に変わっていく。


 僕はそのままの状態で鏡を凝視し、そこに映った自分の姿を見つめた。

 なぜなら、心の中にある何かに引っ掛かるような、嫌な違和感を感じたから。


 その理由は二つある。


 一つは、前世の姿とはかなり異なる容姿だったから。

 まあ、当然といえば当然だ。


 目の下に隈もないし、寝癖も付いてない。

 至って健康体であり、髪質もいい。


 そこは全然重要じゃないからいいや。

 重要なのは、もう一つ。


 それは……。


 ――昔飼っていた兎、シャドウの面影を感じるから。

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