表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 黒死
第二章 陰から影へ(転生編:月の兎と影)
25/88

第八話 診断結果

「はい。じゃあ、あ〜んってお口を大きく開けてね」


 花守さんは右手にペンライト。

 左手に舌圧子を持っている。


 僕は花守さんの言う通り、大きく口を開いた。

 僕が開けれる限界ギリギリまで、まるでカバみたいに。


 花守さんは舌圧子で僕の舌を押さえ、ペンライトで口内を照らしている。

 更に、顔を近づけて口内を凝視。


 何かを確認しているようだった。


 ほんの数秒で舌圧子をとペンライトを戻してトレイに置いた。

 でも、異常がないのかはわからない。


「はい。お熱測るね」


 花守さんが次に左手で取ったのは体温計。

 それの真上のボタンを押し、ピッという機械音が聞こえた。


 花守さんは僕の左上腕を右手で掴み、首元からそれを服の内側に入れて左脇に挟んだ。


 そのまま数秒後、ピピピッという機械音が聞こえた。

 その音が鳴ったと同時に、花守さんが体温計を取り出した。


 それを確認し、トレイの中へ。

 やはり大丈夫なのかどうかは教えてくれない。


「はい。ばんざいしようね」


 花守さんが次に右手で取ったのは聴診器。

 それの耳管部を両手で持って首に掛けた。


 白衣もそうだけど、聴診器があるだけで医者感がぐんと上がった気がした。

 まあ、聴診器は医者しか使わないからだと思う。

 白衣は医療関係者なら全員着てるし。


 まあそれはいいとして。

 僕は花守さんに言われた通り、両手を上げた。

 両肘がピーンと直線になるくらいまで。


 花守さんは聴診器の耳管部を真上からハの字になるように開き、イヤーチップを両耳に装着した。

 チェストピースのベル型を右手で持って、僕の胸に膜型が密着するように当てた。


 そのまま花守さんは両目を瞑り、計五箇所に当てて肺の音や心臓の音を確認。


 また数秒後、チェストピースを離して両目を開けた。

 と同時に、聴診器の耳管部を両手で持って、また首に掛けた。


 とりあえず、鞄から取り出した器具は全て使い終わった。

 どうやら、一通り診断が終了したっぽい。


「うん……」


 花守さんは一人でに一度頷いた。

 その後……。


「特に体に異常はないみたいですね。至って健康です」


 扉付近に立っている母親(仮)に目線を向けて、僕の診断結果を報告。


「そうですか。何もなくて良かったです……。本当に」


 花守さんの言葉を聞いて、母親(仮)は安心ているみたい。

 それにさっきから心配そうな目つきをしていたから、何も異常がなくて僕も嬉しいよ。

 

 てか、僕が知っているごく普通の診断内容だったな。

 まあ、得体の知れない器具で、体を隅々まで検診されるよりかは全然いいけど。


 何はともあれ異常がなくて本当に良かった。

 これでどこか異常があったら、この母親(仮)は驚き過ぎて倒れてしまいそうだ。


「ただ、まだ何が起きるかわかりません。なので、無理がない程度なら問題ありませんが、なるべく安静にさせてくださいね」


「は、はい。わかりました」


 そのあと、花守さんは診断で使用した器具を鞄の中にしまった。

 鞄を右手で持って立ち上がった。


「では、私はこれで失礼しますね」


「はい。先生、今日はありがとうございました」


「いえ、また何かあればご連絡下さい」


「はい、わかりました」


 母親(仮)の返事を聞いて、花守さんは扉に向かって歩いて行った。

 だが、なぜかドアノブに手を掛け、扉の前で立ち止まった。


「あ、そうだ。浸夜くんのお母さん」


「あ、はい」


 花守さんが母親(仮)の方に振り向き、


『浸夜くんのお母さん』


 と呼ぶと、母親(仮)が反応して花守さんに目線を向けて返事をした。


 つまり、この母親(仮)は、やはりこの浸夜の……。

 いや、僕の母親ってことだな。


 そっか〜。

 この人が、これから僕の母親か。


 改めて思うと凄く優しそうだし、めっちゃ綺麗だ。

 それに、こんなに胸がお……。


 いやいや、そこじゃない。

 落ち着け。


 一旦深呼吸をしよう。

 は〜、ふうー……。


 よし。

 こ、こんなにもスタイルがいいなんて……、ね。


 危ない危ない。

 ここに前世の母親が居たら、間違いなくいつもの怖い笑みで怒られてたわ。


 もちろんこの母親を好きになったとしても、恋愛対象としては見ないけどね。

 あくまで母親として、家族としてだ。


 なんでこんなことを言うのかというと……。

 それは、僕が五歳の頃に両親と交わした会話が原因。


 その会話がきっかけで、僕は父親が抱いている男性特有の願望。

 そして、母親の恐ろしさを実感した……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ