表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: 黒死
第二章 陰から影へ(転生編:月の兎と影)
18/88

第一話 涙の真相

 ――どこだ、ここ……。


 僕は寝起きがとても悪い。

 一度の覚醒で意識がはっきりしたことはほぼない。


 だが、今回は一度の覚醒で完全に意識もはっきりしてる。

 瞼に関しても、力を入れずに自然と開いた。


 目に飛び込んできたのは、見覚えのない天井。

 天井が見えるということは、今の僕は仰向けの状態。


 背中には全身を包み込むような寝心地のいいマットレスの感覚。

 どうやら、今の僕はふかふかのベットの上に居るみたい。


 僕はそのままの状態で周囲を見渡した。

 恐らく病院だと思う。


 けど、それにしては病院ぽくないというか……。

 いい意味で家庭的な一室だった。


 というのも、周りには机や家具などが配置してあり、生活感であふれている。

 普通、病院なら家具はないはず。


 多少違和感はある。

 けど、とりあえずこの場所を病院と仮定しよう。

 それ以外の場所が思いつかない。


 そして、確実に分かったことがある。


 それは……。


 ――僕はまだ生きていて、どうやらこの場所は天国でも地獄でもないということだ。


 死んだと思ったが、どうやら僕の人生はまだ続くみたい。


 うん。

 とりあえず、何はともあれ無事に生きてる。


 そのことがわかって安心し、僕は吐息をついた。


 まあ、それでも疑問は残る。


 それは……。


 ――あの女性の安否について。


 僕が生きてるってことは、あの女性も生きている可能性が高い。


 けど、この部屋には僕以外に誰もない。

 ということは、ここは個室。


 つまり、あの女性を確認できな……、ん?


 そういえば、確か病院にはナースコールがあるはず。

 なら、それで誰か呼んで、あの女性のことを聞いてみよう。


 よし。

 ナースコール、ナースコール……。


 僕は首を左右に向けながら、周囲を確認。


 そして、探した結果……。


 ――ない!


 あれ?

 おかしいな。


 普通病院なら、ベットから手の届く範囲にあるはずなんだけど……。


 すると、部屋の扉が開いて一人の女性が入って来た。


 黒色の髪を低い位置でロール状のおだんごにしている。

 黄色の瞳をした女性。


 恐らく二十代半ばくらい。

 しかも、美女だ。


 衣服は、白色のワイシャツの上に赤色のカーディガンを着ている。

 下には、黒色のチノパンツを履いている。


 見た感じ、多分日本人だと思う。

 けど、間違いなくナースじゃない。


 心のどこかでナース姿を期待していた僕は、少しばかり落胆した。


 いや、男性の人ならわかってくれるはずだ。

 この男性特有の願望とも呼べる感情を。


 だって、意識がない間に病院らしき場所で覚醒したんだよ?

 なら、ナース姿の看護師が様子を見にきてくれるのは定番の流れじゃないですか。

 追加で、美女の看護師が。


 多分、それを期待して入院する人もいると思う。

 断言はできんけど。


 つまり、我々男性陣の頭の中では、病院=ナースなのだ。


 そうだろみんな?

 僕はそう信じてる。


 そんなどうでもいいことを、頭の中で誰かに語りかけるように思っていた。

 そうしていると、女性は僕がいるベットの横まで移動。


 こちらに体を向けたと思ったら、なぜか中腰になって僕の顔を覗き込んできた。

 当然、僕と目が合った。


 僕は至近距離で美女と目が合い、緊張して固まっていた。

 けど、どうやらそれは僕だけじゃないみたい。


 女性も僕と同じように、そのままじっと固まっていた。

 まるで、時間の流れが止まったかのように見つめ合っていた。


 だが、次の瞬間……。


 ――女性は、嬉しそうに涙を流した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ