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  作者: 黒死
第一章 陰から影へ(前世編:白龍)
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第十二話 十二歳の真夜中

 陽暦二一〇八年六月十三日。

 僕が十二歳の時に起きた出来事。


 因みに、シャドウが六歳くらいになった時だ。

 シャドウは飼い始めた頃よりも成長し、僕の頭くらいまで大きくなっていた。


 それに、最初はできる限り触れ合っていたかったから室内で飼っていた。


 特に夜は僕の布団で一緒に寝るのは定番。

 それが一番幸せな時間だったかもしれない。


 そして、朝起きたら僕の布団にシャドウのウ○コがあるのも定番。

 その掃除をするのは、一番不幸せな時間だったかも……。


 まあ、それでも一緒に寝たいんだけどね。


 けど、シャドウが成長するにつれて、行動範囲も格段に増えた。


 どれくらいかというと、階段を自力で登って僕の部屋に突撃するくらい。

 突撃って言っても、ただの頭突きです。


 更に、今でもその頭突きの跡が残ってる。

 扉にくっきりと……。


 しかも、これがめっちゃ凹んでるんですよ。

 シャドウの顔の形がつくほどに。


 当然、そのあと母親に怒られてました……。


 ――僕が。


 もちろん母親は笑顔で。

 更に、禍々しいオーラを醸し出しながら。


 なので、その頃は庭に小屋を作って飼っていた。


 いや、わかってる。

 僕だって、シャドウと一緒に居られないのはとても悲しい。


 けど、このまま室内で飼い続けたら、家が崩壊してしまう。

 シャドウはそれほどの破壊力を身につけてしまったんだ。


 それに、シャドウが頭突きして残した無数の跡。

 それを見た母親の怒りは、そのあとすべて僕に矛先が向く。


 このままでは僕の命も危ない。


 だが、正直庭で飼うのも不安はある。

 それは、車道に出ないかという不安だ。


 というのも、庭で飼い始めて数日が経った頃。

 なぜか胸騒ぎがして、シャドウの様子を見に行った時のこと。


 突然シャドウが小屋から飛び出し、車道に向かって走り出したことがあった。

 その時は僕が近くに居たから間一髪でそれを阻止。


 シャドウは名前通り、本当に車道が好きらしい。

 なので、いつ車道に出るかわからない。

 で、不安な訳です。


 それに、僕も常に一緒に居る訳じゃない。

 なぜなら、学校に行かないといけないから……。


 なので、小屋本体と扉に金具を取り付け、南京錠を掛けていた。

 因みに、ダイヤル式。


 これなら流石のシャドウも抜け出せないはず。


 そう思っていた……。


 けど、事件は起きた。


 その日の真夜中。

 完全に陽は沈み、辺りには闇がたちこめていた。


 外に出て、ふと、空を見上げると、綺麗な月が顔を出している。

 その日は、日の丸のように大きな月で、卯の花のように真っ白だった。


 つまり、満月だ。


 因みに、今僕の左手にはペレットフードをたっぷり入れたボウルがある。

 そう。皆さんお察しの通り、シャドウの夕食です。


 空を見上げたあと、僕はシャドウが居る小屋まで移動。


「シャドウ。ご飯だよー」


 シャドウに夕食をあげようと小屋を覗いた。


 けど……。


 ――シャドウは居なかった。


 そこに居るはずなのに、影も形もなかったんだ。

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