雷神トールの両腕と哀れな山羊VS現雷神陣営
今回主人公以外の視点の話になりますが色々と考えた結果、閑話にはなりません。
雷鳴轟く荒野を2頭のねじれ2対角の山羊が縦横無尽に疾走していた。2頭が通った場所を後追いするように雷が地を走る。2頭の角に巻き上げられた者達を空中では稲光とともに雷が抱擁し、熱烈な歓迎に声もなく身を灰にしていく雷神陣営の者達。
その光景を苦虫を噛み潰したような顔をして眺めている老鬼神の姿をした雷神。
「なんなのだ、アレは…。なぜ、儂の加護を授けた戦士たちが雷にやられておるのだ。雷避けのバフがまるで効いておらん。こんなこと聞いておらぬ。奈落神の配下に儂よりも高位の雷神がついて居るなど聞いてないのだ。こんなことになるくらいなら参加などしなかったのだ。」
誰に対しての愚痴なのか、予想外すぎる出来事を目の当たりにして雷神の戦意は完全に喪失された。だが、この戦場に捕虜制度は無い。あるのは敗者には絶対の死を。
「オラオラァ!雷神を騙る雑魚神、出てこいやぁ!」
「我らが雷神トール様の許しを得ずに雷神を名乗るたァ、いい度胸じゃねぇか!?」
「今なら雑魚神の首で許すと雷神トール様は言っているゥ!」
「チャンスは1度きり!雑魚配下全て灰にしてからが良いならそのまま指をしゃっぶってろぉ!」
「ぐぬぬ」
「お?そこだな?」
「みつけたな?」
「雷神トール様ァ!行ってらっしゃいませ!!」
「らっしゃいませ!」
2頭は雷神トールの両腕を角で雷神へ向けて打ち飛ばした。狙いは見事に命中した。
ドーン!!
「ぐあああああああああああ!?な、なぜ雷のダメージが儂に!?」
ガシッ!ぎりぎりぎりぎり
「あああああああ!?神力を奪われる!?な、舐めるなぁぁぁぁぁぁぁ! 」
ゴロゴロ、ドーン!
「ふははは!儂の最大落雷だ!流石に高位の雷神とは言え効くだろ!」
ギュルルル
「は?わ、儂の落雷のエネルギーも吸収しとるだと!?や、やめんかい!!」
ゴロゴロ、ドーン!ドーン!
「くっそくそくそくそくそくそくそ!!」
「…温い怒槌だな。最近のはなってない。まったくなっていない。」
「ゼェハァ、ゼェハァ…な、なんだと!?」
雷神の神力と落雷エネルギーによって全身を完全再生することに成功した雷神トール。フルチンスタイルで強者感を出すのやめてほしい。
「怒槌とはこういうものを言うんだよ。"来たれ"」
「!?!?!?」
「"消し飛ばせ"」
ドドドドドドド!!!
黒雲から無数の光の糸が雷神トールの指先に集まり、凝縮され雷神トールが指先をスッと横に流すと黒雲から極太落雷が地上に殺到した。落雷が収まった後にはガラス化した荒野しか無かった。無論、2頭も巻き込まれて無事に送還された。
「これが本当の怒槌というものだ。」
「…」
「では、さよならだ。」
「…」ボロボロ
最後の神力を吸い取られた雷神は肉体を灰にして消滅した。
「さて、まずは腰蓑を調達せねばな。あとは、奈落神にあの馬鹿どもの再召喚を頼まねば。ふふんふん♪」
かなりサクッとした感じになります。強いのに変に時間かける戦闘って同じ強さ同士でしか発生しませんので私の作品ではまだ無縁ですね。
それでは、次回*˙︶˙*)ノ"




