しっちゃかめっちゃか
最近、日間ランキングが控えめな順位で私としてはちょうど良いと思ってます。やはり、仕事しながらの毎日更新は疲れますね。不定期更新最高です。
なんやかんやあって戦争当日。
…端折るなって?準備期間中はほとんどなにもない。オリジンスキル作成もなぜか一つも発現しなかったし。本番そのものの緊張感がないと発現しにくいという結論に至ったから俺自身はなにもないけど、配下は順調に育成が進んだらしい。
あと、水神陣営の残党は魔剣の宿主以外は全て滅した報告は受けた。念の為に水の国に「偽典"終幕"」を落として信者諸共滅したから残党狩りは結構早く終わった。
たまに、プレイヤーが噛み付いてくるから子猫達のおもちゃにしたくらいかな。
ん?妖精国に行ったのか?まだ行ってない。戦争後に気が向いたらフレイの右腕と一緒に行ってみようと思ってる。
山羊2頭はトールの両腕の調教により、かなり従順になった。2本のねじれ角が4本のねじれ角になっていた。
テュールの左腕とヘイムダルの右腕は計略組と索敵組とでエセ手話でなにやら計画練っていた。
グリンブルスティは普段は大人しく寝てることが多いからよく子猫達に群がられて大変そうだった。俺も教会でゴロゴロしてるとよく子猫達の布団にされた。走ってる時は色んな猫達と追っかけっ子していて楽しそうだった。
マグス達はまだ消滅魔法の修得に至っていない。素直に風呂に入れば良いのに。
戦争順調にこれといって、なにもない。子猫達が色々と進化したりした程度。
[[宗教戦争を行います。参加者はそばに出現した魔法陣内に入って下さい。別サーバーに転移させます。]]
お?そろそろか。俺は目の前に現れた魔法陣に歩み寄りながら声を張る。
「では、行くぞ!」
『ヤー!』『にゃー!』
…ツッコまんぞ。絶対に。
魔法陣内後ろ足まで入った途端に暗転する視界。転移とは違う感覚。身体をぐにゃぐにゃと捏ねられるような。これが別サーバーへの移動の感覚なのか。覚えておこう。
暗転していた視界に光と色が戻ってきた。俺が移動した場所はどこまでも続く黒っぽい大地の荒野だった。空は夕陽のようにオレンジ色で雲一つない。決戦場ってこういうイメージなのかな?
遠く離れた場所に数えるのもアホらしくなる程、様々な人類種の集団が居るのがなんとなくわかる。
俺の近くにはまだ誰もいない。なぜなら俺がまだ召喚してないから。ちょっと開幕時にしっちゃかめっちゃかにしてやろうと思ってるから。ふはは!
というか、開戦って合図とか必要なのか?向こうから正式な宣戦布告なかったし、外交文書なんて向こうから寄越さなかったしな。全てシステムが決めたことだからな。…そうなると先制攻撃しても文句言われる筋合いないな。向こうから人を寄越すわけでもないし、ん?なんか空にいる?流星魔法で落とすのは派手だから空間魔法と重力魔法でそれとなく接触しつつ姿隠しのなにかを虚無眼で抹消してやれば良いな。
俺は空に違和感がある場所を空間魔法で固定し、重力魔法で空間の内側に引っ張る引力を作用させた。すると、軽めの音でギギギ!となにかを擦り付けるような音が戦場に響き渡る。無機物同士がぶつかったのか?とりあえず、中心へ引っ張る引力を更に強める。今度は高音のギギギ!と鳴り響く。今度は金属同士だな。
そろそろ、正体を暴こうと虚無眼で姿隠しの概念を抹消。姿隠しの概念を抹消され空に現れたのは数十隻の鉄の船だった。宇宙船とか飛行機とは違うファンタジーな海の船をそのまま空に浮かべましたというようなフォルムをしていた。
まさか、飛空艇とかそういう奴か?姿を隠していたということは奇襲目的か?上手く隠せていたようだけど残念だったなということで虚無魔法で自壊したように崩壊させる。
はっははは!人も船の素材も全て等しくゴミになる。ゴミが空から降って来ているぞ!…そうだった、まだ誰も呼んでなかったわ。寂しいから皆呼ぼう。
「"我が配下よ、我の元へ参れ"」
俺はあらかじめ決めていたショートカットキーワードで猫星座、奈落獣、奈落の花、勝利の多腕、轟く雷鳴山羊、金色毛猪を同時召喚した。
『我が主の召喚に応じ、我ら配下一同馳せ参じました。』
「我が神よ、呼ぶのがちぃと遅かったようじゃが?」
「少し、場を温めてから呼ぼうと思ったが寂しくて召喚した。」
「…なにやら、鉄屑が空から降り注いでる箇所がありますがアレはなんでしょうか?」
「アレは姿隠しをしていた奇襲目的の飛空艇だな。虚無眼で姿隠しの概念を抹消して、自壊に見せかけて虚無魔法で崩壊させた。」
「先制攻撃なさったので?」
「いんや?ただのハエをテレフォンパンチで叩き落としただけだ。開戦はこれからだろう。」
「ものは言いようだのぉ。」
「それにアレが先制攻撃になるなら相手は大慌てで俺らに攻撃しなきゃいけないはずなのに、どうやら呆けているので忙しいようだ。いや、もしくは同盟同士で情報の共有をしてなかった可能性が高いな。抜け駆けで奇襲しようとした線が高いか?」
「どちらにせよ、我が神の前では全て無意味じゃな。」
「奇襲しかけるなら…こういう奴じゃないとな。」
俺は近くまで忍び足と姿隠しを施し、嫌な気配を隠し切れていないナイフを携えた愚か者を影魔法で拘束。
「!」
「姿隠しが好きだなお前ら。だが、そんな嫌な気配を漏らしてる得物を持っていたら台無しだと言うことになぜ気付かない?」
「我が神、そやつが持っているナイフは魔剣じゃ。」
「へぇ、この気配が魔剣か。"しかと、覚えたぞ"…宿主はいらないから消えろ。」
「ぐぅぅ、あががが!」
宣言通りに宿主を魂ごと消滅させた。宿主の手からこぼれ落ちたナイフ型の魔剣が露わになった。サバイバルナイフのような形状の魔剣の刃に無数の魂が閉じ込められているような様々な表情を浮かび上がらせては消えてを繰り返し映し出されていた。それを見て俺は魔剣を踏み砕き
「くっそ胸糞悪い!"死には安寧を!しかし、怨敵を撃つ機会を与える!死の底から立ち上がれ!やられて悔しかったら我が戦列に加われ!同じ境遇に落とされた者どもよ!我が元へ集え!我は奈落神!この世の悪を絶対に許しはせん!死して尚も奴らには終わらない苦しみを与える者だ!集え!集え!幾度も立ち上がり戦う時が今ぞ!!"」
「我が神、一体何を…むむ?!」
〈ワァー!〉
戦場のあっちこっちで亡者の声が響き渡る。戦場のどこかに隠れている魔剣から魂を強制解放する為に俺は種族スキル「星視の眼」、オリジンスキル「戦場掌握」で戦場全域を認識内に入れた。戦場全域に届くイメージをしながら特殊スキル「魔声音」に「誓約」を付与して権能「死に安寧を」と権能「亡者使役」を合わせて使った。
結果、俺の声に従った魂が魔剣の支配を上回って魔剣を内側から粉砕。解き放たれた亡者達は俺の戦列に加わって戦うことを選択したから一時的な配下に昇格。配下強化の影響により魂の状態でありながら十分に戦う力を得て、怨敵を滅する為に幾度も立ち上がる兵士の出来上がり。ふははは!魔剣制作したアホどもめ!ざまぁ!
〈ワァー!〉〈ワァー!〉
「我が神…はぁ、戦場がしっちゃかめっちゃかになっておりますよ。」
「この戦争に気高きなにかはないからな。こんなんで良いんだよ。それに奴らにはなにがなんだかわからない間に死んで、奈落で苦しんでもらう予定だからな。」
「つまり、奈落に落とすと?」
「ああ、落とす。これ決定事項な。今決めた。」
「全く、我が神は…」
「ほれほれ、こっちもそろそろ動かないと腕達に持ってかれるぞ?」
「は?」
亡者兵達に混じってグリンブルスティに乗りながら勝利の剣を振り回すフレイ、を補助するヘイムダル、テュールが緑色の旗が密集している場所で無双していた。
雷マークが描かれた旗が密集している場所では轟く雷鳴山羊2頭に片腕ずつ乗っているトールが大暴れしていた。
「…神ってなぜこうも勝手なんじゃろうな。」
「神だからな!」
「はぁ、儂ら猫星座も好きに動かせてもらうわい。我が神よ、油断なさるなよ。」
「舐めプなんてクソ喰らえだね。」
「それが聞けて少し安心じゃわい。ではのぉ」
「奈落神、私ども奈落獣も行って参ります。」
「おう、安心して殺って来い。奈落に落ちる奴らだ。帰ってもまた殺れるからな。」
「承知致しました。…我ら奈落神に仇なす愚か者を地上から一掃するぞ、全隊突撃せよ!」
『ヤー!!』
「奈落神様、こちらに我らを根ざしてしまってもよろしいでしょうか?」
「おう、良いぞ。咲き誇る栄誉を与えよう。戦場の華として戦場をお前の色に染め上げろ。」
「有り難き幸せです。」
リコリスが荒野に片足を深く差し込むと人型から早送りのように巨大な白い彼岸花になった。地から生えている箇所から普通サイズの白い彼岸花が咲き始めた。その勢いは遅くも早くもないが瞬く間に戦場の大半を白い彼岸花が占めていた。
『奈落神様、御身に障る一切合切を我らが受けます。ご安心を我らは星さえあればいくらでも代わりはいますので。』
「ありがとう、リコリス。だが、お前の代わりは決していない。そのことを忘れるな。」
『有り難きお言葉、しかと我が身に刻みます。』
[[…何を勝手に開戦しているのです?]]
その時、どこからともなく声がした。システムか?
[[私は裁定神。宗教戦争の見届けを務める神です。…奈落神よ、戦争の作法をご存知ではないのですか?]]
「知るかボケ。正式な宣戦布告も外交文書も貰ってないのに戦争の作法もなにもないだろ。それに、先制攻撃されたのは俺の方なんだが悪いのは俺だって言いたいのか?」
[[是。この戦争のルールは私、裁定神がすると決まってます。]]
「それより、お前も隠れるのが好きなんだな。失礼だから出てこい。」
俺はテキトーな空間に姿隠しの概念を抹消させるイメージで睨みつける。すると、その空間にヒビ割れが起きた。徐々にヒビが広がるとパリィィィンと空間が弾けた。そこから現れたのは神経質そうなメガネをかけた女神だった。
[[奈落神!貴様、私を現世に引きずり出すなどとどういうつもりだ!!]]
「いつまでも、姿を隠して八百長審判しようとしている奴のツラァを1度見てみたかったがただの勘違い女でガッカリした。たかが、亜空間を破った程度でピーチクパーチク囀るな。あまり、うるさいと燃やすぞ?」
[[やれるものならやってみるが良い!]]
「あっそ、ならお言葉に甘え…ん?テュール?」
[[ぐああああ!?な、なんだこの奇妙な腕は?!]]
どこからともなく飛んできたロケットテュールパンチは裁定神の首を掴む。
[[なっ!?神力を吸われている!?]]
ぎりぎりぎりぎりぎりぎり
[[ぐあああああああああああ!!な、奈落神!今すぐ、この腕を止めろ!]]
「ええ?嫌だよ。だってお前は俺の敵だろ?」
[[な!?わ、私は裁定神ですよ!中立に審判を下す私がなぜ奈落神の敵になぞなるのです!]]
「だって、さっき"やれるものならやってみるが良い!"って言ったよな?普通さ、こういうことを言う奴って最初から中立ではなく敵であるのがテンプレだろ?それにルールを後出ししてくる奴は信用しちゃダメだって親に教わらなかったか?」
[[ぐ、そ、それは!]]
「テュール、そいつ1片たりとも残さずに喰らって良いからな。」
ぶんぶん!
[[ま、待て早まるな奈落神!私を消したら更に神々の怒りを買うことになるぞ。そ、それは貴様も困るんじゃないのか?]]
「それなら、今回と同じように潰せば良いだけだ。俺の敵なら容赦はしない。しかと覚えておけよ。」
[[い、一体なんの話だ?いや、誰に話してる?]]
「今、"覗き見している俺の敵にだよ"」
パ、パ、パ、パリィィィィィィィィィィッ!!幾つかの亜空間が弾け飛ぶ音がした。
[[く、くっそ!なんて奴だ!ちょっと観ていただけだったってのによ!!]]
[[…まさか、我らを引きずり出すとは]]
[[今のうちに消した方が良い。]]
[[貴方達!奈落神、無駄なことは今すぐやめなさい!この数の神々を相手に貴方に勝ち目などないです!]]
「…ピーチクパーチク囀る害鳥どもが増えただけじゃねェか。メンドウだからヨォ、テメェら1列に並べ。」
[[[[[[!!]]]]]]
「あーん、イタダキマぁス」
ばぐっ!ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ…ごっくん
[[あ、あ、あ]]
「雑味やエグ味が酷過ぎて飲み込むのに苦労した。やっぱ、神は不味いな。」
[[あ、あ、あなあた、貴方、今、神を喰らった?]]
「おうよ、くっそ不味かったがな。あ、お前は俺は喰わないよ。女神だからな。ただし、テュールはその限りではない。」
[[え]]
「テュールは元司法の神でもあるからよ、お前はテュールが力を取り戻すのにちょうど良いってわけだ。だからさ、そんなに呆けた顔をしないでさ。こういう時に浮かべる表情があるよな?」
[[あ、あ、あ、あ、]]
「そう"絶望"だ。」
[[嫌だ!嫌だ!消えたくない!助けてください奈落神様!]]
「いーやだねー」
[[お願いします!お願いします!なんでもいたします!]]
「ならさ」
[[奈落神様…!]]
「さっさと、テュールの糧になれよ。」
[[ああああああああああああああああああああああああ]]
俺の言葉を伺っていたテュールが一気に裁定神の力を吸い取り始めた。テュールの左腕から先がもにゅもにゅと肉が盛り上がりながら新たな肉体を再生?していく。裁定神の力を吸い取る度に徐々に左胸、左脇腹、左腹筋、左尻、左腿、左足とどんどんと出来上がってく。下半身が完全再生された頃に裁定神が消滅した。
「完全再生するまでに至るなかったか。」
テュールはフルチンスタイルで左手で出来上がった自身の身体を確かめて右上半身が再生出来なかったことに少し落ち込む動作をした後に、俺にサムズアップしてきた。前向きだな。
「テュール、裁定神の力だけじゃ今回完全再生出来なかったが、相性が良さそうな敵対する神が居たら好きに喰らって良いからな。」
グッ!
かなり緩く宗教戦争書いていきます。一応、配下の活躍とかを書いていく予定です。
それでは、次回*˙︶˙*)ノ"




