変身途中に横槍
ソフトグロ表現あります。
第1、第2師団とともにぶち開けた地下坑道内に降り立つ俺は地盤沈下しそうな箇所がないことに気付く。急速に断面がガラス化したからか土砂崩れもない。
「主、私達第1師団を前方へ探索。第2師団を後方へ探索することになりました。」
「わかった。」
「主はどちらについて行きますか?」
「俺は…後方探索の第2師団とともに行く。」
「了解。」
「何がいるかわからんが生き埋めにならん程度に徹底的にやれよな?」
「は!ご期待に添える働きをします。」
「では、後ほどな。」
「は!主、第2師団もご武運を!!」
第1師団と別れて俺は第2師団とともに暗闇が支配する坑道内を進む。坑道内は建物5階分くらいの大きさで、完全な丸だ。リアルのトンネル工事で使用されている工法のように坑道内の壁はつるつるしている。材質はコンクリとは違う?ヒビ割れが一切ない。この世界のトンネル工法はこれが普通なのか?
そういえば、ネズミ達は何処から地上に出ているんだ?この坑道に横穴がない。完全な丸だから上に横穴があっても普通のネズミでは無理だろう。あと、この坑道ネズミの住処にしては綺麗すぎる。フンがない。埃っぽくない。動物臭くない。ここはなんのための坑道だ?
そんなことを考えていると第2師団の前方から無数の"ナニカ"が迫って来ており、第2師団の方も気付いていて向かい撃つ構えを取る。
先頭を中型タンク猫、その後ろに近接猫、魔法猫という簡単な編成だが後方には後詰めがいる。中型タンク猫が殺られても後詰めから追加される。
復活はそれぞれの部隊近くに召喚門を自動配置してあるから移動のロスもない。近接猫にも色々いる。鋭い爪を武器にする中型猫、俺と同じように徒手格闘を得意とする猫、相手を撹乱する目的としたヒットアンドアウェイ小型猫。魔法猫も殲滅力に長けた広範囲攻撃魔法猫、味方に様々なバフや敵にデバフを付与する補助魔法猫、単発攻撃魔法を多彩に繰り出す魔法猫。
ただし、ヒーラー猫は居ない。なぜなら1度死に復活した方が効率が良いからだ。少ない編成ならばヒーラー猫が必要になるが師団という大規模編成の場合は必要がない。それにヒーラー猫を守るためにタンク猫が分断されると面倒だ。
本来ならこの編成に爆撃隊と大型タンク猫が加わる。今回は地上の方に回させてもらった。
ドーン!
どうやら、今戦端が開かれたようだ。
中型タンク猫が全身を使い多くの敵を薙ぎ払う。そう、中型タンク猫は全身が鋼鉄以上に硬く盾にも鈍器にもなる。体長も俺より少しだけ小さいくらいだが種族スキル「軟体」を持っているから身体を伸ばして鞭のようにする事が可能だ。
中型タンク猫から後方に抜けた敵を近接猫達が処理する。中空に飛び上がった広範囲攻撃魔法猫が敵の後方を焼き払い、発生した煙を凍らせて更に奥の敵を殲滅する。よく、煙が固体だと知っていたな。マギの知識か?
それから、犠牲を出さずに第2師団と俺は奥へ進む。第1師団の方も順調そうでパスが弱まった感覚はない。地上の方は何匹か倒されたようだ。あとできっちりと精算しないとな。今から楽しみだ。
今のところ、一本道をまっすぐ進んでいる。そういえば、敵はネズミだけではなくヘビが混じることが多くなった。ネズミ達が地上に逃げてきた理由がヘビだけというのは少し弱い。第2師団の猫からネズミだけでならあの程度のヘビは脅威にならないと。むしろ、ヘビはネズミ達の食料だったのでは?と報告を受ける。じゃあ、別のなにかがいるのか?
しばらく進むと坑道の幅が徐々に横広くなっていく。広いところに出るのか?もしくは合流地点か?または…
後詰めの中型タンク猫が隊列の左右を防御する陣を組み始める。慎重で良い事だ。
ん、この気配は
「む、主。」
「どうやら、繋がっていたようだな。このまま一緒に行くぞ。」
「了解。」
第1師団と合流した。まだまだ横幅は広がり続けているから大丈夫だな。とりあえず、地上のどの位置に何処へ向かっているか師団補佐のニーニャに聞いてみるか。
「今は貴族街から議事堂へ向かう位置になりますにゃ。」
「議事堂近くにはなにがある?」
「迎賓館、宝物宮、幽世宮ですにゃ。」
「幽世宮?」
「犯罪者が死ぬまで入る牢獄ですにゃ。」
「刑務所のことか?」
「違いますにゃ。刑務所や監獄は決まった刑期を中で過ごすにゃけど、この国は捕縛されたら入れられるのが幽世宮にゃ。」
「む?裁判は?」
「無いですにゃ。疑われ、捕縛されたらどんな人間も例外なく入れられたら死んでも出ることが出来ないにゃ。」
「とんでもない国だな。」
「男女分断せずに同じ中に入れられるにゃから中は無法地帯にゃ。」
「中の様子は?」
「結界に阻まれて入ることが出来なかったにゃ。入る条件は罪人の烙印を身体の何処かに焼印されることにゃ。」
「なるほど。…その結界は地下にまで続いてそうか?」
「掘れる深さの範囲まで結界が覆っているのを確認済みにゃ。」
「そうか。いざとなったら壊せば良いな。」
「流石、主にゃ。にゃ?今議事堂の真下にゃ。」
「この先の方向にあるのは?」
「幽世宮にゃ。…ぞわぞわするにゃ!」ぶわっ
「嫌な気配がこの先にいるな。皆、気を引き締めろ。ニーニャ、話に付き合ってくれてありがとう。」
「いつでもお話に付き合うにゃ!」
「ニーニャ、早く隊列に戻れ。」
「主、またにゃ!」
可愛い奴だ。途中からですます口調が取れていたのが、うむ。
程なくして、前方からヘドロ色のオーラが視え始める。ねっとり粘つくイメージが奥から漏れでている。
横幅に広がっていた坑道から大広間に出た。そこには悪趣味と言わざるを得ない光景が広がっていた。…老若男女問わず、様々な人類種をツギハギにして作られた椅子、ソファ、ベッド、テーブル。隅には無惨な姿で打ち捨てられた様々な部位。その中に苦痛に歪んだ老人の■、こちらに助けを求めるような顔をした女の■、怒りに染まった男の■、そして子供の■■■。奥には血の噴水。そこで水浴びしているように血を浴びる、月桂冠を頭に付けた男が居た。奴からヘドロ色のオーラが出ている。しかも、下級神の神格持ちだ。みィつけたァ
俺の気配に気付いたのか奴は驚いてこちらを見る。
「!?…なんだ?畜生共か。」
「お前ら、コイツは俺の獲物だ。下がってろ。」
「は!第1、第2師団後退!」
「なぁ、コレをやったのはお前か?」
「畜生風情が気安く話しかけるな。私は今忙しいのだ。」
「…あっそ、なら一気にケリをつける。」
「あ?一体なにを…!?!?」
少し情報を引き出したかったが話す気がないようだ。なら、あとは容赦なく潰す。
だが、その前にこの場を浄化する。
権能「死に安寧を」を行使する。すると、悪趣味な家具にされた者も無惨に散らされた者も全て光になって天に登っていく。安寧を…冥界神の元へ。
奴が拷問して解体し家具にして現世に縛り付けていた者たちを解放してやれた。これで思う存分、奴を■■出来る。
「お、お前!私の"作品"をどこにやった!?」
「そんなの決まってんだろ?在るべきとこだ。あ、下級神程度にはわからないか。」
「畜生風情が私を愚ッ!?ペッ!ペッ!」
「うっせぇ、ベラベラ喋ってんじゃねぇよ。」
「おのれおのれおのれお!?ペッ!またしても!!」
俺は奴がベラベラ喋ってる口にネズミの死骸を転移した。2回も。
「私を舐め!?〜!!!」ジタバタ
「喋んなって言ってんだろ。」
今度はインベントリからデブリを出して、奴の口目掛けて詰め込み転移してやる。詰め込みすぎて、吐き出せなくてもがいている奴をからかうのが楽しい。
だが、奴の身体が膨張し始める。早速第二形態に変身か?人型から不定形に膨張し始める奴をただ眺めてるのも暇だから、超超超極小擬似太陽を変身途中の奴に当てる。
「ぎゅあ"あ"あ"あ"あ"あ!?」じゅ!びたん!びたん!
「ほれほれ、変身し終わるまで待ってやる気はないぞ。」
せっかく変身して膨張した身体が超超超極小擬似太陽によって削られるナメクジ野郎。
「ヨクモヨクモヨクモヨクモ!!」
「あ〜、うっせぇ!」
「ぎゅあ"あ"あ"あ"あ"あ!あ"あ"!あ"づぃぃぃ!?」じゅわあああ!びたん!びたん!
「知ってるか?ナメクジのほとんどは水分で出来てる。なら、その水分を全部蒸発させれば?」
「や、ヤメ」ぷるぷる
「汚物は消毒だよ。」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」じゅわあああ!!
未だに膨張し続けてるがシルエットが完全に巨大ナメクジと化した奴。本当はもっと大きくなるはずだったのを俺が台無しにしたからな。とりあえず、極小擬似太陽で奴を完全に包んで焼く。水分が蒸発してどんどん小さくなっていくナメクジ野郎。
そして、灰すら残さずに奴が居た場所は溶解したなにかだけになった。
【■つ国イベント 芸術の国】
【裏RAID BOSS 除外されし■■■者 グルーンを撃破確認しました。】
【これにより、グルーンの支配下にあった敵性NPCが弱体化します。】
【グルーンの狂気によって理性を失った動物達が大人しくなりました。】
【RAID BOSS BATTLEを完全単独クリア確認しました。】
【貴方の偉大なる功績を世界に発信しても良いですか?】
▶はい : いいえ
「んん?CMのことなら良いぞ。」
【ご協力ありがとうございます。】
[イベント限定ワールドアナウンス]
へ?
[芸術の国にて、裏RAID BOSSがソロクリアされました!皆さんも負けずに頑張って下さいね! By開発部]
おおぉぉぉい!!お前、絶対「発見」スキルを大プッシュしてた奴だろ!!ああぁ〜!やられた!ちくしょうめ!
ぽーん!称号「理不尽を体現せし者」を獲得確認しました。それにより、相手がモーション中に攻撃を仕掛けるとクリティカルヒットします。
ぽーん!称号「芸術の国の救世主」を獲得確認しました。隠しステータス"カリスマ"が解放されました。カリスマ+1000されました。
ぽーん!称号「■■■者達の興味」を獲得確認しました。■■■者達が貴方に興味を抱きました。幸あれ!
ぽーん!称号「お約束破り」を獲得確認しました。敵が変身モーション中に躊躇なく攻撃してしまう貴方の外道っぷりにドン引きしました。そんな貴方の今までの功績によりジョブ変更券×3を贈呈します。
ぽーん!神格者を滅しましたので、貴方の神格が上がりました。おめでとうございます!貴方は「上級神」になりました。
ぽーん!称号「上級神」を獲得確認しました。ALL+10000されました。
ぽーん!称号「囚われた魂を解放せし者」を獲得確認しました。貴方に救われた魂達が感謝を伝えてきています。"ありがとう!"
ぽーん!貴方の今までの功績を讃えて、種族スキル「魔力操作」が「魔力完全掌握」にランクアップします。また「上級神」に至ったことにより貴方の配下、眷属が大幅に強化されました。セカンドジョブ「天の理」が「星の理」に進化しました。
…はぁ、情報量多い。とりあえず、地上へ帰還だな。
「お前ら、地上に戻るぞ。」
スピードクリアしちゃいましたね。
サイコロ振りまくったらこうなりました。後悔はありません。
芸術の国とグルーンの正規ルートはあとで書きます。
かーなーり、ショートカットしてグルーンに辿り着いたという認識で構いません。
プレイヤーの心を折りに来るはずが主人公に折られるシナリオに運営さん涙目での突発ワールドアナウンス。普段ワールドアナウンスは新エリア解放の時とか流れてますが主人公は関係ない場所にいることが多いので聞く機会がありませんが存在は知ってました。
更新は1日1話になったり、そうじゃなかったりします。リアル優先です。
それでは、次回*˙︶˙*)ノ"
 




