閑話:筋肉娘と愉快な仲間たち
ギンパッチがやっちまった瞬間に芸術の国に居たメンツの反応です。
sideシャム
私達はギンパッチが芸術の国にいるという情報を得て鉄の国から急いで移動してきた。芸術の国にいる猫はギンパッチの眷属という話だったから私は代表して1匹の猫に話しかけて彼に会わせてほしいと伝えたが会わせてもらえない。どうしてかはわからないが拒否されているわけではない?勝手に会いに来い?すると周囲に居た猫達が猛スピードでどこかに駆けていく。私は目の前にいる猫を捕まえて話しかけた。どうしたのかを聞く。
「なぜ、猫達が駆けているの?」
「出来るだけ遠くに退避しろと緊急通達にゃ!人間達も出来るだけ遠くに逃げて濡れない場所に退避するにゃ!!」ぬるん
「あ、ちょ」
「嵐が来るにゃ!早く逃げるんだにゃー!」
「嵐つったって…」
私は空を見上げる。そこには晴れ晴れとした空を飛ぶ猫達。急いで何処かに向かって円を描くように旋回してすぐに解散して行った。なにかの合図?あの地点から離れるように退避している猫達。あそこになにかある?
「私達も退避した方がよろしいのではないでしょうか?」
あの時から私とパーティを組むようになったハーフエルフのシスター職であるエルザが待避を促してきた。
「それより、デカ猫ちゃんとは会えないの?」
「わからないわ。」
「知り合いじゃなかったの?さっきだって名前言ったのに会わせてもらえなかったじゃん。本当に知り合い?」
最近、パーティメンバーになったクォータードワーフの剣豪であるアカネが私に絡んでくる。
「…何を言いたいの?」
「騙りだったんじゃないかって話。他のもふもふに靡かないのは尊敬してたよ。でもね、一緒に行動してみて思ったことがある。フレンドというのも騙りで本当はただの拗らせたファンじゃないかと。違う?」
「はぁ、違うわよ。」
「お二人とも、そんなことより早く避難しましょう。本当に嵐が来るみたいです。」
「え」
頭上を見上げるとさっきまで晴れ晴れとした空に曇天が覆っていた。なぜ?
すると、風が荒れ狂い大粒の雨が降り始めた。嵐に直撃した私達はずぶ濡れになった。
「どこかの建物で雨宿りするわよ!」
「最悪!ゲームの中で濡れるなんて!」
「状態異常"病"になると大変ですから暖を取れる場所にしましょう。」
「宿しかないじゃない!」
「なら宿に急いで戻るわよ!」
私達は嵐の中を走った。アレほど多くの猫達で溢れていた街中は突然の嵐に大慌てになっているNPCと宿へ走って向かっている私達だけ。猫達はもう退避完了したのか1匹すら見当たらない。統率されすぎている。その時、大粒の雨が止んだ。
「あれ?雨が止んだ?」
「通り雨だった?」
「待ってください。地面が乾いてますよ。」
エルザに言われて地面に視線を向けると先程の雨で出来ていた水溜まりすらカッラカラに乾いていた。なぜ?このゲームにこんな変化は起きないはず。そして、更に奇妙なことは続く。世界が白過ぎる。まるで大型照明の光を直当てされているような。まさか…私が空の方に顔を向けようとした。だが、アカネが
「空を見るな!今見たら目潰れるわよ!」
「なぜ?」
「極小太陽が空にあるからよ!あんなの直視したらとんでもないことになるわよ!」
「一体、なにが起きてるの?」
「それよりも早く、ここから離れましょう!」
「そうよね!」
「わかったわ。」
私達は一旦止まっていた足を必死に動かした。だが、私達は災厄に近すぎた。
視界が真っ白に染まった時。それは落ちてきた。さっき、アカネが言っていた極小太陽が。建ち並ぶ建物が火を噴いたかと思えば次の瞬間にはドロドロに溶けていく。何百件と一気に更地になっていく。極小太陽はそのまま地面に着弾したのに更に下へと沈み込んでいく。その時、エルザが
「お二人とも、ご自分の状態異常を確認してください!」
そう言われ、私はステータスの自分の状態異常を確認した。そこには"天気痛"と書いてあった。
「天気痛?それって突然な気温の変化に人間の身体が様々な体調不良になるという?」
「そうです。私達は痛覚遮断設定をしているので行動制限が付くだけで済みます。」
「え?行動制限?」
「うわわ!?」どさ
その時、アカネが倒れた。
「ちょ、ちょっとどうしたの?!」
「歩き出そうとしたら足が動かなくて倒れた…起き上がれない。」
「これが行動制限ですね。」
「本当になにが起きてる?」
そこにエルフで剣舞のアレクセイが現れた。
「え!なんであんた動けているの?!」
「俺は種族スキル「精霊魔法」が使えるから身体を全ての精霊の力で結界を張っているから無事で済んだ。」
「あっそ、なら私を助け起こしてよ。」
「なんだと?セクシャルガードはどうした?」
「私は元々OFF設定よ。ほら、早く〜」ジタバタ
「う、うむ。触れるぞ。」
「まさか、あんた…童貞?」
「ば!ち、違うわい!!」
「うふふ」
「馬鹿なことを言ってないでさっさと立たせてもらいなさい。」
「た、た、た、」ぷるぷる
「ほら、アレクセイ…おいで」
「…」
「おお、ありがとう!で、ちょっと耳をかして…ゴニョニョ」
「!、!!、?!?!」びくんびくん
「なにをやってんだか…はぁ」
世界に通常の光量が戻った時、暴風吹き荒れるとともに視界を覆う大量の煙。
「なにこの煙!」
「あ、アレクセイ、ズルい!」だきっ
「ちょ!ちょっと待って!抱き着くな!!」
「アカネ、なにをしてんの?」
「アレクセイだけ煙の影響を受けてないのよ!」
「あら?本当ですね?…えい!」だきっ
「ちょ!ちょ!せ、背中…!!」びくんびくん
「ジッとしてよ!」ぎゅ!
「あらあら、どうされました?うふふ」ぎゅ
「…!…!」びくびく
「はぁ、からかいすぎよ。キャパオーバーしてるじゃない。」
「うふふ、童貞くんをからかうの楽しいんだもん。」
「あら?アレクセイさん、気を失ったみたいですわ。」
「押し倒される〜」
「まったく、なにをしてんのよ。アレクセイも世話が焼けるわね。」
異性免疫が高くなかったアレクセイが気を失ってアカネに倒れ込んでいるのを私はアレクセイの左肩に触れて抑える。すると、視界を覆っていた煙が晴れ雪がちらつき始めそれが猛吹雪に変わった。
「異常気象だわ!」
「本当に!」
「あ」
「アカネさん、どうされました?」
「状態異常"凍結"になっ」カッチーン
「え?」
アカネが状態異常"凍結"と口にした途端にアカネが凍りついていた。私はエルザの方を向いた。だが、時すでに遅し。エルザもアレクセイも凍りついていて私もあとは頭を残すだけというほぼ全身凍りついていた。一体なんだっていうのよおおお!カッチーン!
3人と1人は仲良く氷漬けになった。
sideシャム 終わり。
新キャラというか、掲示板回での常連である剣舞エルフくんとシスターハーフエルフちゃんの名前が判明しただけですね。え?ああ、剣豪クォータードワーフのアカネちゃんですね。チョイ役のつもりで出しましたがアレクセイくんをからかう役として良いと思いました。まだ退場しません。
アレクセイくんはぼっち(孤高のソロプレイヤー)です。アレクセイくんの目的はシャムも知ってますが今のところ無害として好きにさせてます。
アカネももふもふ好きですが、黒猫程度では満足出来なかったので極上のもふもふであるギンパッチを求めて活動しているシャム達のパーティにイベント前に加入しました。ですが、シャムという近道がうまく作用しないので愚痴りました。
気を失ってる間にアレクセイくんは称号「男の敵」「幸せサンド」「童帝」という面白称号を獲得しています。
それでは、次回*˙︶˙*)ノ"




