ギミッククラッシャー
クエストクリアまであと1話?
やっぱり、魔力生命体の案内ではメリルは地下室に閉じ込められているようだ。だが、ここで問題がある。地下室への入口が魔力生命体でもわからないことだ。なにやら、ギミックを解かないと入口が開かれないめんどくさいこの上ない。
「もう、無理矢理床に穴空けてやろうかね?」
「やめて、最悪メリルが崩落に巻き込まれるわ。」
「なら、ここのボスを倒すか徹底的に某強盗勇者ロールをしてみるか。」
「なにその不穏なワードが付いた勇者?」
「昔のゲームに民家や王城に押し入ってツボやタンスや宝箱からお金とアイテムを強奪しながら魔王を倒しに行く勇者をプレイヤーが操作する系のがあった。しかも、超シリーズ物。」
「情操教育に悪いゲーム…いや?ゲームってそんな感じのが未だにあるから変わっていないのかな?」
「王道ファンタジーってそんなもんだよ。」
「…それで、強盗勇者ごっこするわけね?」
「ああ、それでギミックを解除出来る手がかりが見つかれば良い。ダメならボスのゴールデンボールを潰しに行く。」
「ギンパッチも男なのに平気そうね?」
「だって、俺のじゃないし?他人のは知らんな。」
「それよりも、襲いかかってくるゴロツキ達を片手間で処理している姿に困惑するわ。」
「だって、くす玉を軽く潰しただけで再起不能になるのは強くないよ?」
「くす玉?」
「そう、中に色鮮やかな花吹雪じゃなく汚物が入ってるくす玉って感じ。ポンと弾ける様はくす玉程の華やかさとは程遠く汚いものだけどね。」
「男のアレをそう表現するのはどうかと思うわ。」
「ならシャムはどう表現する?」
「そうねぇ、ビニール袋に入った水風船かしら?外側の圧力に耐えきれなくなって破裂してしまう様は子供のおもちゃに最適だと思うわ。」
「シャムだって俺の表現と大して変わらないじゃないか。」
そんな会話をする俺達はゴロツキッズを作業のようにくす玉もとい水風船を丁寧にそれぞれの獲物や前足で潰しながら1階の全ての部屋を物色していた。
「ねぇ、ギンパッチ。」
「なにさ、シャム。」
「非合法な物以外を見つけた時、どうしてる?」
「インベントリ(ポケット着服)へナイナイしてる。」
「やっぱり、そうよね。良いお金になってくれるかな?」
「どうだろうね?質は大したことないのばっかだし。」
「じゃあ、プレイヤーに売りつけるのはどう?しかも、店売りより安く。」
「んー、在庫処分するにはそれが1番かな。野営もしくは夜営などに必要な消耗品はなるべく手元に残しておいて良いものが手に入るまで使うとか?」
「夜営もしくは野営が必要になることが今後あるってギンパッチも思ってるんだ?」
「だって、まだこの世界の街と街の距離間とかわからないし街に帰ることが出来なくなったらログアウトとか大変だよね。確か、街の外でログアウトする場合はセーフティエリアにテント設営しないといけないんだよね。」
「そうらしいわね。」
「そうなるとダンジョンとかもそういうシステムだろうしイベントでそういう状況になるかも。」
「なるほど。確かにいくつかは手元に残してあとは売るって方針が良いわね。」
「さて、1階はこの部屋で最後かな?」
「ええ、ギミックあったように見えなかったわね?」
「そうだね。もう、めんどくさいからボスのゴールデンボール潰しに行こうか。」
「それしか無さそうね。」
俺達は2階の階段へ向かい、その前に調べていなかった2階へ上がる階段の内部構造を音で調べてみた。
ゴンゴン!ゴンゴン!
「うーむ。」
「どう?なにかありそう?」
「いや見た目、木で出来ている階段なのに音的に硬すぎな気がする。中になにか詰めてるのか、何かを隠すために上から木で隠してるのか?…《魔力生命体、メリルがいる当たりがわかるか?》」
そう魔力生命体にメリルの所在を確認すると階段の下を指し示す。入口はこの付近しかないな。
「よし、階段を壊す。」
「ええ?!ボス狩りしなくて良いの?」
「メリル救出した後に建物の柱を壊せば勝手に出てくるだろう。」
「…いや、流石に無理でしょ。でも、私達の最優先事項はメリルの救出だからボスはついでよね。」
「そう、おまけは後回しだ。ぉらあ!」
ぐしゃ!階段の木材が吹っ飛んでいく。
「むう、こりゃあ時間掛かりそうだな。そうだ!"シャドウウィップ"からの先っちょをハンマーの形に魔力操作してっと。よいしょ!」
ブン!ぐしゃあああ!!ブン!ぐしゃあああ!!
「おお!こりゃあ良い!爽快だな!」
「気分はさながら解体屋かしら?」
俺達は階段を解体して行った。途中煉瓦造りの隠し階段が地下室に向かう形でみつかり降り口を確保するために木材と2階から地下室直行階段を粉砕した。
「これで2階からの邪魔も阻止出来たな。」
「そうね。にしても、運営としてはこんな形でギミックを無駄にされるとは思わなかったでしょうね。」
「プレイヤーで壊せるギミックはそういう裏技を運営も想定内としているから大丈夫だろう。」
「では、地下室へ行きましょうか。」
「ああ、行こう。」《メリルを救いに行くぞ。》
俺達と魔力生命体は地下室への階段を降りていく。ゲーム的ご都合システムなのか薄暗いが光源がちゃんとしている。ま、猫の俺には暗闇でも平気だがな。
「ねぇ、ギンパッチ。この先で絶対戦闘あるよね?」
「そりゃあ、あるだろう。なかったら運営の頭を疑うね。」
「敵として出て来そうなのに操られたメリルが居たらどうする?」
「うーむ。いくつか方法があるが聞くか?」
「聞かせてちょうだい。」
「手っ取り早いのは鉄拳制裁」
「却下。奥さんに半殺しにされるわよ。」
「やっぱりか。じゃあ、次はドレインで動く気力を奪って無力化した後に教会に連れていく。」
「待って、ドレインってSPが25Pも必要なのよ?まだレベルアップしてないのに取得出来ないわよ?」
「大丈夫だ。シャムに魔力操作を取得してもらう時に「マナドレイン」を取得したから。」
「どうやってか聞いても?」
「接触してる相手から魔力を奪うと取得出来るよ。俺の時は魔力をシャムに送り込んだ分だけ返してもらったら取得した感じだな。それで不名誉称号を手に入れた。」
「どんな称号なの?」にやぁ
「…獣」
「なんて?」
「淫獣だよ!」
「ぷふふふ、あっははは!」
「ちくせう。やるなら他人がいないとこでやるのをおすすめするよ。シャムも不名誉称号手に入ることになる。」
「なにかその称号にあるの?」
「異性から警戒されやすくなるって効果があるがニーナには効果がなかったな。子供だから?うーむ。わからん。」
「奥さんは私達に警戒してたからクエスト中は効果がないのかしら?」
「それなら良いのかな?」
「それより、如何にも"この先にボス戦あるよ!"みたいな扉…」
「こういうこだわりは素直に賞賛するよ運営。」
「準備は良いかしら?」
「よござんす!」
「「せーっの!」」
バン!
【この先、ボスエリアになります。入場しますか?】
「「タイミング悪すぎぃ!!イェスイェスイェス!!さっさと開けろぉぉおおお!」」
【違法奴隷商人ドゲルドン Lv30】
「な、なんだ?!貴様らは!」
「Lv1が戦って良い相手じゃないでしょ!運営ぃぃぃい!?」
「はっはあ!!ジャイアントキリングって奴かあ!シャム、ヒットアンドアウェイで仕掛けてくれ!」
「ギンパッチはどうするのよ?!流石に近接戦闘は無理があるわよ!」
「はっはっは!俺の心配はいらねぇよ!」
「無理して先に死に戻らないでよね!」
「シャムこそ、しくじるなよ!」
「せっかく、上等な"目"を持ったガキを仕入れたところを邪魔だてするつもりか貴様ら!!」
顔を真っ赤にさせて怒鳴り散らすドゲルドン
「ほぉ?"目"だと?そんな下位の目で満足するつもりか?」
「なにぃ?デブ猫風情が人間様に指図するつもりか?畜生の分際がいい気になるなよ!」
「俺の魔眼にはお前の全てがわかるぞ。」
「な、なにぃ!?貴様程度の畜生風情に高位の"魔眼"など宿るはずがなかろう!!」
顔を赤から驚愕の色に染まるドゲルドンの魔力色
「なにをそんなに驚愕する必要がある?俺は"異界人"であり魔猫だ。お前達と違って不可能を可能にすることなど動作でもない。」
「い、"異界人"だと?そ、それが本当ならお前を捕らえて売ればワシは巨万の富を得ることが出来るぅ!!」
「さて、お前に俺が捕えられるかな?」
「はっはっはっはっはっ!馬鹿め!馬鹿め!貴様はワシの支配領域内に今いるんだ!」
「だから、それがなんだってんだ?」
「畜生風情の頭では理解出来んか?つまり、こういうことだ!」
突如、俺の頭上から檻が降りてきて俺は檻の中に閉じ込められた。シャムだけはどうやら範囲外にいたようで無事を確認出来た。
「はっはっはっはっはあ!所詮、畜生は畜生ってことだ。いくら魔眼を宿していようと檻の中では手も足も出んだろう!」
「頭空っぽの奴はやっぱり空っぽだな。」
「負け惜しみかぁ?くふふ、なにも出来ぬ貴様にはお似合いだな。」
「さて、それはどうかな?」
俺が入れられた檻はいわゆる猪などを捕獲するような箱型の網目が人間の親指1本分しか入らない大きさの奴だ。普通では絶対絶命だろう。だが、俺にはこの状況を脱する手段いや種族スキルがある。そう「軟体」だ。猫とは粘着性の高い液体だという論文を書いた狂人は多いことだろう。それを俺が今ここで証明しよう!
助走をつけて、檻に体当たり!
ぬにゅるん
「は?」
「ふん!」ずぼっ!
「はぁ?はぁ?!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!!」
「これが不可能を可能にすることなど容易いことの証明だ。」
「きぃ、貴様!貴様は!スライムの変異種か何かか!?」
「さっき言ったことも覚えていないのか?俺は異界人であり魔猫だ。お前の脳みそはカニ味噌か?」
「ぐぬぬぅ!おのれ!おのれ!馬鹿にしおって!!!」
「ふん!馬鹿め。」にやぁ
「ぎぃぃぃ!!」
「だが、俺にばかり構っていて良いのか?」
「な、なにぃ?」
ざく、そんな音が聞こえたかはわからないがドゲルドンから粗悪品の剣が生えていた。
「ぐ、ぐぁ、あ、ああ、そん、な」
「余所見してっからそんなことになるんだよ。」
尻からゴールデンボールを貫いた剣先がぬらぬらと光ながらドゲルドンに"こんにちは"としていた。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?!?!」
ちなみに、粗悪品の剣は鍛冶するプレイヤーに売りつけようとして1階で拝借した戦利品。ま、今ではゴールデンボールスレイヤーとしておっさんの股間から生えた呪われた剣になってしまったがな。
「全く乙女になんて酷いことをさせるデブ猫ちゃんなのかしら。」
「下手人がよく言うね。」
「私が下手人ならあなたは共犯者ね。」
「それは悪くはないな。」
俺らの作戦はこうだ。まず、俺がドゲルドンの注意を全て引き受けるために軽い世間話をしてる間にシャムが隙を伺ってドゲルドンのゴールデンボールに剣刺しに行くというシンプルな作戦だ!
「まさか、高Lvをこんなあっさりと致命傷を与えられるなんて、ね?」
「相手が男だったから通用した作戦だからな。女だったらこうは上手くいかなかったな。」
「その時は私が女の弱点を教えてあげるわ。」
「お手柔らかに頼むよ。」
「うぐ、うう、もうやだ帰って!お願い、帰ってよぉ」
「なに泣き言を言ってんだ?監禁してる女の子を解放しろよ。じゃなきゃ、更に続ける。」
「ひぃ!わ、わかりまひた!い、今すぐに解放します!ど、どうかぁ、これ以上痛いことは…!」
「お前が約束を守ればな?もし、途中で嘘なら完全に切り落として去勢してやる。」
「ひぃ!」
【違法奴隷商人ドゲルドンが戦意喪失し降伏しました。おめでとうございます!勝利しました。報酬はクエストクリア時にまとめて清算されます。】
「これで一安心だな。」
「そうね。」
今、シャムの腕の中にはすやすやと眠るメリルがいる。睡眠薬かなにかで眠らされてるのか起こしても起きなかった。だから、シャムが運んでる最中だ。
あの後、俺達は木箱に詰められていたメリルを発見。ドゲルドンは結局嘘ついて別の檻に俺達を誘導しようとしたため予告通り去勢して2度と再利用出来ないように念入りに切り落としたゴールデンボールをすり潰して塩と油をかけて帰り際に燃やした。
やり過ぎだとは思わん。メリルを既に木箱に梱包済みだったという状況で手馴れすぎてる。メリルの前に犠牲になった者達がいたのは明白だ。それに中途半端に生かしても徒党を組んで闇討ちされるだろう。なら徹底的に潰す方が良い。多分これで終わりではないだろう。
「さて、ニーナと奥さんの元に早く帰ろう。」
強盗勇者は私はやったことはありませんが最後の幻想で強盗英雄ごっこしてました。あとは別ゲーで歯車を探してました。巨像が闊歩する世界で愛馬と一緒に気ままに大地を駆けたりしてました。あとは、神喰の狩りゲーとモンスをハントするゲームやってました。ポケットのは白黒版が1番好きでした。サモンなゲームは全て良かったですね。
今はスマホゲーだけですね。主にDMMの英智なゲームをやってます。
ギンパッチはFFO自体の知識は最初ありませんでした。星ちゃんがギンパッチをモフってる時にだいぶ口をすべらせているのでセーフティエリアなどの情報を得てます。その時に、ペースト食品のお弁当や今後ギンパッチに必要になるものをぽいぽいインベントリに収納する経験のためにあげてました。もらった側のギンパッチはOFFの時は流されるタイプなので強く拒否せずにぽいぽいインベントリに収納してました。手癖の悪さはゲームだし相手は悪者だから良いという義賊思考です。
迷子クエストの裏話は後ほど。




