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43.国内選抜決勝

ランダルト王国で開催される対暗黒竜会議である『世界選抜会議』。その出場権をかけて国内選抜がここガーデン王国でも行われていた。

毎回、圧倒的な強さを誇るロイヤル・ファインズが勝ち続けその代表の座を得ていたが、今回はダークホースと呼ばれたクララ率いるララ・ファインズが大躍進。カインの活躍もあって快進撃を続け、ついに優勝をかけてロイヤル・ファインズと戦う事となった。



決勝を前に作戦を練るカイン達。そこへシルファール姫がやって来た。


「カイン様ああぁ」


「シ、シルファール姫!?」


突然現れたこれからの対戦相手の団長を見て驚いて言った。シルファールが言う。


「カ、カイン様と戦うなんて、ああぁ……」


そう言って顔を赤らめる。


「カイン様の胸を借りるつもりで戦いますわ。でも……」


シルファールはそう言ってカインの腕に抱き着いて、その大きな胸を押し付ける。そして顔を赤くしてカインに言う。


「カイン様がお望みならば()()()()()()()もお貸し致しますわ」


それを聞き真っ赤になるカイン。


「シシシシ、シルファール姫えぇ。そそ、それはどういう意味で……」


それを見ていたクララが言う。


「姫、今は作戦会議中です。どうかお引き取りを」


シルファールが言う。


「ああ、それは失礼致しました。ではカイン様、また」


そう言ってにっこり笑ってシルファールは立ち去った。



「ええっと、シルファール姫は何をしに来たのかしら? まさかスパイ?」


マリエルがぼそっと独り言を言う。クララが返す。


「まさか。そんなことができる方ではないと思うよ。()の行動だと思う……」


そして決勝が始まった。





競技場に現れる両ファインズ。

ついに行われる代表の座をかけた戦いに観客のボルテージも最高潮に達する。そして審判が決勝の競技を宣言した。


「決勝の競技は、フライングゲーム!!!」



「フライングゲーム?」


カインが首を傾げる。審判は直ぐに競技の説明に入った。


「この細長い競技場の端からクレーが飛び出します。攻撃側と守備側に分かれて、順番に飛ばされる自分達のクレーをどれだけ飛ばせるかを競います」


その説明を聞いて盛り上がる観客席。カインがクララに尋ねる。


「ええっと、つまり最初クレーを飛ばす僕らは、放たれたクレーがたくさん飛ぶように相手の邪魔から守って行けばいいんですね?」


クララが答える。


「そうだよ。ロイヤル・ファインズがクレーを落とそうと必死に邪魔をするんでそれを私達が逆に叩けばいいんだ」


「わ、分かりました!」


長細い競技場に立つ両ファインズ。その長さは約300メートルほど。その端から飛ばされるクレーを巡って両者の攻防戦が始まる。

先行であるララ・ファインズの名が呼ばれると、カイン達団員がそれぞれの配置に着く。シルファールはカインを見てウィンクをしている。



審判が皆の前に立ち手を上げて号令をかける。


「では、開始!!!」


その合図と同時に競技場の端からクレーが勢いよく飛び出す。観客から沸き起こる歓声。クレーはそのまま反対側へと飛んで行くが、それを邪魔しようとロイヤル・ファインズの団員が動き始める。シルファールがカインを見て思う。


(ごめんなさい、カイン様。でもこれは戦い!!)


シルファールが右手を差し出して魔法を詠唱する。



氷結壁アイスウォール!!!」


勢いよく飛び出したクレーを止めようと、その前にバキバキ音を立てながら巨大な分厚い氷の壁が形成される。観客席からは驚きの声が上がる。それを見たクララが叫ぶ。


「うわっ、姫様、本気だ!!!」



「爆炎っ!!!」


ドオオオオン!!!


その氷壁が出来上がると同時に、その上部で炎の爆発が起きた。その分厚い氷の壁の上部が崩れ、一部は溶けてなくなる。その間を飛び行くクレー。皆が見つめるその先には姫と同じく右手を前に出したカインの姿。シルファールが思う。


(ああ、あれはカイン様。シルも、シルもあんな風にあなたの情愛の炎で燃やされたい……)


氷壁を破壊されたのに真っ赤な顔に両手を当てて体をくねらせるシルファール。


「ひ、姫! 魔法の追撃を!!!」


レオンハルトがシルファールに叫ぶも、やはり体をくねくね動かし反応しない姫。飛び行くクレーを見ながらレオンハルトが言う。



「私が落とす!!!」


そう言って剣を抜き思い切り跳躍する。それを見たカインが前方にいるスミレに叫ぶ。


「ス、スミレちゃん!! あの男の人、退しりぞけて!!!」


それを聞いたスミレが目を覚ます。そして剣を抜いて叫んだ。


「うおおおおおおお!! カイン様のおしりいいいい!!!!」


「お、お尻!?」


意味が分からないカインが驚く間にスミレは高速で加速し、そして先に上空へ舞ったレオンハルトめがけて思い切り飛び跳ねた。


カン!!!


空に舞い、カイン達のクレーを落とそうとしていたレオンハルトの剣をスミレの剣が防ぐ。


「なにっ!?」


突然の攻撃に驚くレオンハルト。


「うおおおお!! お尻いいぃぃ!!!!」


訳の分からないことを叫びつつ、落下しながらもなおスミレは高速の剣をレオンハルトに打ち付ける。


「お尻、お尻、お尻いいいいいぃぃぃ!!!」


地上に降りてからも執拗にレオンハルトに斬る掛かるスミレ。予想以上の速い剣さばきに防戦を強いられるレオンハルト。そして二人の上空をクレーが過ぎていく。


「し、しまった!!」



「ウィンドハリケーン!!!!」


そんなレオンハルトを横にロイヤル・ファインズでもシルファールに次ぐ魔法の使い手であるセントレーゼが風魔法を繰り出す。クレーに迫る竜巻。それを見たクララが叫ぶ。


「よし、私も!!」


そう言って異世界お菓子を口に入れる。


「よーし、来たぞおお!! 大花火ファイヤーワーク!!! ……ひぇ??」



ドン、ドドーーーーーン!!


スキル『お菓子な魔法』で会場に打ち上がった大きな花火。観客の多くはそれを大会の演出だと思い大歓声を上げて喜んだ。白熱した攻防に美しい昼夜の花火。観客は興奮と言う熱気に包まれる。

対照的にクララは唖然とその花火を見つめる。マリエルが言う。



「ク、クララ! 何遊んでるのよ!!」


「い、いや、そんなつもりは……」


「仕方ない! 私、パティシエだけど、それ! クロスウィンド!!!!」


マリエルから同じ風属性の魔法が飛ばされる。竜巻と風魔法がぶつかり合い、そして相殺されて消えて行く。クレーが更に飛んでいく。



「はっ!」


しかし次の瞬間、ロイヤル・ファインズの弓の名手レナの光のような矢がクレーに向かって放たれた。そしてカンと言う甲高い音を立ててクレーに当たると、そのままふらふらと揺れながらやがて地面に落ちた。

審判団が落ちたクレーの元に走り寄りすぐに距離を測る。


「飛距離130メートル!!!」


その声に更に歓声が上がる。



(は、半分も行かなかったのか……)


苦戦が予想される決勝で何とか少しでも距離を伸ばしておきたかったクララは、あまり伸びなかった飛距離を思い不安になった。しかし観客席からは絶え間ない拍手が沸き起こる。それはララ・ファインズの予想を上回る奮闘に対するものであった。




「予想以上ですね。とても低レベルファインズとは思えません」


レオンハルトがシルファールに言う。


「当然です。レミット王国でのカイン様の活躍、皆さんにも見て欲しかったわ」


カインを見つめながらシルファールが顔を赤くして言う。


「今度は私達の番。しっかりクレーを守って距離を伸ばしましょう!!」


弓の名手のレナが言う。




「始め!!」


少しの小休憩を挟み、配置についた両ファインズを確認した審判が開始の合図をする。それと同時にクララの隣にいたカインが言う。


「出てくるのを落とせばいいんだな?」


「えっ?」


シュン!!


音を立てて空中に放たれるクレー。



カーン!!


その放たれた瞬間、闘技場に甲高い音が響く。

クレーは飛び出したと同時にその背後に現れたカインの剣撃を受け、甲高い音を立てて地面に落ちた。静まり返る会場。クララが言う。


「雷牙なの?」


地表に降り立ったカインが静かに頷く。審判団が飛距離を測り叫ぶ。



「ひ、飛距離6メートル、しょ、勝者ララ・ファインズ!!!!」


静かになっていた観客席から大きな歓声が上がる。クララがカインに抱き着き叫んだ。


「やったーー!! 優勝だよおお!!!」



カイン(ライガ)はクララに抱き着かれ、少しだけ悪い気はしないと思った。

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