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36.再会

「大切な人守るのに理由など要らない!!」


その言葉を聞いた白神竜は、強神竜との昔の会話を思い出した。




「私、本当に男運がなくって……」


強神竜の元に来て落ち込み元気のない白神竜が嘆く。強神竜が言う。


「ハクよ、理屈抜きで大切な人や愛する人を守るような男を見つけない」


「理屈抜きで? よく分からないよお……」


難しそうな顔をする白神竜に言う。



「そのうち分かるようになるはずじゃ」


強神竜が笑顔で言った。





「……なあ、強ジイ。こういう男があんたの言ってた男、なのか?」


白神竜はボロボロになりながらもクララの前に立ち攻撃を受けるカインを見て思う。今どんな攻撃をしてもきっと彼に防がれるのだろう、なんとなくそう思った。白神竜は人の姿に戻り、そしてカインに言う。



「お前は本当に強ジイに認められたのか?」


カインが答える。


「あ、あのおぉ、い、一応そうみたいで……」


戦闘モードが終わり、興奮状態が覚めたのでいつもの内気なカインに戻る。白神竜が言う。


「嘘、嘘、嘘っ! 男はそうやってまた嘘を言う!!!」


それを見たカインが慌てて言う。


「い、いや、その……、ぼ、僕も最初はじっちゃんを大トカゲだと思って、その、勘違いしてて……」


「大トカゲ? 勘違い!?」


怪訝な顔をして聞き返す白神竜。


「こ、こら! 余計なことを言うんじゃない!」


クララがすぐに突っ込む。


「何をこそこそ話している? や、やはり私を騙すのか!!」


その時カインの後ろから少女の声がした。



「カインは信用できるよ」


皆が振り返るとそこにひとりの少女、マリが立っていた。驚くカイン達。


「マ、マリちゃん!? どうやってここまで? えっ、あ、危ないよ!!」


マリが笑って答える。


「大丈夫よ、このくらい」


そして白神竜に言う。



ハクネエ、カインは信頼に値するヒト族だよ」


「マ、マリちゃん……?」


カインがびっくりしてマリに言う。そしてそれを聞いた白神竜が震えて言った。



「マ、マリなのか?」


「そうよ、マリだよ。白ネエ。久しぶり!」


そう言ってマリが白神竜に抱きつく。白神竜が言う。



「元気だったか、マリ。こんなに大きくなって……」


カインが尋ねる。


「あ、あの、マリちゃんって、な、何者なの?」


白神竜が答える。


「何だ、知らぬのか? マリは竜族。魔神竜ましんりゅうだぞ」



「えっ、えええええええ!!!!!」


皆が驚く中、マリがカイン達に言う。


「ごめんね、パパ。いや、カイン君。強ジイが選んだ人がどんなのかずっと見てたの」


「ぎょ、ぎょええ!?」


驚くカイン。


「み、見られてたの、僕……」


カインが青くなる。マリが言う。



「白ネエ、あんニイの暴走が止まらないの。だから強ジイがギフトを渡して……」


「知っている」


「だったらもう暴れるのは止めて」


マリが白神竜に頼み込む。


「分かった。カイン達には手を出さない。だが……」



そう言ってマリから離れると、白神竜は再び竜の姿になる。


「だが、私をもてあそんだあの男だけは絶対に許さない!!!」


そう言って大きな翼を広げ勢いよく王城の方へと飛び立つ。


「白ネエええ!! 待ってええええ!!!」


マリが大声で叫ぶも振り返ることもせず飛び去る白神竜。それを見たマリががっくりする。


「すぐに追いましょう!」


そう言ったクララにマリが言う。


「待って、その前に私のギフト渡さなきゃ」


マリは懐から黄色く光る玉をカインに差し出す。マリが言う。



「カイン君は魔法使えないんだよね」


「う、うん……」


「じゃあ、私のギフトは魔力向上がメインだからクララさんと半分ずつにしようか」


「えっ!」


その言葉に驚くクララ。


「半分?」


そう尋ねるカインにマリが答える。


「そう、カイン君は半分食べれば魔法耐性が大幅に上がるよ。クララさんは魔力が跳ね上がる。まあ、半分だから効果も半分だけどね」


「いいの? マリちゃん」


クララが不安そうにマリに尋ねる。マリがカインの顔を見て言う。


「いいよね? カイン君」


「は、はい……」


その言葉を聞きギフトを半分に割るマリ。そしてそれぞれをふたりに渡す。



「もぐもぐ……(味はないのね)」


クララがそんなこと思っていると、マリがふらっと倒れそうになる。


「マリちゃん!?」


マリはカインに掴まって答える。



「大丈夫だよ。でもギフトを渡すってこんなに力を失うんだ。カイン君、街まで負ぶって行って」


「ええっ!」


驚くカインだがにっこり笑うマリの顔を見て渋々受け入れた。


「さあ、行こう! 白神竜を止めに、そしてシルファール姫を救いに!!」


「は、はい!!!」


クララの言葉にカインも手を上げて応える。



「あ、あのおぉ、わ、私も一緒に……」


後ろからリアナが申し訳なさそうに小声で言う。カインが笑顔で答える。


「もちろん、さあ、行きましょう!」


カインはリアナの手を取って言った。


「あ、ありがとうございます!」


リアナも笑顔で答えた。





「ディレン王子!! 見張りより竜がこちらに飛来しているとの情報が入りました!!!」


レミット王城では突然襲来した竜の情報によって大混乱に陥っていた。ディレンが言う。


「くそっ、バックレの無能め、またしくじりおったのか!!!」


ディレンはバックレの大臣降格を決意する一方、城の守備隊には全部隊を持って防衛に当たるよう指示を出す。しかしその指示を出してすぐに王城が大きな音共に揺れた。



ドオオオオオン!!


「な、何ごとだ!?」


焦るディレンに別の兵が報告に上がる。


「竜が、青白い竜が王城付近に来て攻撃をしております!!!」


「なっ、くそっ、あのバカが!!! 迎撃、全力で迎撃して撃ち落とせ!!!!」


「はっ!!!」


兵は返事をして下がると全部隊に総攻撃の指示を出した。



ドンドン、ドオオオオオン!!!


城の守備隊、白目の魔導士隊から放たれる魔法、そして弓矢。それはまるで地上から降る雨のように宙を舞う竜へと放たれた。しかし白神竜は大地を震わせるような声で咆哮し、氷塊を放って怯むことなく反撃してくる。



「ぐわああああ!!!!」


白神竜が出した巨大な氷塊がディレンのいる謁見の間を直撃し、壁が大きく崩壊する。崩れた壁から白神竜を睨むディレン。


「く、くそおぉ、愛してやった恩を仇で返すとは……」


ディレンはその姿に足を震わせながらひとり小さくつぶやく。一方、白神竜はようやく見つけたディレンに向かって叫ぶ。



「見つけた、見つけたぞ!! 腐れ外道が!!!! 滅せよ!!!」


そう言うと白神竜は再び大きく天に向けて咆哮し叫ぶ。


氷結塊アイスロック!!!!」


天に現れる数多あまたの巨大な氷塊。それが白神竜の叫び声と共に王城へ向けて勢い良く落とされる。



ドンドン、ドドド、ドーーーーーーン!!!!


「ぎゃああああ!!!!!」


王城全体を襲う激しい氷塊の攻撃。それまで攻撃していた守備隊も恐れを上げて逃げ始める。意思のない魔導士隊のみが細々と攻撃を続ける。白神竜の攻撃に王城の最上階にいたディレンも流石に身の危険を感じ始めた。



「くそ、くそ、くっそおおお。無能共め、無能共ばかりだからこうなるんだ!!!!!」


ディレンはそう叫ぶと謁見の間の隣にある部屋に行き、その壁に掛けられていた一振りの剣を手に取る。そしてつぶやく。


「俺の、俺様の恐ろしさを教えてやる!!! ぎゃははははっ!!!!」


ディレンはひとり笑い始めた。




「あ、あれは、白神竜!!! 王城が、王城が、破壊されている!?」


ようやく精霊の森からレミット王城に戻ったカイン達は、その白神竜が暴れる光景を見て驚きの声を上げた。カインが言う。



「僕が、強神竜じっちゃんの遺志を受け継ぐ僕が、止めなきゃ!!!」


カインは王城へ向けて走り出した。

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