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第094話 相談せずに引き受けてはいけない

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 帝都からオラゾーラ領に戻る。

 2,3日後には父さんたちも来るので、特に見送りも長々とはしない。

 店先には出てはきたけど、言葉少なく、「それじゃまた数日後に。」と手を振るあっさりしたものだ。


 行きと同じ馬車は3台だが、馬とユニコーンは4頭から6頭に増えた。

 父さんたちには()()魔法で馬の負荷は少ないと説明はしたものの、

 それとは別口で良馬3頭とユニコーン1頭を交換してくれと言うものが続出したからだ。

 (商会の中に置いていたので”あれ(ユニコーン)はいくらだ”と問い合わせも多かったらしい。)

 金額的価値が全然釣り合わないといちいち説明するのが大変です。とリッキーから泣きが入ったのに加え、馬の手配もできない貴族・商社と舐められる、だからと言って()()魔法のことを説明すると馬車まで狙われるぞ。と父さんに言われたことも理由だったりする。

 なので、タッキナルディ商会の馬を2頭融通してもらったのだ。


 あと、大型馬車代の料金は魔道具払いになった。

 馬車と馬を商業ギルドに魔道具売ったお金で購入したことを言ったらそういうことになった。

 それどころか高く買うから、少なくとも帝国内ではタッキナルディ商会以外には魔道具を売るなと言われた。高く買ってもらえるに越したことはないので、首肯する。


 ◇◇◇◇◇


 特に問題なくオラゾーラ侯爵領に戻る。

 馬車に乗っている間は大型馬車代として頼まれた魔道具作りにいそしむ。

 シャワーのさらに小型の蛇口タイプで良いらしい。

 蛇口というかレバーを捻ると魔法陣に魔力が伝わり、周辺の水分を集めて水として出す。

 水をいちいち持ち運ぶ必要がなくなるし、水道を引かなくてもよいので重宝されるらしい。

 確かにもともとトリィのシャワー用に作ったが、水魔法が不得手な同僚は飲料用としても重宝していたし、テムステイ山の難民用に作ったシャワーも体を洗うだけでなく水分確保に大活躍らしい。

 

 宿に着くと片付け等をミアたちにお願いして、さっそくローラさんのところに行く。

 トリィとヒビキもついて来たが、珍しく「控室で待ってるから」と言いローラさんの部屋には入らないようだ。

 ローラさんの護衛の人に扉を開けてもらい、ローラさんに割り当てられた私室に入る。

 「ただいま戻りました。」

 と声をかけると何か書き物をしていたローラさんは手を止めこちらに笑顔を見せてくれた。

 「おかえりなさい。あら?ご両親とご一緒に来られるのではなかったのですか?」

 「それがちょっとご相談したいことができまして、一足先に戻ってきました。」

 というとローラさんの笑みが少しだけ薄くなった。

 「相談ですか・・・、何ですか?」

 「実は帝国から侯爵に任命されまして。」

 「は?」

 ローラさんの手はよく見るとふるえていた。

 「・・・どなたのお話ですか?」

 「僕です。」

 ローラさんは持っていたペンを傍らに置いた。

 「・・・タックさんはすでに王国貴族ですよね?」

 「帝国の方々はそれを知らなかったそうなんです。」

 ローラさんの顔からは笑みが完全に消えてしまった。

 「・・・先日の叙爵パーティには帝国の大使もいるからそんなはずはないです。」

 「正確には知らなかった振りをして、テムステイ山を制圧した帝国子爵(僕の父)の子弟に叙爵すると。」

 「・・・仮に帝国側がそのシナリオだったとしてです。」

 「はい。」

 「あなたは自分が王国貴族とわかってるんだから断らないと駄目でしょう?!」

  とローラさんは言う。テーブルを叩かんばかりだ。

 「いや、皇帝のいるところに護衛もない状態で呼ばれてたら断れないですよ。」

 「あなた、王都のイニレ家の館で1人で大立ち回りしたじゃないですか?!」

 「いや、さすがに一貴族の家であばれるのと、城で暴れるのは違うと思いますが。」

 「あなた、そんなの気にしないでしょう?!」

 いやいや、さすがに気にするよ。

 「うちの両親が一緒にいる状況で大立ち回りできないでしょう。」

 「あなたの両親は帝国貴族ですよ。自国の貴族を人質にするわけないじゃないですか?!貴族制がゆらぎますよ。勝手にあなたがそう思うように誘導したんです。本当は普通に断れたんですよ!!!」

 確かに父さん母さんが何か言いたそうな顔をしていたので、てっきり命にかかわるから断るなというメッセージかとその時は思ったが、後から税優遇もぎとれのメッセージだったと説明受けたな。

 ローラさんがゆっくりと立ち上がり僕を見る。

 「私、タックさんがここを立つときに『お願いですから帝都では問題を起こさないでくださいね。』と言いましたよね・・・」

 と低い声で言われた。

 「いや、今回は僕が問題を起こしたわけではな・・・」

 「おだまりなさい。」

 「はい。」

 ローラさんの気迫に押され、あっさりと黙る。これは逆らったらあかんやつだ。

 「タックさんが交渉能力が壊滅的だということがわかりました。」

 「申し訳ありません。」

 「第一王子(オーウェン)様のご結婚も問題なさそうですし、これからは私と行動を共にしましょう。」

 「えっ?」

 「これ以上、テムステイ山の権利争いにいろいろ巻き込まれても困りますし。」

 「あっ?」

 「なんですか?」

 「そういえばアド姉を通じて兄から再開発に司教領も一枚かませろと伝言を受けてます。」

 「すでに巻き込まれてるじゃないですか!!!そっちも先に言いなさい!!!」

 とローラさんに怒られるのだった。

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