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第092話 叙爵の裏事情

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 急遽ブルックリンとエヴァに交代してもらい、部屋に戻ってきたエヴァに先ほどと同じ話を聞いてもらう。

 当初の見込みとしては周辺3国に僕がテムステイ山を制圧したことを宣言し、冒険者と軍隊の派遣を止めてもらうことが目的だったはずだ。

 だが、現状3国とも僕のテムステイ山制圧を無条件に信じ、「制圧できた?それは良かった。開発しよう。」と言うモードになっている。

 拍子抜けと言うか、あっさりというか、もっと反発らしきものや危険を訴えるものがあると思っていたのだが。

「つまり、(あるじ)殿は何か?『思ってた事態と違う。』そう言いたいわけだな。」

 とエヴァが僕の心情にかなり近い言葉を口にする。

「そう、それ!」

 我が意を得たりというやつだ。

「タックがそう思う気持ちはわかるけど、テムステイ山の危険度は年々下がっているのよ。」

 とトリィが口にする。

「犠牲者が出てるのに?」

「犠牲者は出てるけど、入山をお勧めしないテムステイ山に珍しいもの欲しさに入っている冒険者ですもの。それで文句言うなら冒険者するなって話でしょ?山から出る魔獣で家や家畜の被害は出てるけど住人の人的被害はここ十数年出てないのよ。」

「新しく住む場所として考える人は少ないけど、先祖伝来の・・・とかこだわりがある人は減っていない?」

「そうね、少なくとも王国は被害額を補填してるし、建物修復のための技術者も派遣してるわ。」

「遠征軍に被害は?」

「100年前にテムステイ山を制圧しようした貴族は魔獣の暴走も起こしてしまったから、抑えようとした遠征軍もそれなりの被害が出たらしいけど、それ以降遠征軍に死者は出てなくて、いてもけが人ぐらいよ。暴走の時にテムステイ山に生息している魔獣の種類も弱点もわかって、記録してあるし。」

「だから、最近は出てしまうとほとんど帰ってこれなかったんじゃな。」

 トリィの説明に納得したようにうなづくエヴァ。

「理由はそれだけかな?」

「あとタックの魔道具の評判もあると思うわ。」

「ん?なんで?」

「もともと王国の学内対抗戦の魔法部門で優勝したでしょ。」

「ああ、あの散々文句言われたやつね。」

 思い出したくもない。魔道具の才ではなく魔法の才を競う場である。とかどこにも書かれてない理念を語り出す奴や、アピールの場を邪魔しないでくれとか、僕のアピールする権利を忘れてる奴とかいろいろいたわ・・・

「タックのところにはそういう人しか行かなかったみたいだけど、学校卒業後、魔道具士としてスカウトしたい人からの問い合わせは一杯あったのよ。すでにローデス商会に就職先が決まってたから全部蹴散らしたけど。」

「そうなんだ。なんで教えてくれなかったの?」

「教えて万が一にもそっちに行かれたら困るじゃない。パパとジョニーとアレックスがありとあらゆる手でつぶしたみたいよ。ただマークロック王だけは他国のスカウトを蹴散らすの(調整)に手伝ってもらったからしょうがなかったみたいだけど。」

 まさかの暴露話である。

「ということは皇帝陛下の話もあの場の冗談じゃなくて・・・」

「本当でしょうね。タックが本気で魔道具を駆使すればテムステイ山を制圧できてもおかしくないと思ってるんじゃない?」

「過大評価も良いところだな。」

「でも実際、魔道具ではないにせよ。ほぼ制圧したんでしょ。」

 むぅ、そこは否定できない。しようと思って使ったわけではないが。

「そうだな、我らは主殿に完全に制圧された。」

 なんで嬉しそうに言うんだ、エヴァは。ガブリエラもニコニコしながら何度もうなづかなくてよろしい。


「で、各国でも勝つのに苦戦を強いられるであろうテムステイ山を僕が制圧しました。となると・・・」

「魔獣相手と違って、話が通じるので、各陣営が取り込みに動くのは自明の理でしょ?」

 とトリィに代わってエヴァが答える。

「エヴァ達だって話が通じるだろ?」

「末端のワイルドボアやビッグバイパーなどの魔獣は言葉は通じないし、仮に我々と会話ができたとしても・・・」

 とここでエヴァは一旦言葉を切る。

「すまん、言葉が足りなかった。過去に冒険者を殺した魔獣相手と違って、心情的に会話という選択肢が取りやすい。と言う表現が正しいな。」

「冒険者を殺してるの?」

「黙って目なり牙なり心臓なりを渡せばよかった?」

「いや。」

 そこは冒険者の自己責任だと思う。

「そうやって倒した中に何代か前の皇子と、その友人の司教がいたらしくてね。それから私は両国から魔獣認定されている。」

 なるほどエヴァが魔獣認定された経緯はそれか。

「私の心臓が不治の病に効くと聞いたらしいが、そもそも何かの治療に龍の心臓が使われたなどないのに、何故効くと思ったのか・・・」

「藁にもすがる思いだったのか?」

「そんな理由で殺されそうになる身にもなってくれ。」

 確かに龍の立場に立てばたまったものではないだろう。


「魔獣認定を解かれはせんが、タックの配下になっておるのであれば、そのままでよいということだろうね。私が国境近くまでタックを運んだことも帝国は知っているだろうし。」

「魔獣は殺さず配下にしてます。と言っても何も言わなかったからそうだろうね。」


「司教領もアド姉が上層部を説得したということは、司教領も魔獣認定されたものが僕の配下にいたままでも問題なしということかな。」

 と言う僕の疑問にトリィが、

「アド姉がそこを伏せて話す理由もないし、多分、そうでしょうね。だから後は王国の結果待ちだと思うわ。」


 僕の疑問が一旦解消されたことでその日はお開きになった。

 みんなどこで寝るの?と聞いたら隣の部屋に人数分のベッドがあるらしい。

 さすがに女性陣に交じって寝るわけにもいかないので、自分の昔の部屋に戻ろうとしたが、別の部屋に移動されると護衛ができないという理論を論破できなかった。

 リッキーはどうなる?と聞いたらい野営用の寝袋があるので馬車で。とのことだ。なかなか容赦ない。


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