第083話 馬車購入
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オラゾーラ侯爵領についた翌日、さっそく朝から行動する。
まずは冒険者ギルドに行って馬車を返却して、買取窓口で魔道具の査定をしてもらわないと。
ちなみに査定してもらうだけで、すぐに買い取ってはもらわない。
商業ギルドで馬車を買う時の下取り価格と比較してからだ。
王国と帝国で魔道具の相場は違うと思うので事前に把握しておきたい。
ちなみにこの世界の通貨は9種類あり、価値を前世感覚で書くと以下のようになる。
銅貨 100円
混貨(銅貨に何かしらの金属が混じったもの) 500円
良混貨(銅貨に銀などの上位金属が混じったもの) 1,000円
半銀貨(銀貨の半分ほどの大きさのもの) 5,000円
銀貨 10,000円
半金貨(金貨の半分ほどの大きさのもの) 50,000円
金貨 100,000円
半白金貨(白金貨の半分ほどの大きさのもの) 5,000,000円
白金貨 10,000,000円
王国でアレックスに用意してもらった時は馬車2台+馬4頭で金貨40枚(約400万円)だったそうだ。
馬や馬車は帝国でも相場はそんなに違わないものとして金貨40枚程度を想定。
急いでるから足元を見られたとしても半白金貨1枚(約500万円)程度が予算内か。
対して僕が売る魔道具は何かというと生活魔法を刻んだものになる。
身体強化系や空気系のものなどを売るつもりはない。武器商人になるつもりはないのだ。
王国では魔道具1台が金貨5枚~20枚(約50万円~約200万円)程度で売れたが、帝国では果たしてどうなるか。
冒険者ギルドにつき、馬車2台を返却する。
空いてる窓口のお兄さんにザナックの手紙を渡すと、特に何を言われるでもなく受け取ってくれた。
馬車を裏口に回そうとしているお兄さんに査定場の場所を聞くとどこの窓口でもいいと言われたので、先ほどの隣の窓口のおば、お姉さんにシャワーの魔道具の査定をお願いする。
奥に下がったお姉さんが戻って伝えた査定結果は金貨10枚(約100万円)とのことだった。
複数あっても同額だというを確認し、少し考えさせてほしいと、一旦冒険者ギルドから出る。
馬車1台には全員乗れないので歩いていくのだがユニコーンが目立つこと目立つこと。
グリフィス辺境伯領と同じことが今晩も起こるかもしれない。
まあエヴァとガブリエラが目立つ方が困るので、こっちの方でいいのだけど。
商業ギルドにつき、馬車番を残して中に入る。
中に入るのは僕、トリィ、ヒビキの3人だ。
窓口のお姉さんに馬4頭と馬車2台が欲しいと告げると、太い客と思われたのか奥に通される。
今日中に欲しいと告げると、馬車はあるが馬は2頭しかいないそうだ。
浮遊魔法で浮かせてから引かせよう。
そう決めてそれでも良いと告げると、金貨36枚と言われる。
想定内と言えば想定内。魔道具で値引き可能かと聞くとできるとのことだったので、シャワーの魔道具を出して査定してもらう。
査定結果は冒険者ギルドと同じ金貨10枚(約100万円)。
魔道具3つと金貨6枚を出そうとしたら、魔道具は4つないかと聞かれる。
どうやらすぐ売れるアテがあるらしい。
現金が心もとないのも確かなので、魔道具4つを渡し金貨4枚をもらう。
表に順番に出すという話なので、表に回って待つことにする。
「シャワーの魔道具がすんなり売れてよかった。」
と表に移動しながら僕が口にすると
「帝国でも欲しがってる人多いと思うわ。」
とトリィが言う。
「何で知ってるの?」
「合同遠征の時、さんざん聞かれたのよ。その魔道具はどこで売ってるのか?って。」
なるほど。思いがけないところで宣伝になっていたようだ。
表に出ると、ユニコーンが完全に見せものになっていた。
場所が商業ギルドということだけあって、買取のために連れて来たと思われたのかもしれない。
メイド服の3人や、護衛装備の2人には声をかけないが、その分話しやすそうなリッキーに「これは売りものなのか?」「売るとしたらいくらなのか?」とか聞いてきている。
「売り物じゃないし、値付けもしないよ。」
と僕が群がっている商人たちに告げ、リッキーが僕を自分の主人であると説明すると、商人たちはあきらめたのかばらばらと散っていった。
そこへ、少し離れたところから僕たちを見ていた身なりの良い男が、体格の良い部下を2人引き連れてこちらに近づいてくる。
年齢は20代後半から30代前半と言ったところだろう。身なりは良いが、目つきは悪い。
どこかで見たことある目だなと思ったら、学生時代魔法が使えない僕にマウントを取ろうとしてくる奴らがしていた目だと気づいた。くそっ、嫌な記憶を思い出した。
目つきの悪い男は、
「貴公はタッキナルディ子爵の縁者かな?」
と聞いてくる。
なんで知ってるんだと思ったが、馬車に家紋が描いてあるのでわかる人はわかるか。
「そうですね。レッド・タッキナルディは私の父です。」
そう答えると、男は唇の端をあげ、ニヤリと笑う。
目つきだけでなく笑い方まで昔の嫌なやつらと一緒だ。
「私の父は、ラング伯爵だ。」
「そうですか。ご丁寧にどうも。私はタック・タッキナルディです。」
父親が誰かじゃなくて、お前は誰なんだよ。と思い、まずは自分から名乗る。
「私はドレッド・ラングだ。折り入って貴公に頼みがあるのだが。」
頼みがある割には態度がでかい。貴族のご子息だとあまり頼みごとをしないせいなのかな。
「なんでしょう。」
「ユニコーンを譲ってもらいたい。」
あー、やっぱりね。チラチラ見てるからまあわかるよ。でも譲るわけにはいかないのだよ。
「いくらぐらいをお考えですか?他の方は相場の5倍と言われてますが。」
と金額で諦めてもらうとしたが、ドレッド氏はため息をつくと、
「これだから商人あがりの貴族は。いいかね?帝国貴族たるもの身にしたものはすべて皇帝陛下にいただいたものと考えねばならない。」
ふーん、そうなんだ。父さんも大変なものになってしまったな。
「ユニコーンという貴重な幻獣を手に入れたのであれば、皇帝陛下への献上をまず考えるべきだ。とはいえ、貴族に連なるものになったばかりの君には伝手もなかろう。なので君の代わりに私が献上の手続きを取ってあげようと言っているのだよ。」
それだとお前の手柄になるだけじゃん。
「ユニコーンを連れるにあたって女性の協力は欠かせんな。君の護衛とメイドも数名貸してくれたまえ。何手続きが終わったら返す。」
暴論が終わるまで聞き流していたら、あろうことかトリィにいやらしい視線を向けたので・・・
僕はこいつを懲らしめることにした。
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