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第004話 護衛が付きました。(付いてた。)

*すいません、4話の誤記を修正していたら何故か後半が消えてしまったので、再登録しています。

 微妙に表現変わってるかもしれませんが、お話の本筋には変更ありません。(2021年6月30日)

 トリィが第一王子に見初められ、側妃にと声掛けされた。


 先ほどトリィから聞かされたばかりの話をジョニーからも聞く。


「その話はなくなる方向になったんじゃないの?」


 トリィの方を向きながら聞く。


「なくなるはずよ。宰相様と騎士団長にも相談ついでに念のため確認したし。」


「宰相様と騎士団長にもそんな話できるんだ。すごいねトリィ。」


「そりゃ、遠征中にシャワーの魔道具を持参したりすると、新入り騎士の私でも目立つのよ。」


 あー、僕のせいでもあるのね。すまない。


「その場に居合わせた人から漏れた?」


「王宮の中の話よ。すぐに市井に流すようなうかつな人はいないと思うけど・・・」


 トリィも形の良いあごに手をあて思案顔だ。


「ジョニーはその話を誰から聞いたの?」

 と僕は僕で芋づる式に探そうとジョニーに確認する。


「ミアの母親のクルファン夫人からです。クルファン夫人はイニレ伯爵のご子息のリール様から聞かれたとか。」


「リール様かぁ。」

 トリィが納得したかのようにつぶやく。


「知ってるの?」


「知ってる。ほら、さっき話したほかの側妃候補のイニレ伯爵令嬢のお兄様よ。私が声をかけられたあの場にもいたわ。

 妹が側妃候補になったから、お兄さんも王子の側近に取り立てられたのよ。

 王子と一緒に移動されたから、そのあと取り消す話になったことは知らないはずよ。」


「知らないにしても、自分の(あるじ)の話をペラペラ話すかね。」


「よかれと思ってるんじゃないかしら。側近になったばかりでアピールしたいのかも。」


「逆効果だよなぁ。」


 少数が聞いたことを聞かなかったことにするのは簡単だ。

 でも大勢が耳にしたことを後から取り消すとなった場合、理由が必要になる。

 第一王子が勢いで言っただけです。と本当のことを言うわけにはいかないだろう。


「逆効果とならないケースもございますよ。」


 とそれまで黙っていたジョニーが口を開く。


「そんなケースあるの?」


 と不思議そうにトリィが聞く。


「言ったことを真実にしてしまうのです。お嬢様とタックを結婚させないのです。」


「はぁ?」


 とトリィが淑女らしからぬ不穏な声を放つ。殺気もあわせて放つのはやめてほしい。


「まずは会長とタックのご両親の間で婚約の事前調整がうまくいかないケース。」


 とジョニーがトリィの殺気にひるむことなく人差し指をたてる。


「ただ、これを妨害するのは難易度が高く、できても時間稼ぎでしょう。」

 まあ、お互い会長とその家族の立場だから、護衛もしっかりついてるしね。


「2つ目がお嬢様がタックとの婚約を拒否するケース。」

 と中指がたつ。


「ないわね。」


 と即答するトリィ。かっこいいな、この人。


「今から新しい相手探すのもめんどくさい。そもそも拒否したら王族入りじゃない。」


 と続けるトリィ。ひどいな、この人。


「3つ目はタックがお嬢様との婚約を拒否するケース。」

 と薬指をたてる。


「ああん?」


 とこちらをにらみつけるトリィ。言ったのはジョニーだし、実際に拒否したわけではないので仮定の話で僕に殺気をピンポイントで放つのはやめてほしい。


「本人の意思ではなく、言わせるという手があります。うちでは扱っておりませんが、そのような薬や魔道具が世にあることも事実。」


 なるほど。側妃となるかもしれないトリィにそこまで荒い手は使えないが相手の僕なら使える。でも・・・


「そこまでする?」


「イニレ伯もそのご子息の性格も私は存じませんが、今回はこのまま放置するとご子息の失態として露見します。ご本人達にその気がなくとも周りの者がそれをよしとせず動く可能性もあります。」


 ジョニーは指を三本たてていた腕を下ろしながら言う。


「なのでタックに身辺警護をつけさせていただきます。基本的に移動の際はアレックスとミアを同行させるようにしてください。」


 と続けた。ん、アレックスとミア? 執事とメイドが護衛?


「二人は会長の護衛も兼ねてます。」


 きょとんとしていた僕にジョニーがあっさりと告げる。


「えっ、そうなの。」

「はい、タックが会長代行になってからも一応護衛についてもらっています。」

「そうなんだ。でもこれまで通りなら別に言わなくてもよくない?」

「あなたの魔道具のせいです。あなたの外出時にアレックスとミアが再々見失ったり、振り切られたりしてます。今回改めてタックに言うのは護衛がついているという自覚をもって行動してほしいからです。」


 なるほど、全く意識してなかった。

 ”認識阻害”の指輪試してみたり、バイク(”回転”の魔法陣を刻んだ車輪2つをつないで座席(サドル)操縦桿(ハンドル)をつけたもの)で移動した時かしら。


「どの時だろう?みたいな顔をしない。護衛対象に振り切られたと落ち込んでいる二人をタックだから仕方ないとなぐさめる私の身にもなってください。」


 顔の表情から思考を読まれたようだ。だが何気に失礼なお前の身になってやるつもりはない。


「了解。護衛がいると思って、行動しろってことだね。今日はもともと開発室で実験するつもりだったから外出する予定はないよ。」

「そうですか。では私は仕事に戻ります。」

 そう言ってジョニーは出ていく。

「私は夕方まで仮眠するわ。来客の予定ないなら開発室のソファ使ってもいいんでしょ。」

 とトリィが言う。

「使ってもいいけど、ソファでいいの?」

「居たらダメ? 爆発実験でもするの?」

「いや、そんな予定はないけど。」

「私も護衛してあげるって言ってんの。仮眠してても物音したらすぐ起きるわよ。」

と少し頬を赤くしながらトリィが言う。

「ああ、そういうことか。ありがとう。」

と素直に感謝すると、さらに赤くなりトリィは黙ってしまった。

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