委員長と副委員長②
ここだ。おかしな事件はそこで起こった。
「はぁ」
思わずため息が漏れた。
「あんたは何回ため息をつくんだ?部活でもうまくいかないとそんな風にため息をつくのか?」
「そんな何回もため息ついてないし」
え?何回かついてたのかな?
「っていうか今部活関係ないよね」
「今の態度みてたらなんとなく想像がついただけだ。どうせ嫌々やっているんだろ?」
「そんなことは……」
「ないって言えないよな」
否定できない自分が悲しかった。それに何もかも見透かしているような内梨翔和にいら立ちもした。
「何なの?初めて会った時からずけずけと。それに、なんで副委員長に立候補したわけ?あと私はあんたじゃなくて高峰みなこっていう立派な名前があるんですけど?」
「ふー」
彼はため息ではなく呼吸を整えるように息を吐いた。先生に作成を頼まれた書類を机でトントンと整え小脇に抱えて立ち上がった。
「興味があるんだ。才能に絡まれたあんた……高峰みなこに」
「え?」
彼は言い終えたら振り返り教室から出ていこうとしている。
「ちょ、ちょっと、どういうこと?」
「これ以上部活に遅れたくない。仕事しなさすぎだ。書類は届けておく」
彼は振り向きもせずその場で言い放って行った。
確かに仕事のほとんどを彼が片付けてくれた。
「ほんとによくわかんない……けど、仕事はちゃんとしなきゃな」
私も帰り支度をして部室へと向かった。
あれ?そういえば……
「私に興味あるって……」
言ってなかったか?
内梨翔和、ますますわかんない。