あつもりかつみ②
「え?」
「だって、朝からちょっと変だったから」
「そうだったかな?」
「朝の声がいつもより低くてちょっと寝不足みたいな、なんかもやもやした感じが出てて……一番はホームルーム中。転校生が入ってきてからずっとボーっとして、先生の話聞いてるようで聞いてない感じ。あんまり覚えてないでしょ先生が言ってたこと」
かつみは淡々と話した。図星だった。気が付けばホームルームは終わっていた。
「ってのを踏まえてなんかあったの?」
かつみはいつも細かいところに気が付く繊細さがある。私にはない素晴らしい才能だと思う。一本芯の通った。自分を見失わないような強さを感じる。
「昨日部活中にあの人に絡まれたというかいちゃもんというかなんというか……」
なんと伝えればいいかわからず口籠っていると
「まぁ、彼が何か関係しているんだとは思ったよ。ホームルーム中やたら視線が彼の方に向いてたから」
なんてよく見ているんだ。観察眼というものだろうか?それほどまでに露骨だっただろうか?
「詳しいことは話せるときに話してよ。いつでも聞くから」
なんて頼もしいの。
「あ、でも今夜はレイド戦があるからちょっと勘弁ね」
ニカっと笑うかつみにつられて私も笑顔になっていた。
「かつみ、ありがとう。その時はよろしくね」
「はいよー。じゃ、私は夜に備えて帰宅します!みなこも頑張ってね部活」
敬礼ポーズをするかつみを真似て「ぁい!」と返事をした。
さ、部活がんばろ!