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ゆめのような世界での記録  作者: カモミール
12/13

12話 たどり着いた終着駅

12話です

列車の窓から少しずつ光が差し込んで来た。


もうきれいな星や夜空に浮かぶ魚は見えなくなっていた。


ただ、ガタン、ゴトンと列車の進む音だけが響くのだった。


もう少しで着くのだろうか。

果たして僕は僕の望む終着駅に、たどり着けるのだろうか。


これ以上何をすればいいのか、もし、たどり着けなかったら…


「じたばたしなさんな。やることはやったでしょ。後は自分を信じてあげなよ」

そう僕を励ましてくれたのはネムだった。

飲む? そういって、ネムは紅茶を淹れてくれた。


「…そっか。そうだね」

いただきます。


そう言って僕はその紅茶を飲む。

あったかいな。不思議とすごく落ち着いた。


そのまま僕たちはお互いの事を語った。

お互いの現実とユメの世界の事。

好きな物語、面白かった経験、好きな絵、歌、好きな食べ物。

そんなとりとめのないことを語り合って笑いあった。


不思議とお互いの過去の事、夢の事、未来の事は語らなかった。

何故かそれで十分な気がした。


「間もなくユメの最果て、ユメの最果て、終点ですー。この度はユメ列車、

ドリームワンダー号をご利用いただきありがとうございました。お降りのお客様はお忘れ物のなさいませんようご注意くださいー」



最後のアナウンスが鳴るころには僕の不安は一遍もなかった。


△△△▲




僕は列車を降りる。

風がすごい気持ち良い。空気が澄んでいるのが肌で分かった。

思わず深呼吸をする。


僕は振り返って車掌ちゃんに尋ねる。

「ここは僕の、望む終着点なのかな。僕はたどり着けたのかな。ちゃんと」


車掌ちゃんは帽子と怪しい仮面を整えて、言った。

「さあ、それは私には分からないけど、でも振り返ってごらん」

「え?」

僕は振り返る。


見ると山の端から丁度朝日が昇るところだった。夜の闇を洗い流すように奇麗な太陽の光は世界を照らした。

本当に声が出ないほど見事な日の出だった。


「わぁ、すっげー、すごいきれいな日の出っ」


僕は感嘆の声を出す。


車掌ちゃんはうん、うんと頷いていった

「こんなに奇麗な景色ならきっと大丈夫なんじゃないかな」





次回最終回です。

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