君の肌
君シリーズの七作目です。
君ってさ、いつも厚着をしているよね。
季節を問わずに服を着こんでいるね。
いつも服がひんやりしているから気になるんだよね。
服が湿っている点も気になっているんだよね。
僕は温かすぎるって? まるで炎のようだって? まあ、僕は炎を司っていると言っても過言ではないからね。
それにどこを見つめたらいいのか分からないだって? 君の好きなように見つめればいいさ。どの僕も君を見ているからね。
獣っぽいところは良いだって? 獣なんだけどね。君は吐いた息が白くて美しいのが良いね。息が冷たすぎるのが難点だけどね。
次のデートの時には厚着ではなく、薄着で来てほしいな。どうしてかというと君の肌を覚えていないからだよ。厚着姿の君ばかり見ているからね。
薄着姿なら露出も多いし、君の肌がどんなだったかひと目で分かるからね。
どうしてそんなに怒っているんだい? 本当に愛しているのかだって? もちろん愛しているに決まっているじゃないか。
肌を覚えていないのにだって?
だからね、君の肌を思い出すために、次のデートの時は薄着で来てほしいんだ。
今からもう一度デートしようだって? うん、別にそれでもいいよ。
それじゃ、薄着になってくれるかい?
ああ、そんな肌をしていたね。
すっかり忘れていたよ。
やっぱり君はそっちの方が似合っているね。
ねぇ、僕の愛しの雪女さん。
――えぇ、私の愛するケルベロスさん。
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