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Cクラス内での順位決めの模擬戦②

「常夜、本気で行くぜ」


「こっちこそ、勝つのは僕だよ」


Cクラスの生徒が見ているなか、僕と暁斎が対峙していた。

Cクラスの順位決めの模擬戦の4試合目で、僕と暁斎が戦う事になったのだ。


僕の装備はいつも通りに短剣を2本両手持ちで、暁斎は左手に少し大きめの盾を持ち、右手には片手剣が持っている。


「両者準備は良いな」


「大丈夫です」 「いつでも良いぜ」


「では、始め!」


こうして模擬戦の4試合目、僕と暁斎の戦いが始まった。


戦いが始まって、先に動き出したのは僕だった。

僕は異能で強化された身体能力で一気に暁斎に近寄り首を狙って、短剣を振るう。

またなぜ先手を取ったのかと言うと、暁斎が何の異能を持っているか分かっている為、後手に回って異能を探る必要がないからだ。

そして暁斎は僕の攻撃を手に持っている盾で弾く。

弾かれた僕は今度は片手剣を持っている方に回り込み、2本の短剣で攻め立てるが、暁斎はその1本を片手剣で受け止め、もう一本は体を捻って躱す。

普通の人なら今の僕の攻撃で、スピードについて行けずに終わってもおかしくないのだが、やはり暁斎の防御はそう簡単には破れない。

また暁斎の盾や片手剣は異能で硬度が10倍まで強化されている為、不用意に攻撃し過ぎたり攻撃を受けたりすると、逆にこちらの短剣が壊れる可能性すらあるから注意が必要だ。


「ふぅ〜、今のは危なかったぜ」


「流石だね。この前に剣を教えたばかりなのに、また上達してる」


「まあな、こっちも負けてばかりにはいかないんでな」


「それならそっちから攻めて来ても良いんだよ?」


「勘弁してくれよ、そんな事したらカウンターもらって終わりだぜ」


「じゃあ、今度はギアを上げて行くよ」


一応、挑発して見たが余り効かなかったので、僕はそう言って更に生体超強化の異能のギアを上げる。

その瞬間、僕の体のあらゆるものが強化され、思考速度が上がり世界がゆっくり見えてくる。

そして僕はさっきよりも早いスピードで暁斎に近付き剣を振るう。暁斎はそれをまた盾で防ごうとするが、僕は攻撃が盾に当たる前で寸止めして、相手の側部に回り込み短剣を振るう。フェイントだ。


「うお!?」


そしてそれを暁斎は何とか防ぐが、僕の猛攻は終わらない。

僕はその後も暁斎の周りを動き周り、時にはフェイントを入れて暁斎を撹乱する。


「くそ!」


そして混乱して、何が何だか分からなくなった暁斎は剣を大振りする。

そしてそれが致命的な隙となり、僕はその攻撃を短剣で受け流し、もう1つの短剣を暁斎の首に突き付ける。


「ははは、俺の負けだ」


「そこまで、勝者黒霧」


『おおおおお!』


そしてその瞬間、周りから歓声が上がる。

どうやら僕と暁斎の戦いのレベルが高かったらしく、盛り上がった様だ。


そして僕達は星野さんの所に戻る。




「あー、また負けちまったぜ」


「惜しかったですね」


「いや、終始防戦一方で何も出来なかったわ。俺もまだまだだな」


「そんな事ないよ。暁斎は相当上達していたし」


「でもフェイントを使い出した常夜にやられっぱなしだったぜ」


暁斎はそう言うが、逆に言えばフェイントを使う程に暁斎の守りが固かったと言う事だ。


「フェイントは慣れてないと防ぐのは難しいからね」


「そうなのか?じょあ、もっと頑張らないとな」


「それにしてもこれで黒霧君はベスト4は確定ね。あたしも頑張らないと行けないわね」


いつの間にかベスト4まで来ていた様だ。


「もうベスト4か。それに櫛見さんの実力なら次も余裕だと思うよ」


「そう言ってくれると嬉しいわね。じゃあ次の試合だから行ってくるわ」


櫛見さんはこう言っているが、実際に櫛見さんの実力なら、まずCクラスで対処出来る人は少ないだろう。


「朱里ちゃん、頑張ってね」


「ええ、任せなさい」


そう言って櫛見さんは僕達を離れて行った。


______


櫛見さんの4試合目の相手は、櫛見さんと同じ女子生徒だった。


「両手準備は良いな?」


それに対し、2人は同意として頷く


「では、開始!」


こうして櫛見さんの4試合目が始まった。


櫛見さんはいつも通り分身を作り出す。

すると櫛見さんの相手が何もない空間に向かって剣を振りだした。

そして次の瞬間、その剣を振った場所から斬撃が飛び出した。

櫛見さんはその斬撃をサイドステップで躱し、相手に意識を戻すと既に相手は、櫛見さんに近付き剣を振り落として来ていた。

そして櫛見さんはその攻撃を何とか分身が防ぎ、今度は櫛見さんが分身と連携して時間差攻撃を繰り出す。

相手はその攻撃を剣で防ぐが、櫛見さんの追加攻撃の異能の2回の衝撃で体勢を崩し、その上更に分身のからの攻撃が来て、相手は防戦一方になり、どんどん追い込まれて行く。

これはもう櫛見さんの勝ちは決まったも同然だろう。

しかしその後も櫛見さんは油断せずに的確に攻撃して、確実に追い込んで行く。

そして隙を見て分身が相手の背後に周り、後ろから剣を首に突き付ける。

これで終わりだ。


「そこまで、勝者櫛見」


やはり櫛見さんの強さなら、Cクラスは余裕だろう。

というか櫛見さんなら、Bクラスに居ても可笑しくない実力を持っているので、どうしてCクラスに居るのか分からないなどど、常夜は自分の事を棚に上げて、そんな事を考える。




「ただいまー」


「おかえりなさい、朱里ちゃん」


「おかえり、これで櫛見さんもベスト4確定だね」


「ええ、この調子で黒霧君に負けるまで頑張るわ」


「僕には負ける事が前提なんだね」


「それはそうよ。流石に堅木君との試合であんな動きを見せられたら、勝てる気がしないわ。でも頑張って一矢報いるくらいは頑張って見せるわ」


「僕だって、完璧じゃないから負ける事だってあるかもしれないよ」


それに先程の試合を見た限りだと、一矢報いられるとそのままペースを持って行かれる気がする。


「いや、俺には常夜が負ける所なんて、全く想像つかねーわ。なんか偶にまだ隠し玉があるんじゃないかって思う事があるくらいだ」


鋭い。確かに僕には隠密者と絶死眼の異能がある。自分では隠しているつもりだが、周りには余裕がある様に見えるんだろうか?


「そんな事はないよ。そもそも僕の異能は生体超強化だけだし、隠し玉なんてないよ」


そう言って何とか誤魔化す。


「それもそうだな。それにしても2人とも後2試合で優勝だな。頑張って来いよ」


「うん、任せてよ」


「そうね、優勝は無理でもせめて2位にはなってみせるわ」


相変わらず櫛見さんは少し弱気だが、戦意は衰えていないので、これなら大丈夫だろう。


「よし、午前の模擬戦はこれで終わりだ。続きは午後から行うので、昼休憩が終わった後は、再びここに集合しろ」


すると、速水先生から午前の終わりが告げられる。

どうやら4試合目が終わるまでに思っていたよりも時間が経っていたらしく、もう昼の時間になっていた。


「では、解散だ」


その声と同時に体育館に集まった、Cクラスの生徒が出て行く。


「常夜、俺達も食堂で昼飯を食べに行こうぜ」


「うん、良いよ」


「じゃあ、あたし達も一緒に行くわ」


「じゃあ、行こうか」


______


「随分、混んでますね」


食堂に着くと星野さんがそう言う。

星野さんが言う通り、食堂には数百人を超える生徒がいた。


「それにしてもこの食堂広いわね。こんな人が居るのにまだ普通に席が空いてるわ」


「そうだね。こればかりは学園の広さに感謝だね」


「なあ、早く昼飯を取りに行こうぜ」


「そうだね。今日はうどんにしようかな」


「俺はカレーにするわ」


「あたしはパスタにしようかしら」


「あっ、私もパスタがいいです」


「それならあたしがパスタを2つ取ってくるから、夢は席の方を頼めるかしら?」


「席ですね。分かりました」


「じゃあ、一度別れて昼飯を取った後に集合にしよう」


「「そうね(そうだな)」」 「分かりました」


「じゃあ、また後でね」


そう言って僕達は一度分かれ、それぞれの列に並び昼飯を取りに行く。



それから僕はうどんを貰った後、星野さんを探す。


「あっ、黒霧君ここだよ」


すると後ろから星野さんの声が聞えてきたので、そちらに向かう。


「他の2人はまだ来てないみたいだね」


「はい、カレーやパスタの方は随分混んでるみたいです」 


「なるほど、ならもう少し待とうか」


「はい。····あの、どうやったら黒霧君みたいに強くなれますか?」


すると星野さんが急にそんな質問をして来た。


「どうやったらか。····それは僕にも分からないよ。僕ほただ必死に頑張っていたら、こうなってただけだからね」


「そうですか、じゃあ私も必死に頑張って見ます」


「うん、そうすると良いよ」


「はい」


それから暫く星野さんと話していると、暁斎と櫛見さんが戻って来たので昼飯を食べ始めた。




「じゃあ暁斎、相手を頼むよ」


「おう、任せろ」


そして昼飯を食べ終わった僕は、星野さん達と別れ少し昼飯を消化する為に暁斎に協力してもらって、少し体を動かす事にした。


「じゃあ、行くよ」


そう言って僕は暁斎に突っ込む。

ルールは基本先程の模擬戦と一緒で相手を降参させたら勝ちだ。

そして僕は模擬戦と同じ様にまたフェイントを使って、暁斎を攻め立てる。


「うお!いきなりかよ!」


そう言いながらも今度は、冷静に見極めて対処してくる。


「相変わらずの対応速度だね。じゃあ此れはどうかな」


そして今度は先程と同じ様にフェイントを入れて攻撃する。

しかしそれは先程と違い、通常の攻撃とフェイントの区別を殆ど無くしている。


「はぁ!まじかよ!」


そして僕さ暁斎をどんどん攻め立てて行き、最後はまた暁斎の首に短剣を突き付ける。




その後も暫く体を動かした僕は時間になったので、体育館に戻って来た。


「はぁ、結局何も出来なかったぜ。あんなフェイント反則だろ」


「そんな事ないよ。上手い人ならあれくらいはしてくるよ。多分、速水先生も同じ事が出来ると思うし」


「まじか!俺もまだまだだな」


「でも僕の場合は身体能力が高いから対処出来てなかったけど、普通なら暁斎でも対処出来るから大丈夫だよ」


「う〜ん、やっぱり身体強化系の異能者は面倒だな。まぁ、今は常夜の試合だな。残りの試合も頑張って来いよ」


「うん、行ってくるよ」


そしてその後、僕と櫛見さんは何事もなく勝ち進み、決勝で戦う事になったのだった。



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