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入学式

試験から3日が経ち、入学式の日になった。

この3日間、僕は学園で使う道具を買ったり、学園では寮での生活になるので荷造りをしていた。

そう、学園では特例を除いて、ほぼ全員寮で生活しなくてはならないのだ。

それは学園が都市部から離れていて、移動に時間が掛かるという理由もあるが、寮の方が何かと都合が良いらしい。

それに僕の場合、ずっと一人暮しだったので、寮での生活だろうと何も変わらないので問題ない。

そして今日はまず3日前に行われた試験の結果に合わせてクラスの掲示があり、その後に入学式があるという流れだ。

そして準備が出来た僕は、早速学園に向かったのだった。


______


その後学園についた僕は、早速掲示された自分のクラスが何処か見に行く事にした。

因みにこの学園のクラスは、FクラスからSクラスまでの7つに実力に合わせてクラス分けされているそうだ。つまりSクラスがこの学園のトップの実力のクラスと言う事だ。

また、実力によってクラスを分けている為、実力の低いFクラスやEクラスは必然的に人数が多くなるので、そのクラスの中でまた小さく分かれている。

クラスを実力で分ける理由は色々あるそうだが、一番の理由は、魔獣と戦う訓練の時に強い人と弱い人が一緒になると、強い人の足を引っ張ってしまって怪我を負うことがあるらしいのでこれは仕方ないだろう。


そして掲示板の所に着き、自分のクラスが何か確認すると、そこにはCクラスと書かれていた。

つまり、全体での実力は真ん中くらいと言う事だ。まあ、隠密者と絶死眼の異能を使わずになのでこんなものだろう。

また、良く見ると、クラスの横に筆記試験の結果が載っていた。

そして9位と書かれた文字を見て、僕は大いに驚く事になった。

それはそうだろう。ロクに学校に行けなかった僕がいくら勉強したと言っても9位という結果に驚かない方がおかしい。

何しろこの学園の一学年は479人もいるのだ。つまり僕は約479人中9位を取ってしまったと言う事なのだ。


それから一頻(ひとしき)り驚いた後、僕は入学式が行われる体育館に向かう事にした。


「うわっ!?」「きゃっ!?」


そして入学式に向かう為に、試験の結果が書いてある掲示板の周りに出来た人ごみから出た所で、誰かとぶつかったのか不意に横から衝撃が来た。


「あっ、ごめん、大丈夫?」


また、そのぶつかった衝撃で僕が倒れる事はなかったが、僕とぶつかった相手である女の子が倒れてしまっていたので、直ぐに安否を確認する。


「え?あ、あの、その、····ご、ごめんなさい!」


しかし、その女の子は、ぶつかった事が恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしながら謝ると、何処かに走って行ってしまった。

別にぶつかってしまったくらいで、そこまで恥ずかしがる程ではないと思うのだが····。まぁ、このまま考えても分からないので、気にせずに体育館に向かう事にした。


______


「おっ、常夜じゃねーか!」


僕が体育館の入口で受付を取った後、自分のクラスの椅子に向かうと先に来ていたらしい暁斎から声を掛けられた。


「試験の時は時間ぎりぎりだったけど、今日は早いんだね」


そして僕も暁斎の横の席に座り話し返す。


「あの時は偶々だ。意外かもしれないが、こう見えて結構、朝は早いんだぜ」


「それは確かに意外だね。イメージ的には学校に何時も遅刻するイメージだったんだけどな」


「ひでえ!流石にそんなイメージじゃねーだろ!」


「まぁ、朝に強いのは羨ましいよ。僕は朝にはかなり弱いから」


「へぇ、そっちこそ意外だな」


「まあね。でも暁斎もC組だったんだね。暁斎の異能ならもっと上に行けると思ってたんだけど」


「多分、実技試験で異能を上手く活かせなかったからじゃないか?」


「そうかな?結構、いい線行ってたんだと思ったんだけど···」


「まあ、なっちまったもんは仕方ねーよ。所で常夜、お前筆記試験の方は何位だった?」


すると、暁斎が急に筆記試験の順位を聞いてきた。


「筆記試験?暁斎は何位だったの?」


「俺は頭が悪いから235位だ。で、お前はどうなんだ?」


235位か、本人は頭が悪いとかいってるけど、良くも悪くもないと言ったところだろう。


「僕は9位だったよ」


「まじか!?」


「うん、僕も驚いたよ。僕は学校に行ってなかったから、下の方だと思ってたんだけどね 」


「9位か、すげーじゃねーか。稀に見る天才ってやつか?」


「いや、僕より上もいっぱいいるし天才はないよ」


「いやいや、上が居るのは当たり前だろ!毎日勉強漬けで頑張ってるやつも居るし、尚かつ絶対記憶的な異能を持ってる奴もいるだろうからな」


「なるほど、確かにそうだね。でも僕みたいなのが天才はないよ」


「いやでも天才だろ!お前、どうしてそんなに自分の自己評価が低いんだよ!?」


「いや、僕に評価が高い所なんて殆どないよ」


「そうか?顔も整ってるし頭も良いから、結構評価は高いと思うけどな」


「いくら顔が整っていても、町を歩いていたらいつも女に間違われるんだよ!これじゃ男として喜べないよ」


そうなのだ、僕は町を歩けばほぼ確実に()にナンパされるのだ。それで喜ぶべるのは、一部の特殊な性癖を持っている人だけだろう。


「ああー、それは、その、お疲れ様だな」


これには流石の暁斎も効いたのか、憐れみの目線でそう言って来た。···なんか、自分で言ってて哀しくなってきた。



「あの、隣良いですか?」


その後も暁斎と色々と話しをしていると、誰かがそう話掛けてきた。


「はい、いいですよ。あっ!」


「え、あっ!」


僕が許可を出して顔を合わせるとそこに居たのは、僕が体育館に向かう時にぶつかった女の子だった。


「····えっと、君は」


「あ、あの、さっきはすいませんでした!」


すると、急に相手が謝ってきた。


「えっと、その事はお互い様だし気にしなくて良いよ。それよりまずは座りなよ」


「え、あ、失礼します」


「何だ?常夜の友達か?」


女の子が座った所で、さっきの会話が気になったのかそう聞いてきた。


「いや、さっき体育館に向かってる途中にぶつかっちゃったんだよ」


「へぇ〜、でも常夜の異能ならぶつかる前に気付いて避ける事も出来たと思うだがな」


「ああ、その事か。実はあの異能はパッシブなんだけど耳とか鼻も強化されるから人ごみはちょっときついから意識的に解除してたんだよ。万能そうに見えて結構デメリットが多いんだよ」


「なるほど、それは確かにきついかもな。でもそれを踏まえても、結構強力な異能だと思うけどな」


「いや、確かに強力だけどデメリットも大きいんだよ。例えば五感が強化されて感覚が鋭くなると、怪我をした時に強化された分だけ痛く感じるんだよ」


「うわ〜、それは地味にきついな」


「うん、他には人ごみで使うと雑音や匂いで頭痛くなるから、普段は強化を緩めていんだ」


「なるほどな」


「何か話が逸れたな。えっと、君は何ていう名前なの?」


何だか、話が逸れてしまったので話を戻すついでに女の子について聞いて見る事にした。


「え、私ですか?私は星野(ほしの) (ゆめ)と言います。よろしくお願いします」


星野 夢と名乗った女の子は急に話し掛けられて驚いていたが、名前を教えてくれた。


「僕の名前は黒霧 常夜。こちらこそよろしく。後僕に敬語は何て使わなくて良いよ」


「それと俺は常夜の友達の堅木 暁斎だ。よろしくな」


「はい、よろしくお願いします。それとこの敬語は癖みたいなものなので気にしないで下さい」


ここまで話をすると一度会話が途切れた。

因みに星野さんの容姿は黒髪をロングに伸ばしていて、顔も整っていてかなりの美少女だ。


「入学式が始まるので会場の皆様は静かお願いします」


それから暫く話をしていると、そう声が聞こえてきた。

どうやらもうすぐ入学式が始まる様だ。


「ではこれより入学式を始めす。まず校長からの話です」


すると前に一人の男の人が立った。


「私がこの学園の校長の如月(きさらぎ) (れん)だ。そして今年は479名もの入学者が来てくれた事をとてもよく思う。それから··········」


····話が長い。僕は学園に行ってなかった為よく分からないが、この長さは普通なのだろうか?


「なあ、暁斎」


「ん?何だ?」


「校長の話ってこんなに長いのが普通なの?」


「ああ、そういえば常夜は学校にいってないんだったな。う〜ん、何処の学校もこんなもんだと思うぞ」


「そうなんだ」


·········

······

···


「·····ここまでを校長である私の話とする。以上だ」


どうやら校長の話が終わった様だ。


「これで入学式を終わります。生徒の皆様は各クラス事に指定の教室に向かってください」


その後も入学式が進んで行き、学園の生徒会長やその他来賓の方の話が終わり、暫くして入学式が終わり、周りの人が移動を始める。


「やっと終わったな。常夜、俺達も教室に行こうぜ」


「そうだな、星野さんも一緒に行こう」


「はい」


そして僕達は指定された教室に向かった。


_____


指定された教室に着くとどういう因果か、僕と暁斎が筆記試験を受けた教室だった。

そこで特に席などは決められてないので適当に好きな席に座る。


「それにしても、まさか校長や来賓の人の話があんなに長いとは思ってなかったよ」


「えっ?そうでしたか?どちらかと言えば短い方だと思ったのですが···」


「あー、そういえば星野さんは知らなかったな。実は常夜は色々事情があって今まで学校に行けなかったんだよ」


「えっ、そうなんですか!?すいません、そんな事知らずに私···」


「別に気にしなくても良いよ。それにこれからは僕も学校に通えるから楽しみだよ」


「まぁ、本人が気にしなくて良いって言ってるんだから気にしなくとも良いって。しかも常夜は独学で滅茶苦茶頭良いしな」


そこで暁斎が重くなった空気を変える為か、話を僕の学力の事に変えてきた。


「えっ、そうなんですか?」


「ああ、順位は9位だったらしい」


「9位!?···凄いですね」


「因みに星野さんは何位だったの?」


そして僕は気になった事を聞いてみる。


「私は黒霧君程はありませんから68位でした」


「へぇ、嫌味に聞こえるかもしれないけど68位なら十分だと思うよ」


「確かに68位でも相当高いと思うぞ。てか改めて235位の自分の学力の低さが分かるわ」


「暁斎は自分の学力は低いって言うけど丁度真ん中くらいで悪くはないと思うんだけどな」


「そうですね、235位なら悪くないと思いますよ」


「8位と68位のお前らに言われても、あんまり慰めにならないんだけど···」


それから暫く僕達は暁斎を慰めたのだった。

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