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試験

翌朝、僕は目を覚ます。

しかし、僕が朝に弱いのもあるが、昨日は暗殺者として活動をしていた為、睡眠時間が足りずかなり眠い。

取り敢えず冷たい水で顔を洗い、ある程度眠気が飛んだ所で朝食の準備を始める。

作る朝食はご飯に焼き鮭、味噌汁、その他といった和食系のメニューだ。


そして出来上がった朝食を食べ始める。

また、今日は学園に行き、学園のクラス決めの為の試験を受ける事になっている。

試験の内容は筆記試験、異能の測定、実技試験の3つだ。また、別にこの試験の点が低いからと行って学園に入学出来ないとかそんな事はない。

あくまで学園は魔獣と戦うすべを学ぶ場所なので、例え筆記試験が0点でも入学は可能だ。

そしてその試験の結果に合わせてクラスを決め、3日後の入学式から学園生活が始まると言う訳だ。


その後、朝食を食べ終わり一息ついた後、僕は学園に行く為に学園に行く人に事前に送られた制服を着る。

こんな風に事前に制服が届くのも、異能者がほぼ強制的に学園に通わせているから出来る事だろう。

それも僕にとっては学園は嬉しい事だが、この強制入学のせいで夢を諦める人もいるそうだ。。

そして準備が出来た僕は早速試験を受けに学園に向かう事にした。


________


まだ試験の時間には早い筈だが、僕よりも先に来ている人もある程度いる様だった。

因みに学園があるのは東京だ。正確には東京の都市部から離れた場所の広大な敷地がある場所。


そして僕は、学園に入って直ぐの所にある受付に向かう。


「あっ、試験を受ける(かた)ですね。確認をしますので、お名前を教えて下さい」


「黒霧 常夜です」


「···はい、黒霧 常夜さんですね。ではこれを胸の辺りに付けて、筆記試験が行われる教室に向かって下さい。教室については受付の隣にある掲示板に書いてあるので、それに従って下さい」


「分かりました」


受付を終わらせた僕は、受付で渡された名前が書かれたピンのついた物を左胸に付け、筆記試験が行われる教室に向かった。



そして掲示板に書いてあった教室に着いた僕は、まず教室を見渡す。

すると、教室には僕と同じ試験の受験生と思われる人が数人居ただけで、他の受験生はまだの様だった。


それから暫く経ち、ふと周りを見ると、教室の席が試験を受ける受験生で埋まってきていた。

時計を見ると試験がもう少しで始まる時間になっていた。


「ふぅ〜、あぶねー、何とか間に合ったぜー!」


すると試験まで後3分という所で、僕の後ろの席の人が来た。

このまま放置するのも手だが、これから同じ学園生になるので取り敢えず話掛けて見る事にした。


「ぎりぎりだね、後3分で試験が始まる所だよ」


「お、まじか、本当に間に合って良かったわ。それと俺は堅木(かたぎ) 暁斎(きょうさい)だ。気軽に暁斎って呼び捨てで呼んでくれ」


因みに暁斎と名乗った人の容姿は茶髪でガタイが良い大柄な容姿だ。


「了解、暁斎だね。僕の名前は黒霧 常夜。僕の事は好きに呼んで良いよ」


「オッケー。これからよろしくな、常夜」


「こちらこそよろしく」


ここまで言った所で教室に女の人が入って来た。


「私が今日この教室の試験監督をする速水(はやみ) 智恵(ともえ)だ。ではこれより筆記試験を始める。試験用紙が届いた者から始めてくれ」


こうして筆記試験が始まった。


他の学校の筆記試験はよく分からないが、この学園の筆記試験どうやら国語、数学、英語の3教科を一度にやるらしいく、時間配分を間違えれば悲惨(ひさん)な点数になりそうな方法だ。

因みに僕は小学校や中学校には行けなかったが、その分しっかりと独学で勉強していて、ある程度の勉強は出来る方なので問題ない。


「筆記試験はこれで終わりだ。回答を回収した者から異能検査をするから第一体育館に向かってくれ」


筆記試験は恙無(つつがな)くが終わり、次は異能検査になった。

異能検査とは名前の通り、もう一度どの様な異能を持っているかを調べる事だ。

でも僕は隠密者と絶死眼の異能はばれるとまずいので、隠密者の異能で隠す予定だ。

本当に隠密者の異能が生物以外にも効果があって良かったと思う。


「常夜、筆記試験解けたか?」


僕が体育館に行こうとすると、暁斎がそう声を掛けてきた。


「う〜ん、問題もそんなに難しくなかったし、結構解けたと思う」


「え、まじで!?俺は学力は普通くらいなんだが、結構難しいと思ったんだけどなぁ。もしかして、常夜って相当レベルの高い学校に行ってたりとかするのか?」


「ん?いや、僕は色々と理由があって学校には行けなかったから、独学で勉強してたんだよ」


「そ、そうなのか。悪い、そんなつもりで言ったんじゃなかったんだが···」


「気にしなくて良いよ。それに今まで学校に行けなかった分だけ、この学園を楽しめば良いんだよ」


これは重くなった空気を戻す為の建前ではなく本音だ。

僕は本当に今まで学校に行けなかった分、この学園を満喫しようと思っているのだ。


「そうだな。よし、俺達も遅れない様に体育館に行くか!」


暁斎そう言ってきた為、僕達は体育館に移動を始めた。



体育館に着いた僕達は直ぐに受験番号順に異能検査を受ける事になった。

因みに常夜の番号は138番号だ。


「次、138番黒霧 常夜君!」


「はい」


名前を呼ぼれ、前に出るとそこには一つの装置があった。


「では、この装置に両手を置いて下さい」


「分かりました」


そして僕は両手を装置に置きながら、隠密者の能力で隠密者と絶死眼の異能を隠密する。


すると装置から紙が出て来た。


「君の異能は生体超強化だね、よし、もう手を話して良いですよ」


「ありがとうございました」


どうやら異能を隠す事は上手く行った様なので、お礼を言って離れる。


「·····次、139番堅木 暁斎君」


そして次に暁斎の異能が調べられる。


「·····君の異能は硬度変化だね」


どうやら暁斎の異能は名前からして硬度を操る事が出来る様だ。


「ふぅ〜、異能の検査も終わったし、後は実技試験だけだな」


「うん、でもどんな内容か分からないから、普通に先生と戦って実力を調べるのか、それとも何か特別な事をやらせるのか判断がつかないよ」


「まぁ、それはやって見るしかないな。それと常夜の異能って確か生体超強化だっけ?それってどんな効果なんだ?」


ふと思い出したのか、暁斎が僕の生体超強化の異能について聞いてきた。


「僕の異能は名前の通り生体を強化、つまり身体を強化するんだよ。例えば視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚と言った五感を強化や身体能力が上がる異能だよ」


「へぇ〜、そう言う異能もあるのか。あっ、因みに俺の異能は硬化を変える異能で自分や武器の硬化を高めたり、触れた物を柔らかくしたり出来る異能だ」


「そうなんだ。因みにそれって硬化を高められる上限とかあるの?」


「ああ、それか。軟化の方は上限は無いんだけど、硬化の方は最大でも今は10倍が限界だな」


「10倍って相当強いと思うけど、それを武器に使ったら相当な攻撃力になるね」


「ああ、だから俺の戦闘方法は接近戦で武器を硬化して戦うんだ。それにこの異能は俺を硬化している時は、何故か普通に動く事が出来るんだよ」


なるほど、それは単純だが相当使えるだろう。

つまり鉄の剣を使えば、鉄の10倍の強度の武器で戦う事が出来るのだ。

それに加えて硬化したまま動けるとなれば、それは相当な強さだと思う。


「おっ、どうやら全員の異能検査が終わったようだぜ」


暁斎にそう言われて僕も周りを見ると、どうやら本当に終わった様だ。

すると、試験監督の人が前に出て来た。


「よし、では最後に実技試験を行う。内容はただ試験監督と模擬戦をして実力を測るだけだ。武器等を使う場合は学園の物を使って構わない。では呼ばれた者から前に出ろ」


「···模擬戦か、ずいぶんと単純な試験だな」


「そうだね。でも実際に戦った方が実力も測り易いんだよ」


「なるほどな。よし、じゃあ俺は模擬戦に使う武器を借りてくるわ」


「あっ、それなら僕も武器を借りたいから一緒に行こうよ」


本当はもしもの時の為に持って来ているのだが、ここは暁斎に合わせて借りた方が良いだろう。


「ん?一緒に行くのは良いけど、常夜って武器を使うのか?」


「うん、短剣だけどね」


「へぇ〜常夜が武器を使うとはな、人は見掛けに寄らないって言うのもなかなか間違ってないな」


「どういう意味だよ!」


「いや〜、常夜って身長も低いし顔も女みたいだから、制服と声を聴かなかったら女の子と間違えてたかもしれないわ」


「う〜、自分でもその事は気にしてるから言わないで!」


「ははは、それは悪かったな」


______


その後、僕達は武器を借り終わったので、他の人の試験を見る。

すると、今試験を受けている男子が自分の身の丈程ある斧を振り下ろし、その相手をしている試験監督は、それを剣でいなして隙を作り、攻撃して勝負がついた。


先程から短剣や斧、剣といった、現代から掛け離れた武器を使っているが、これには理由がある。それは魔獣が巨大で銃などの小さな傷では効き目が薄いのもあるが、異能によっては剣や斧といった武器の方が相性が良いと言う事が良くあるからだ。

それに幾ら魔獣と戦う異能者と言っても、子供に銃を持たせるのは危険過ぎると言う理由もある。


そして暫く観戦していると、いつの間にか僕の順番が来ていた。


「よし、僕は次だから行ってくるよ」


「おお、がんばれよ」


そして俺は暁斎の激励を背に試験監督の方に歩き出した。


「黒霧だな。準備はいいな?では始めだ!」


こうして実技試験が始まった。


今の僕は隠密者と絶死眼の異能を隠しているので使えない。

つまり僕は生体超強化の異能と技術のみで戦わないと行けないという事だ。


試験監督が持っているのは剣だ。

僕の短剣よりもリーチが長い為不利だが、その分小回りが効くのでどちらが有利などという事はない。


「行きます」


そして僕はそう声を掛けて、両手に短剣を構えて駆け出す。


僕が近付くと、試験監督がすかさず剣を振り下ろしてきた。

僕はそれを短剣でいなしながら、もう一つの短剣で斬り付けるが、試験監督が異能を使ったのか、通常では有り得ない速さで回避された。


「なかなかやるな。何処かで習ったのか?」


「ええ、まぁ、少し」


流石に暗殺で鍛えたとは言えないので話を濁して話す。


「ではこちらも少しギアを上げていくぞ」


試験監督がそう言うと、また通常では有り得ないスピードでこちらに駆け寄ってくる。

このスピードは普通では対処出来ないだろうが、僕は生体超強化の異能で身体能力や動体視力も上がっているので、何とか対処出来る。


そしてそれから暫く、防戦一方となり戦闘を続けていたが、そろそろ僕もいつもは何かと不便なので抑えている、生体超強化の異能のギアを上げる事にした。


「よし、黒霧の実力は分かった。試験はこれで終了だ」


しかし、僕がギアを上げ様とした所で試験終了の合図が出た。

恐らく、僕がずっと防戦一方になっていた為、あのまま続けていても時間を食われるだけだと思われたのだろう。


「ありがとうございました」


そして僕は挨拶をして下がる。

勿論、ここで試験を続ける様に言っても良かったのだが、僕の目的はあくまで学園生活を楽しむ事なので、このまま終わる事にしたのだ。



それから暫く経ち実技試験が終了した。

因みに暁斎は武器の硬度を上げ善戦していたが、試験監督が異能でスピードを上げると、そのスピードについて行けずに負けてしまった。


「全員今日はよく頑張った。次に会うのは3日後の入学式だ。それでは解散!」


試験監督のその声で受験生達が下校を始めた。


「ふぅ〜、終わったなー、それにしても常夜があんなに強いとはな」


「いや、相性が良かっただけだよ。生体超強化の異能で動体視力も上がっていたから、何とかあのスピードについて行けたんだ」


「なるほどな、でもそれも実力の内って事だろ」


「まぁ、そうかもしれないけど···。それと思ったんだけど、暁斎に全身甲冑を着せたら強そうだよな」

 

「あっ、確かにそれは強そうだな。甲冑の重さで機動力は下がるけど、その分攻撃を防げるしな」


「うん、まぁ、気が向いたらやって見たら?」


「そうだな。じゃあ、もうそろそろ俺も帰るわ。またな常夜、今度は入学式の時に会おうぜ」


「うん、またね」


そして暁斎と別れた後、僕も家に帰るのだった。



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