プロローグ
二作目です。
まだまだ下手ですが宜しくお願いします。
闇の中、大きな豪邸の敷地に一人の男が入る。
その男は暗殺者。その男は豪邸の奥にある屋敷にいるターゲットに向かって歩を進める。また、その侵入には誰も気付かない。
男はただ道を進んでいるだけだが、その男を防犯の為に付けてある監視カメラですらその姿を捉えない。
そして隠れもしない暗殺者は、誰にも気付かれないまま屋敷に入った。
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屋敷の中にある執務室。
その執務室で一人の男、この豪邸の所有者が高級そうな椅子に座っていて、側には執事の様な格好の男が立っている。
そして椅子に座っている男、神原 荘司は「今日も馬鹿な屑共のお陰で金が潤った」と言いならがら高笑いを上げる。
この男は今まであらゆる極悪な手を使い金を巻き上げ来た男だ。
この男の手に掛かった人も少なくなく、様々な人物から恨まれているが、男の財力に物を言わせた警備に誰も復讐出来ないでいた。
そして男は今日も普通に一日が終わると思っていた。自分の人生の終わりが近付いているとは露知らずに。
その後、暫く執務室で寛いでいると執務室の扉の向こうで物音が聞こえてきた。
「おい、うるさいぞ!」
その音にそう男は怒鳴り声を出すが返事がない。
「おい、何とか言え!聞いているのかっ!」
そこで男は異変に気付く。何かがおかしい。自分がこんなに声を出して反応がないなどあり得ない。
「荘司様、私が様子を見に行って来ます」
すると執事の様な格好の男が扉の向こうの様子を見に行こうとして扉を開ける。
そして、次の瞬間、執事の格好をした男が倒れる。
「なっ!?どうした!!」
急に倒れた執事に男は驚きの声を上げ近寄る。そして目に映るのは首を掻き切られて赤黒い血溜まりを作る執事の姿。
「ひいいぃぃぃ!!」
それを見た男は悲鳴を上げて腰を抜かす。
そしてきょろきょろと周りを見るが誰もいない。そして誰もいない事に安堵したその時、
「お前が神原 荘司か?」
何処からそんな声を掛けられ男は心臓が止まりそうになる。
慌てて周りを見るが誰もいない。
するとまた「お前が神原 荘司か?」と同じ問が聞こえてくる。
もう一度周りを見る。しかしそこには誰もいない。
「そ、そうだ。貴様は誰だ!」
「私は貴様を殺す者だ」
殺す者。つまり暗殺者。そして見えない敵。このキーワードで男は1つの名前が導き出される。
「ま、まさか、お前は不可視の死神か!?」
「······」
暗殺者は沈黙。沈黙とはすなわち肯定を意味する。それを理解した瞬間、男は死を覚悟する。
不可視の死神とは、例えどんな人物であろうと誰にも気付かれる事なく、暗殺成功率100%で暗殺をする事からつけられた名前だ。
そしてその声を聞いた者は誰一人として生きていない。
その声を聞いた者は全て殺されるからだ。
「た、頼む!金ならいくらでもやる!だから見逃し···」
しかし男の命乞いが最後まで言われる事はなかった。
何故なら、その時にはもう、男は背後から心臓一突きされて、殺されていたから。
そして暗殺に成功した暗殺者は、そのまま豪邸を出て行った。
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「ふう、終わったー」
暗殺に成功し家に帰って来た暗殺者の男···否少年、黒霧 常夜はそう声を上げ、ベットに倒れる。
また、常夜に家族と言える人物は居らず、今は一人暮しだ。
その顔は少し女顔に近い中性的な顔で整っており小柄で、身長は平均よりも低く、肌も白い為、普通に町を歩いていたら間違いなく女の子に間違われる容姿だ。
とてもこんな非力そうな少年が暗殺を成功出来るとは思えないが、少年はある力、異能の力の使うことで、それを可能にしている。
異能と聞いて厨二病っぽく聞こえるかもしれないが、今では異能は一般的に知られている。
それはある日を境に世界中に動物が突然変異したり、化け物が生まれ始め、世界中が大パニックになった。また、その化け物によって被害を受け、最悪滅んだ国も幾つかある。
勿論、日本もその例外ではなく、沢山の町が滅び、化け物がいる場所を境界に封鎖して安全を確保したが、今では日本はある程度の範囲しか残っていない。
また、それと同時に人類に不思議な能力、異能を持った能力者、異能者が生まれて始めた。
そして政府は化け物の対処を最初は兵器を使ってしていたが、兵器のコストが問題となり、その結果、異能を持った異能者が対処する事を決めた事により、異能者は化け物と戦う事が義務づけられた。
異能は産まれ付き持ってる者も居れば後天的に手に入れる人もいるそうだが異能を持っていれば必ず5歳までには現れるようだ。
また、異能は全員が持っている訳ではなく、その異能の強さもピンからキリまであり、最大で3つ持っている者が見つかっている。
因みに常夜が持っている異能は【隠密者】【絶死眼】【生態超強化】で最大数の3つだ。この3つの異能の効果はこれだ。
【隠密者】
·····高練度で姿や気配、匂い、音などを悟られ難くする事や認識阻害。また、この異能の使用者が分からない相手や敵意が少しでもある相手に絶対的な隠密。
【絶死眼】
·····相手を確実に死に追いやる事の出来る箇所が見える。
また、その箇所に攻撃が当たれば相手を確実に死に追いやる。
【生体超強化】
·····使用者の生体を強化する。(五感や身体能力、思考速度など)
隠密者の異能だが、この異能は生物以外にも効果を適用させる事が出来る。
つまり、監視カメラなどの機械にも効果が適応されるし、危険察知や相手の異能を見抜く鑑定系の異能なども防ぐ事も可能だ。
次に絶死眼の異能だが、この異能の効果を分かり易くすると相手を殺せる急所の箇所が見え、例え傷が浅くてもその箇所に攻撃を当てる事が出来るれば、相手を確実に殺す事が出来る異能だ。
生体超強化の異能は説明通りの効果で、この異能はパッシブで発動する異能で、意識して解除しない限り常時発動する。
以上が常夜の持っている異能の効果であり、不可視の死神と言われる由縁だ。
まあ、自分から見たら不可視ではなく察知不能なのだが、周りからは不可視と変わらないのだろう。
また、本音を言うと、上2つの隠密者と絶死眼の異能の効果は異常だが、その分デメリットもある。
まず隠密者の異能だが、この異能の使用者がばれたら効果がただの隠密に激減するので、この異能を他人に話す事は出来ない。
また、絶死眼の異能は相手を殺す場合にしか使えないし物騒過ぎてこれも他人に話せない。
その後、僕は少し遅い夕飯を食べ、体を休める為に風呂に入る。
「ふぅ〜、僕ももうすぐ学園か〜」
そして風呂に浸かっていた僕はぽつりとそう漏らす。
僕の言う学園とは、能力者が集まる場所の事で、その学園は授業と言う形で戦い方を学ばせ、今では魔獣と言われている化け物と戦うすべを身に着けさせる所だ。
そして能力者はこの学園に学力に関係なく、ほぼ無償で強制的に入学しなければならない。しかし、色々な事情で小学校すら途中から行けず、友達が居なかった常夜にとっては例え魔獣との戦う力を学ぶ場でも、学園に行けて最低限の教育が受けれると言う事はとても嬉しい事だった。
そして僕はこれから起きるであろう学園での出来事に思いを馳せて眠りにつくのだった。