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浪人下僕と灰かぶりな姫  作者: 中田 タナカ
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プロローグ

二度目の医学部受験を失敗した星野 伊月は、母の勧めでイギリスへの短期語学研修に来ていた。そこで出会った高校時代の友人、良平と出会いその日の行動を共にすることになる。目的もなくたわい無い会話を交わしたりして今日も終わるはずだった。しかし、良平が偶然にも気になる空き家を見つけてしまい、伊月も止む終えず侵入することになるのだが....。

昼前、喫茶店にも人入りが見え始め、様々な客層が集まりつつあった。

社会人らしい男は渋そうな顔でノートパソコンに向かっており、別の席では二組の大学生らしき女性二人が楽しげに話していた。

「ねぇ、星野って知ってる?。」

青いカーディガンを羽織った一人の問いかけにもう一人が飲みかけのカップをテーブルに置く。

「えっとー、たしか、今浪人してたよね?そういえばどうだったの。」

「実は今年もダメだったらしいよ。」

「え?じゃあ、二浪?マジやばくない?。今年私たち成人だよ。」

「んー、高校の頃は凄い頭いいと思ってたんだけどね。定期テストいつも10位には入ってたみたいだし。」

「それで無理ならうちには受験無理だわ。」

「こういうのは聞くと推薦って入ったのは勝ち組って感じ。」

「本当それ、安定がいちばーん。」

二人は笑い合いまた別の話題へと入っていった。





.........。

星野 伊月は暗がりの公園の中、一人ベンチに佇んでいた。

現役時不合格を得て、一年予備校へ通い実力は上がっていたはずだ。

実際、本番のセンターは9割近く取れた。

なのに落ちた。

実力が足りなかったなんて思わない。

伊月よりデキの悪かった同じコースの現役生が伊月の志望していた大学に受かったらしい。

そいつとの差は運、ただ運が悪かっただけ...。

何度も自分に言い聞かす。そう言わないと押しつぶされそうになっていた。

いくら自分に言い訳しても、今まで協力してくれた先生にもそして予備校代を出してくれた親にもう見せる顔がない。

さっきだって結果を報告した時の母さんの顔をみて、勢いで出て来てしまった。

こんなの自分だけじゃない、医学部志望なら二浪なんて沢山いる。

分かってる、でも....。

今はまた一年やり直そう、そう思える力はもう伊月には無かった。





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