壊れた心と体
ぷーん
羽音がする。
ぷーん
うるさい。
ぷーん ぷーん ぷーん ぷーん ぷーん ぷーん
「うわぁ、もううるさい!」
パチン!
蚊を叩いて潰す。痛みで少し現実に戻される。
「ここって...何処?...ああ、わかった。理解した。竹やぶか。というか、今何時だ?携帯は?」
携帯を取り出すと、そこには『1時56分』としっかり表示されている。携帯は県外ってわけでもなくかろうじてアンテナが立っている。
無いと思ったが、着信履歴は本当無い。
この位置がバレると面倒なのですぐさま機内モードへ変更して、連絡手段を絶つ。
「さて、これからどうするか...」
目の前には綺麗なカラスの死体。血すら付いていない。
「...今って誰もいないんだよね?つまりこの場で痛いことしても誰にも気づかれないと...よしやってみよう」
寝ぼけているのか、よくわからないことをしだす。
適当にそこらへんに落ちてる棒で魔法陣を描く、我ながら下手だと思うがそこは気にしないでおく。気にしたらキリがない。
魔法陣の中心に死体を置く。
次は血だ。
魔法陣を描いた棒は衛生上よろしくないので
新しい棒を拾い左手の平を傷つける。
二つの意味で痛いけどそれがこの状況で今生きていることを証明となり、ここにいるという安心感を得た。
というか、拾った棒なんだから汚れていようと汚いのでは?と思ったが後の祭り。
次は...詠唱。一番痛いやつ。
魔法陣の上に立ち。
「我、汝と契約を結ぶ者。この血をもって契約とし、汝の肉体を潤そう」
左手を裏返し、血を落とす。
「いっ...な、汝、魂を取り戻したければ、我が命、分け与えよう」
そして、決めの一言。
「現界せよ!我が分身ッ!」
アニメを元に詠唱を考え考えで作り唱えてみたが...
痛い。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
?誰の声?なんか、女性の声がしたけど。
「そんな痛い詠唱いらないわよ」
「...はず......恥ずかしい!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい」
その場で転げ回る。
「うるさい!」
「はい」
止まって夜空を見る。
「夢だな、うん。夢だ」
「こらっ、逃げるな、現実逃避するな」
顔を覗き込んでくる。
でも...
「カラス」
「そうだけど?」
白いカラスがそこにいる。目の前に。
「綺麗」
「何が?」
「その体」
「カラス好きなの?」
「いや、その...白いカラスって珍しくて...つい感想をこぼしちゃった」
あくまで鳥なので表情はよくわからない。
「そ、そうなのね」
が、怒ってることはよくわかった。雰囲気で。
「で?契約するの?しないの?はっきりしてもらっていい?」
「はい!します!」
「何年?」
「はっ?」
「だから、何年よ?寿命!何年くれるの?」
聞いてない。知らない。無知は罪じゃない。
はず...
「まさか、知らないの?わからないの?」
「はい」
その場に正座。
「あのね、初歩的なのものよ?これ。この世の理なんだから。等価交換。例えば十年渡すと、私はこの世に十年生きれる。これでわかった?」
首を縦に10回ほど振る。
「で、何年よ」
「少し時間をもらっていい?」
「駄目。あの量の血だとあと3分が限界かしら」
即席麺かよ!ってか3分あるんだ。
どうするか...
このまま生活したって彼女なんてできそうにないし...一緒に死んでくれるならそれはそれでいい死に方ではないだろうか?一人で死ぬよりかはマシだ。だが、問題は
「なぁ、どれくらい俺に寿命ってあるの?」
少し悩んだ後。
「そうね〜、あと80年ほどかしら」
意外に教えてくれるんだな、このカラス。
それにしても80年か...あと40年か悪くない。
どうせあと少しで死んだっていいんだ。復讐さえできれば。
「よし、決めた」
「言っておくけど、取り返しはつかないからね。一度宣言すると元に戻せないのよ?」
大事なことを先に言ってくれて助かる。
でも、僕の意思は変わらない。
「40年やろう!」
「...えっ?本当に言ってるの?この人!あいつとは大違いね!」
僕とカラスを光が包み込む。カラスが羽ばたき近づいてくる。
「えっ、ちょっ!その!えとあと!体が動かないーーー」
どうやら自由は効かないらしい。なら、このまま委ねるのが一番。
カラスの嘴が僕の口に触れ、視界が真っ白になる。その間、硬い感触から柔らかい感触へと変化した。
目の前に映る光景は...男の理想。天国である。
この、感触。キングダムバーガーでこの感触のイチゴパイが出ていたが、現実はもっと凄い。
柔らかい。ぷっくりして、柔らかい。
ずっと、このままでいたい...いや、さらなる高みへ!レッツゴー!
ちゅぅぅぅーー
柔らかい二つの膨らみの間にある液を吸う。
「んんんっっ!」
ちゅぅぅぅーー
なんだろう、この感触。駄目だ、癖になりそう
。舌も入れてしまえ。
「んんんっっ?!!?」
なんだ、これは未知すぎる。こんなにも凄い感触。気持ち良い感触がこの世界にあったのか!
この世界に生まれて良かった!と初めて思えた!
これ、大丈夫かな?と心配になります。
特に最後。僕、したことないんですよ?イメージで書いてます。こんなイメージで大丈夫かな?




