特出したモノ
視界がボヤけ、体にはうまく力が入らない。
「あ、う...はぁ、ふぅ、はぁ、ふぅ...」
声も出せない。
だが、不思議と思考回路は平常運転。
このまま、死ぬのか。なら、いいのかもしれない。
僕の人生は、側から見れば楽に見えていた。
昔の友達には
「楽でいいよな」
「通信制とか、楽そう」
「お前は自由でいいよな」
楽に見えるからか、何か頼まれ事も多かった。
「お前なら、軽々とやってきそう」
「大丈夫だって、できるっしょそのくらい」
「あと、任せたわ〜」
実際は、何度も苦労している。
両親から年少時代からほぼ無視。
高校中退し、通信制へ編入。
小さな頼まれ事も失敗しないために、事前練習。
そんな、人生だ。
こんな人生、終わってくれ。
『それは、俺が困る』
「うっ...いってぇ」
背中に出来た斬り傷から血が、湧き出ている。
でも、痛いで済んでいるだけマシなのだろう。
「空は...?」
空の胸から、刃が堂々とその凶器の刀身を血で飾っている。
その背後では、ムゥミンが倒れている。
「は...っ...ぅ...」
親友が貫かれているこの状況。
飲み込めない。
飲み込みたくない。
「......っ」
強く目と手を閉じる。
「嫌だっ...嫌だっ」
少し見開き滲む視界の先にいる、親友の胸から
から刃が消えていた。
「意味ない」
普段の空の口からは、絶対にでない口調。
「何を言っているんだ?この理想郷に、意味はあるだよ。なきゃ困る。だからさ、死ねよ」
何もない空間からモノクロの業火が現れ、一点を中心に渦巻いている。
「それも、意味ない」
「たわいごとを」
モノクロの業火はその勢いを増していく。
「まぁ、たしかに意味が無いわけじゃないか...俺に意味は無いけどな」
モノクロの業火が空に向かい襲いかかる。
「ヘルファイアか、モノクロだからモノファイアとでも?笑わせるなよ」
空はすでにヘルファイアの中心にいるというのに、空の口角が上がって、普段見せないような殺意のこもった笑顔を見せている。
「だから、どうした!魂すら焼き尽くす、ヘルファイアは高位魔術だ!いくら、弟でもひとたまりもない!」
「弟?真実を振りかざすな!この、偽りが!」
空が強く言い放った瞬間。
ヘルファイアが、元の場所(夕日)に同じスピードで戻り、更にその勢いを増している。
「なぜだ!熱い、ああぁ!あああああああああああああぁぁぁぁぁ!」
「はぁ...無様」
あれを空と言えるのだろうか?
普段の空は
悪魔の如く笑い、怒り、楽しみはしない。
むしろ逆とも言える。
控えめに笑い、怒らず、心から楽しめない。
そんなヤツだったはず。
思考回路がショートしてる。というより、錆び付いてる。
要するにぼーっとしてる。
あまり考えれない。
記憶は一応ある。
胸を触ってみるも、服が破けてるだけ。
傷さえない。
「どういうこと?」
それに目の前の世界は、色付ている。
夕日兄さんの能力は消えたらしい。
そして、目の前にある小さなチリが舞い上がる。
その風が焦げ臭い。
「何がどうなってるんだ」
CAS組のみんなは?
夕日兄さんは?
僕は?
一体全体どうなってるんだ。
いやぁ、1ヶ月ぶりです。
気づいたら、もう1ヶ月。
いろんなことありましたよ、ほんと。
こんな感じで、毎月の終わりぐらいに投稿すると思います。
完結するまで、どうぞ温かい目でお付き合いください。




