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姉弟戦争  作者: 雪水 湧多
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沈み始める心と体

少し送れてすみません。

これからはできたら1週間に一度の投稿。無理なら2週間に一度です。投稿曜日は土曜日か日曜日です(多分)

沈み始める心と体


カンッ!カンッ!

台上の上で繰り広げられる攻防。

カンッ!カンッ!

ひたすらに打ち続ける。

カンッ!カンッ!

そろそろ疲れてきた。ならここで一気に決める!

カンッ!シュッ

下から球を持ち上げる振り方に変更する。

テクニックにより力より回転を重視させた球は弾道が直線から山なりに変化する。

ドライブ。純縦回転は回転が強い推進力を生み出す。そのため球が普通にラケットに当たった時には、球が上に上がってしまう。

もちろん全力。

だが、相手は動じずに

シュッ

放たれた球は更に強い回転になる。同じ純縦回転のドライブ。

帰ってくることは半分予想済み。

半分は決まって欲しかった。

瞬時に判断、球の軌道を読み即座に打つ。

カンーッ!ドン!

僕が生み出した即打ち。ドライブ回転を利用し即座にスマッシュを打つ。左足を強く踏み込み音を立てているため、帰ってきた場合返せない。精度は正直あまり良くないが十分決定打にはなる。結果は

カンッ

相手のラケットは速度の速い球を捉えきれない。

「あっ」

タン!タン、たんたん

球がワックスのかかった木製の床に落ちる。

「ヨー!」

「マジかよ、流石にあれは取れないわ」

「即打ちは正直俺にも取れる気しないし、そもそもやろうと言う人がいないでしょ」

「まぁ、そんなことやる奴はそらぐらいだし」

台下からタオルを取り出し額の汗を拭く。

「そうだな、後輩に教えても絶対失敗してるし大会でもやってる奴一人もいねぇし」

相手も同じようにタオルで汗を拭く。

「だろうね、いやー疲れたね、そろそろ帰るか」

「そうだな、帰るかもうお昼だろ?もりん」

「その呼び方やめろって、カウンター王子」

「やめろ痛い、というかそれはそもそも中学時代の副部のあだ名だろ?今は演劇部だからな?思ったけど演劇部に現役高校生卓球部が負けるってどうなの?」

「うるさい、お前が演劇のくせに強いんだよ」

長引きそうだ

「はいはい、さて片付けて帰るぞ」

「へーい」

僕達は中学一年からの付き合いで同じ卓球部に所属していた。とある理由で僕は高校ではやめてしまったが、もりん...森下亮もりしたりょうは続けている。続けている理由は聞いたことないが、卓球が好きなことは確かだ。俺も好きではあるが...

「手を止めるなよ、空」

「ごめんごめんごめめめめめめめんごんご」

「謝る気は?」

「無い」

「おいおい」

僕達はモップで市民体育館の床を拭く。

一通り終わらせるともりんが

「昼食べ行こうぜ」

「いいね、いいよ。どうする?またいつも通りキング?」

「あそこは俺らの寄り合いどころだ」

「そうかいそうかい」

キングというのはキングダムバーガーショップというアメリカから来たチェーン店。俺らのいつもの場所だ。困ったらいつもキングである。

ちなみに看板はK。決してMではない。

こうして僕らはキングに向かう。


キングに着いたら何も言わずコンセントのある席へ直行。僕らはいつもコンセントの席に座りたがる。この田舎のキングには四ヶ所しかコンセントがないから。理由はもちろん携帯を充電するため。席に着いたら携帯を取り出し充電しつつロックを解除しキングアプリを起動する。

「何にする?」

「僕は携帯クーポン使うよ」

キングアプリはクーポンが手に入るのだ。期間で変わるが、結構便利。最低でも50円は値引きされるためお金のあまりない僕らからすれば重宝される。

「何がある?」

「いろいろあるよ、ほら」

携帯見せる。

「空は何にする?」

「いつも通り、レタス&ベーコンバーガー」

「好きだなぁお前も」

こんな感じで休日はもりんと卓球しに行く。毎回ではないが数少ない僕の楽しみだ。

そして行くのは全然構わないのだが、行きは。

問題は帰った後。

僕には姉がいる。二つ歳が離れている。

正直苦手。そうでなくても苦手。

とにかく何が何でも苦手。

だって、姉はいつでも僕を奴隷のような扱いをしてくる。そのくせ僕が何か頼むと、嫌がる。

完全に一方的。

そんな、自己中な姉がいる。いつでも突っかかってくる。家に帰れば『おいニート、遊んでないで勉強しろよ』の一言。

理不尽だ。運動も大切だろうに!


「はぁ」

時刻は午後5時半。

現在自宅の玄関前。

玄関を突破する勇気がない。

ここに姉がいると思うと喉に違和感を感じる。

胸が苦しくなる。体が縛り付けられたように痛い。

そう、ようはストレスを感じている。

それでも家だから入らなければならない。

(さて行くか)

覚悟を決め玄関を突破する。

そのままリビングへ直行。だか、直行するにも子供部屋(姉が占領し既に姉の部屋)の前を通らなければならない。子供部屋は大体ドアが開けっ放し(姉がガサツだから)。直行すると丸見え。それでも直行する。

(僕はリビングの方が落ち着くんだ!)

その一心で歩み続ける。

そして結果は...

「おいニート、遊んでないで勉強しろよ」

(ふざけるなぁぁぁ!)

なんてことだ。本当に予想した通りのセリフ。

「なんとか言えよクソニート」

...

「黙るのかよ、クソニート」

......

「うんとか、すんとか言ってみろよ」

「すん」

ドゴッ

鈍い音。姉が近寄ってきて僕の鳩尾に右手で殴ってきた。その痛さに悶絶しその場に倒れこむ。

痛い。

パンッ!

今度は足で蹴ってきた。

「調子乗ってるんじゃねぇよ!クソが!」

パンッ!パンッ!...パンッ!

なんども蹴られた。

そのうち気が済んだのか蹴るのをやめスマホをいじりだす。

数分倒れこんでいると

「邪魔だからさっさとどっか行け」

少しずれるとドアを閉められた。ドアが左手の二の腕をかすめる。

痛みを我慢して立ち上がる。そのままリビングへ行きソファに倒れこむ。

今日はご機嫌斜めな模様。

正直言ってマジでやめてほしい。

わかっている、あの行動は良くないこと自体。

でも我慢するしかない。今に始まったことではないから。やり返すとその倍で返ってくることは検証済み。だからやり返えさない。

親にも言ったところでその後僕がまた姉に怒られる。


いつかは殺ってやる


きっとその日は遠くない。近い未来。

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