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鳴子たる森  作者: 花美輪 乃霧
第一章
15/20

15 噂

 私たちは頬を蕩惑させながら濃厚かつ美味なる料理を囲み、雑談をはじめた。これは料理の持つ魔力とでも言うのだろうか。見ず知らずの人たちとこのように和気藹々と語れるのも、このすばらしい料理があってのことだろう。

 老婆が廊下に消えてからも私たちは料理の美味さを全員で褒め称えていた。その後、氏名や出身、旅行の目的などを宿泊者同士で語り始めた。

 金髪女と痩系男は私たちとどうやら同じ目的で宿泊しているらしい。

 眼鏡と白髪の四十代は趣味の旅行でここに宿泊しているようだ。結婚してから毎年旅行を計画しているとのことだ。

 宿泊客が共通する総意的な理由としては、やはり宿泊代が安いということである。このような料理と温泉付きでこの値段は安い。

 おまけに少々の展示物もあり、客が少なく静かである。

 四十代の夫婦は旅行に詳しいようで、この温泉宿の周辺地域にも幾分詳しかった。

 夫婦が言うには、この地域には森林浴を目的に来訪する観光客が多いらしい。また林道を北に行くと滝、無料の露天風呂があるとのことだ。

 一応観光地ではあるが、雑誌に載るほどの観光スポットではなく、有名所を制覇した旅行マニアが来るようなところと語っていた。それでも観光時期になれば、それなりの人数になるのだろう。この温泉宿の駐車場や客室の数は少ないが、ここ以外にも数件宿があるようだ。

 さらに金髪と痩系の好一対がインターネットで見つけた噂を話始めた。

 彼らの話によると、この地域一帯で神隠しの噂があるようで、何人かの観光客が行方不明になっているという話だ。また、この地域には以前集落があったようである。その集落がまだ森林のどこかに存在し、観光客を神隠しにしているというものだ。四十代夫婦はその話に深く頷きながら聞いていた。彼らもインターネットで情報を集めていたのだろう。

 私たちは安い静かそうな温泉宿泊所を見つけ意気揚々と予約しただけであり、そのような情報までは調べなかった。

 そのような噂が流れるのは、あの暗い林道を走ってくれば判らないでもないが。森林生い茂る地域には付き物の噂である。富士の樹海など噂どころか、実際に自殺志願者の遺体や遺書が毎年発見されている。それに比べたら可愛い物である。所詮噂は噂である。

 私たちはそのような会話をした。

 一通り食事を済ませ、雑談をしていると老婆と仲居二人が食の間に入ってきた。

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読まれる方へ
これは実際の呪術を使用して執筆された手記です。
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