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予知帳
ガチャッ、ドタドタドタドタ!
玄関の扉を荒々しく開け、靴を脱ぐのも億劫で土足で上がり込む。
親は共働きでこの時間は家にはいない。
机の上に置いていた予定帳を手に取り、とりあえず呼吸を整える。
荒い呼吸を繰り返しながら、何故こんなことにも気付かなかった!と、自分を叱咤する。
熟読したわけではないが、流し読みした時点で気付けることだった。
これに書かれていることの中には、明らかに「予定」ではないものが混じっていると。
「確か、このページの.....違う。次のページか」
「あった、これだ………」
”8:30 担任、岸本京香がドアを壊す”
考えてもわかるわけはないが、考えずにはいられない。
これは一体どういうことだ?
「こんなの、まるで……」
"予知"、ではないか。
あり得ない。実際に目の前で起こったが、信じない。
それが俺、進藤新平という男だ。
何か必ずタネがある。
隠されているであろうトリックを見破るべく、このふざけた"予知帳"に書かれたおびただしい数の文字を熟読するのであった。