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岸本先生奮闘記

この学校は少し変わっている。


入学式の次の日から早速授業が始まるのも変わっているし、類稀な変わっている生徒が多い。


去年までは保健体育の授業を何クラスかと、3ーCの副担任を受け持っていたが、今年からはこの2ーBの担任だ。


憂鬱だ。


現在、この学校の六人の問題児がブラックリストに載っている。


ブラックリストといっても、職員会議でよく名前が挙がる率が高い生徒上から六人だが。


何故六人なのかというと、この六人がダントツであるからだ。


もはや異常である。


富岡高校七不思議と噂されるまである。


ここにきて、七不思議ならば七人では、と問われるかもしれない。


知るか。


そんなどうでもいいことよりも今私が抱えていることの方がよほど大事だ。


六人の問題児のうち、2人が私の受け持つクラスにいるのだ。


泣きたい。


去年副担任を受け持った3ーCにも一人いた。(因みにそいつは今年も三年生だ)


こういった理由から、この学校は少し変わっている。


授業が始まって二日目。


うちのクラスの一人、雪ノ原真冬が午後の授業をサボった。


どうやら彼女は一年生の時からサボり癖があるようで、ある時フラッといなくなるそうだ。


問題行動を起こしてないのだったら別に構わないのだが、余りひどい場合はなにか手を打たなくてはならないだろう。


非常に面倒くさい。


一方、もう一人の問題児こと進藤新平はというと、大人しいものだった。


若干、というかかなり、コミュニケーション能力に難がありそうだが、その程度だ。


無口でそこそこ顔も良いので、モテているようだ。


そういえば進藤が桜に告白されていたのも昨日だったな。


今日で授業日3日目。


朝のHRを始めるべく、2ーBのドアの前で気合を入れる。


よし、いくか。


少し強めにドアを開ける。


「はい、皆んなおはよー!」


ガラガラガラガラバキッ!ヒュー、ガシャーン!


「.....あ、やばっ」


ドアがレールから外れて、そのまま奥に倒れてガラスの割れる音。


完全にやらかした。


生徒たちはビックリして固まっている。


とにかく速やかに片ずけなくては。


ガラスを掃くために箒とちりとりを取りに行こうとしたら、進藤新平がいきなりガタンと立ち上がり、


「これはまさか!」


と、教室を出て行こうとした。


慌ててドアの前に立ち塞がり、「ガラスとか危ないから座っててね」と止めたが、彼の表情は何かにとても焦っていた。


「ええい、邪魔だ!」


モミッ。


「きゃっ!」


「今日は帰りますお疲れ様でしたっ!」


...............揉まれた。


何を、とは言わないが揉まれた。


「まて糞ガキーーーー!!!!」


絶対殴る。そうじゃないと気が済まない。


そう決めて走り出したが、一階まで追いかけたところで一人の男子生徒に声を掛けられて、やむを得ず中断する。


「どうしたの?」「」


息はかなり上がっていたが、平静を装う。


見た感じ新入生だろうか。制服姿が初々しい。

「あの、放送室ってどこですか?」




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