ポッキーに塗られた毒
謎の女(同じクラス)からの告白の際、
全財産(326円)を失った俺は、日課となっている昼休みに購買でポッキーを買うこともできずにいた。
糖分をポッキーにより摂取できないことで溜まったイライラを、大人しく席について激しく貧乏揺すりをすることで紛らわしていた。
すると1人の男子生徒が話しかけてきた。
「おっ新平。今日はポッキー食べてないんだな」
こいつの名前は木原悠斗。何故かゆーちゃんと呼ばれると凄くキレる。
高校一年生で同じクラスになった時から俺の友達を自称している。鬱陶しいし胡散臭いから二年になって別のクラスに分けられることを願ったが、あいにく今年もクラスメイトだ。
当然、こいつの事も信用ならない。
未だ尻尾を出さないが、なにか裏があると俺は踏んでいる。
「実は俺ポッキー持ってんだ。食うだろ?一本やるよ」
そう言ってポッキーを差し出してきた。
なるほどな。古典的な手段だ。恐らく毒が塗ってあるのだろう。他の奴なら無理だろうが俺なら見抜ける。甘く見られたものだ。
「ふん、そのポッキーをおれに食べさせたかったら、まずは自分で食べてみろ!」
「んあ?」
「ククク、できないのか?できないよなぁー!何故ならそのポッキーには毒が、、、っ!」
「いや、フツーに食えるけど」
パキッポリポリ。
「ば、バカなっ」
はっ!わかったぞ。奴は俺がこう言う事を予測して、わざと一口目には毒を塗らなかったのか。ならば本命は二口目である
中心部分、、、。
「おのれ策士め!しかし俺は見抜いているぞ!二口目以降には毒が塗られて、、、っ!」
「、、、くくっ!ぷっくく!、、、お前、最高っ!」
「なっ!笑うなっ。ええい何が可笑しい!」
堪らずといった様子で吹き出す木原悠斗は、残ったポッキーもポリポリと食べて自分の席に帰っていった。
「毒は塗られてなかったか。食っとけばよかった」
まぁ、危険は可能性から排除するべきだと納得し、午後の授業の準備を始めた。