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正体
突然、私の目の前に、大きな影。
それは、近くの水場に水筒の水を汲みに行っていた、ジークだった。
ルキと私の間に、そびえたつように佇む。
「わ、わわ…」
ルキが慌てた声を出す。
私はジークの横へと出て、ルキを睨みつける彼を制するように腕を掴んだ。
「ジーク、この人はルキ…さん。 別に悪い人じゃないわ」
言いながら、私は自分に驚く。
さっき、会ったばかりで。少し、話しただけなのに。
(なぜ、悪い人じゃない、なんて思ってしまうのかしら……?)
ジークは尚もピリピリとしたオーラを崩さなかったが、それを気にも留めず、
「さん、なんてつけなくていいよ。 たぶん同じくらいの歳だし……ね?」
ルキは笑顔でそう言う。
「う、うん……」
私が咄嗟にそう答えると、嬉しそうに頷いた。
が、しかし。
ルキが、ジークの方を見た瞬間。
彼の表情が、一気に真剣なものへと変わった。
そのギャップに、私の心が飛び跳ねる。
「ねぇ、君さ……」
話しかけられても、ジークはただただ不機嫌そうに、ルキを見下ろす。
そんなジークに向かって、ルキは少し目を細め、そして声を潜めると、こう言った。
「竜、だよね?」




