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始まりは綺麗だと限らない


これは僕の人生を拾ってくれた1人の変わった女の子と僕のお話、きっと俺は死ぬまで、いや死んでも忘れることのない短くて長い話だ



遡る事2年前



『……だから、別れよ』


三人目だった。

もう、驚きもしない。


「……そっか」


自分でも驚くくらい、声は冷静だった。


「ごめんね」


「いいよ」


軽く笑う。

本当に、どうでもいいみたいに。


「……最低だね、そういうとこ」


彼女は最後にそう言って去っていった。


「……」


一人になる。


(最低、ね)


—— 一人目は、別れたあとに噂を流された。

女たらし。

軽い男。

適当に付き合って捨てるやつ。


事実じゃない。

でも、訂正する余地もなく広まった。


——二人目は、目に見えて冷めていった。

話してても、上の空。

笑わなくなって、

最後は“なんとなく”終わった。


(……全部、同じだ)


最初はいい。

でも、どうせ終わる。


遅いか早いかの違いだけ。


「……」


ため息をつく。


(だったら最初から、好きになるなんて、)


恋愛なんて。


人を好きになる気持は

もっと綺麗なものだと思ってた。


でも実際は——


汚くて、

曖昧で、

簡単に壊れる。


綺麗だと思われがちだ。


「三香見ー!」


後ろから声。


振り向くと、水野蓮。幼稚園、いや病院からの腐れ縁。紛れもなく"親友"だ


「また振られてんの?」


「まあな」


「何人目?」


「三」


「記録更新じゃん」


軽く笑う。

こいつは、こういうとこで変に踏み込まない。


「……もうやめるわ」


「何を」


「恋愛」


「は?」


蓮が少しだけ眉を上げる。


「どうせ終わるし」


「人を思う気持ちは、綺麗なわけじゃない...」


「……」


一瞬、沈黙。


「まあ、お前がいいならいいけど」


深くは聞かない。


でも——


「お前はそれでいいのか?」


「は?」


『お前を見ない奴がお前を語るのは気に入らない』


本心だった。


「...」


言葉がうまく出ない。


教室。


「三香見ってさ、雰囲気あるよな」


「文化祭楽しみだなー!」


「やっぱりリーダーって感じで」


周りが騒ぐ。


「……ありがと〜」


適当に流す。

でも、友達との関係は大事にしてるつもりだ。

だから少しでも愛想良く返す。


(でも、やっぱり疲れてしまうのはなんでなんだろう。)


人が見てるのは“立ち位置”だけだ。


中身を


誰も見ようとしない。



昼休み。


廊下を歩いていると——


ドンッ


肩に軽い衝撃。


「……っ」


振り向く。


「ごめん!」


「ん?久しぶり、?」

女の子。


黒髪。

整った顔。

よく見ると、かなり美人。


でも——


それより先に目に入ったのは、


その“目”。


「…は?会ったことあるっけ?」


一瞬、その女の子は傷ついたような顔をして。


反応する間も無くなおった。


「あれっ、?いやごめんなんでもない!」


「えっと、当っちゃったよね大丈夫?」


一歩近づいてくる。


距離が、近い。


「……平気」


「ほんと?」


さらに一歩。


「……」


近い。

近すぎる。


「怪我してない?」


覗き込まれる。


目が合う。

逸らせない。


「……してねえよ」


「そっか」


にこっと笑う。


明るい笑顔。


——のはずなのに。


「よかった」


その言い方が、


妙に引っかかる。


そして——


「ちゃんと痛い?」


「……は?」


一瞬、意味が分からない。


「……」


(なんだこいつ)


一瞬、空気が抜ける。


「じゃあね」


軽く手を振る。


そのまま去っていく。


「……」


妙な違和感だけ残る。


(ちゃんと痛いってなに、)


「知らねえの?」


後ろから声。


蓮。


「誰だよあれ」


「あー」


少しだけ考える。


わぼり きょうか

「和堀京薫」


名前が落ちる。


「隣のクラスの優等生」


「優等生?」


「成績トップ、顔よし、性格よし」


「まあ人気者だな」


「……」


納得はする。


でも——


「ただ」


蓮が少しだけ間を置く。


「ちょっと変って話もある」


「変?」


「まぁ知りたいんなら見てみろよ、中身を見てほしいならお前が中身を見ることから始めろ」


肩をすくめる。


(結衣斗が目を見開く)


「確かに、、」


「…変ってどんな風に、?」


「ん?なんかズレてるって聞くな、」


(確かにさっきのも、、)


「まぁいいや、購買行こうぜ」


2人並んで歩きながらも頭から離れない。


“変”。


その一言が、


なぜか妙にこびりついた。



放課後。


昇降口。


靴を履き替えようとした時——


「ねえ」


声。


振り向く。


さっきの女——京薫。


「……なんだよ」


「三香見くん、だよね」


「……なんで知ってんの」


「有名人じゃん」


笑う。


自然に。


でも——


「探してた」


その一言で、


空気が変わる。


「……は?」


そして——


「三香見くんってさ、ちゃんと壊れる顔するよね」

 


目を見て続ける。その瞳を鮮明に覚えている。



「教えてよ、君はどんな色をして、どんな音が鳴るのか」


「……は?」


思考が止まる。


「なにそれ」


「なにも〜、」


一歩近づく。


また、距離が近い。


「まぁ、」


少しだけ首を傾ける。


「私は君の噂、知ってる」


(噂、?あぁ、そっか、こいつも結局そうだよな、)


「でも、そんなのどうだっていい」


「…えっ?」


予想外。


「私には関係ない、」


初めて聞いた、そんな言葉。


でも——


目が逸れない。


「でも、俺」


遮られる。


「うるさい」


「え、」


「私は"君"を見てるんだよ」


一瞬。


沈黙。


「…は?」


「君の噂も、過去も」


また笑う。


「関係ない、君だから私は知りたいの」


そして——


小さく、続ける。


「あ、でもあの時だけは関係あるか、」


「なんか言った?」


違和感、なんかズレてる、?


というか、


ズラされてる、?


「…いや、なんでもない」


「なんだそれ」


楽しそうに笑う。


「分かんなくていいよ」


くるっと背を向ける。


「またね」


そして、振り返らずに——


「逃げないでね、君のこともっと知りたいから」


軽い声。


足音が遠ざかる。


でも——


その“匂い”は深く、重い。


妙に残る。



(なんだよ、それ、音とか色とかって、)


一人になる。


(変、だな)


優等生。

明るい。

人気者。


全部、聞いた通り。


なのに——


(なんか、普通とは思えない)


違和感。


でも同時に、


少しだけ引っかかる。


「……」


その正体は、


まだ分からない。


ただ一つだけ。


今までと違うのは——


「……」


(ちょっと楽しい、のかも、)


そう思ったのに、


なぜか頭から離れない。


というか——


離れられない。


後ろから衝撃。


「やっぱり一緒に帰ろ!」


バイバイしたじゃん、、はっ、、


つまらない日常に水が落ちたんだと思う。

その波紋は、広く、遠く広がっていく。


それが俺と京薫の出会いだったんだ。

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