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心を落ち着かせたアルナは親友のことを思い出した。
慌てて制服のポケットに入れた魔法通信機を取り出すとメッセージが届いていた。
『寮に到着したわ!寮の談話室で待ってるわね。』
メッセージは10分程前に来ていた。
慌ててアルナは談話室に急いだ。
談話室はシックなソファと机がたくさん置かれており、既にたくさんの学生が団欒していた。
アルネはこちらを見る視線を感じつつシェリーを探した。
右奥を見ると複数の女子生徒が1人の少女の話に聞き入っていた。
ライムグリーン色の腰まであるロングヘアをハーフアップでまとめ、上品な出で立ちをしたその美少女はソファーに腰掛けていた。
「シェリー、遅れてごめんね!」
「アルナ、やっと来たのね!皆さんごめんなさい。
友人がきたのでお話はまた今度ね。」
「シェリー様、こちらの方は?」
「ハーストン子爵家の令嬢、アルナ嬢よ。私の幼馴染。父親同士が仲良しで昔から家族ぐるみの付き合いなの。」
「アルナ・ハーストンです。仲良くして下さると嬉しいです。」
「もしかして噂で聞いたのですが、ハーストン子爵家の箱入り娘ですか?見目麗しい一族と聞きましたが、納得ですわ!」
「え?箱入り娘?確かにパーティとかお茶会なんて面倒くさいからってあんまり参加してなかったけど、そう言われてたとは…。」
「アルナ、私が誘っても頑なに参加拒否してたものね。そう言われるのも無理ないわよ。」
周囲がザワついてきたため、2人は目を合わせた。
「ここにいると2人でゆっくり話せないわ!私の部屋に移動しましょう!」
こくりとアルナが頷いた。
「では皆さんごきげんよう!アルナ、着いてきて。」
そう言うとシェリーはアルナを先導する。
「あれ?シェリー?こっちの廊下じゃないの?」
「私はあそこの廊下から来たのよ。もしかしてアルナと私の部屋って棟が違うのかしら?」
寮の部屋はシンプルな間取りの部屋と、より広くソファーや大きいベッドがある豪華な部屋の2ランクある。
裕福で使用人を出入りさせたい生徒は豪華な部屋を選ぶ傾向にありシェリーはそのパターンだった。
アルナは持て余しそうだからと父の提案を断ってシンプルな部屋にしてもらった。
その結果、シェリーの部屋はアルナの部屋とは別棟だった。
学園の地図をアルナとシェリーは見つめお互いに寮の場所を再確認していた。
「部屋のランクで学生寮の棟が別れてるわけね。え?全部で4棟?多くない?」
「男女に別れてるからでしょ?女子寮は部屋のランクで分けて2棟だから、男子寮も同様でしょ?合計4棟!」
「なるほど。さすがマンモス校だね。じゃあシェリーの豪華なお部屋を拝見させてもらいます!」
「ふふふ。どうぞお入りください。」
中はアルナの部屋より広く内装も豪華だった。
シェリーに部屋を見せてもらっていると机に新聞がおいてあった。
見出しには『魔法騎士団、邪龍退治に成功』と書かれていた。
アルナは気になり思わず新聞を手に取った。
魔法騎士団とは、魔法を使って戦う『魔法騎士』で構成された団体である。
名だたる貴族も所属しており、命をかけて王国を守る英雄として、国民に大人気なのだ。
実はアルナの父ハリスも昔所属していたらしいのだが、詳細は話してくれず、アルナにとって気になる
団体であった。
「邪龍って東部に現れて大問題になってたよね?お父さんが手強い魔物だから倒せるか心配してたけど、さすが魔法騎士団だね!」
「記事によるととどめを刺したのは15歳の青年だそうよ。あの4大公爵家のひとつ、ペンドルトン公爵家の子息だったかしら?実はロナウド様も邪龍討伐に参加したらしいんだけど、結構大変だったみたい。」
「ロナウド殿下もって王族も討伐に参加してたの?本当に大事だったのね…。」
「私に心配かけたくなかったからって事後報告だったのよ!婚約者の私にぐらい一報入れて欲しかったって怒っちゃったわ!」
「そうだ!ロナウド殿下といえば、婚約おめでとう!やっと両思いになったんだね。」
ブライス辺境伯の長女 シェリーは第2王子であるロナウド・ハーウッドに一目惚れされて熱烈なアプローチを受けた結果、先日やっと正式に婚約者となったのだ。
「元々子爵と辺境伯で身分差あったけど、王族の仲間入りしちゃうのか。流石に接し方を変えないといけないかな…。」
「ダメ!アルナはそのままでいて!さっきの談話室で寄ってきた子達、あからさまに私の家柄目当てで擦り寄ってきてたのよ。
あんな友人嫌よ。家柄抜きでへりくだらずにありのままで接してくれるアルナが大好きなの!」
「シェリー!私も大好き!」
2人はぎゅーと抱き合って笑いあった。
「そういえばロナウド殿下もこの学園に入学されるんだよね?同級生になるの?」
「そうよ。アルナもロナウド殿下も同じクラスになれたらいいのだけど。
明日入学式とオリエンテーションの間の休憩時間でクラス発表がされるらしいから、掲示板一緒に見に行きましょう!」
「うん!」
2人のおしゃべりはそのまま盛り上がるのだった。




