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アルナは自分の部屋に入り荷解きを済ませると、入学案内にあった学園の地図を片手に早速図書館を目指し探索を進めた。


図書館に着くとアルナはその広さと書籍の多さに驚いた。

名門の魔法学校だけあって知識の宝庫というのは本当だ。

いろんなカテゴリに分けられた本棚に目移りしつつ、友人の到着待ちで時間は限られているため、今日はヴァンおすすめの魔法薬の本だけ読むことにした。

魔法医学にカテゴリ分けされた本棚に迷いつつたどり着いたアルナは気になる魔法薬の本を1冊手に取り読みふけった。

あっという間に読み終わり次の本を物色していると、アルナは目を見開いた。


(あの高い棚にある赤い背表紙に特徴的なフォントの銀文字が刻まれた本は!絶版して入手困難な魔法薬の本では?是非読みたい!)


しかし、長身の男性でも届かない、かなり高い棚に本は置いてあり、アルナの身長では届くわけがない。

困ったアルナは周りを見渡すと、近くに運良く古びた木製の脚立を見つけた。

これ幸いと思いアルナは脚立を持ってきて登る。

思ったよりも高さがあり一瞬恐怖したが、本への興味が勝り、アルナは気にせず登る。

もう取れそうとアルナが本に手を伸ばした時だった。


ミシッと嫌な音がしたと同時に足を乗せていた脚立の足場の板が割れてしまった。

アルナはそのまま足を滑らせて脚立から落ちていく。

落下の衝撃を覚悟して目を瞑り身構えたアルナだったが痛みがこない。

落ちる直前に誰かがキャッチしてくれたようだ。

お礼を言おうと恐る恐る目を開けるとアルナは目を疑った。

人型の黒い煙の塊に抱っこされていたのだ。

凝視すると黒い煙は呪い特有の瘴気で毒々しさが感じられた。

背筋がゾワゾワしたアルナは「ひゃあー!!」と叫ぶと反射的に黒い人型の塊の顔に浄化魔法をこめたビンタをくらわす。


「いてぇ!」という声が聞こえると、瘴気は消えて赤目で黒髪の精悍な顔立の青年が現れた。

青年はアルナのビンタをうけても倒れることなく、アルナをお姫様抱っこしていた。

青年の頬にはビンタの跡は赤く残っていた。


(人が落ちてきたところをキャッチして助けたのに、ビンタされて…これ私怒られるやつでは?)


アルナは恐る恐る涙目で青年を見つめると、青年の顔が目を見開き頬が赤くなったかと思うとすぐ険しい表情になった。


「お前今なんか魔法使った?」


青年はそう言うとアルナを抱く手に力がこもった。

アルナは恐怖で震えた。


「ご…ごめんなさーい!」


アルナはそう言うと転移魔法を発動して全力で逃げた。

転移直前に「ちょっと待て!」と声が聞こえた気がするが、パニックになったアルナに気にかける余裕はなかった。

この判断が後に後悔することになるのだった。


転移魔法で青年の拘束から逃れ、図書館の出入口まで転移したアルナはダッシュで学園寮に向かった。

学園寮の自分の1人部屋に逃げ込むとへなへなと座り込み、頭を抱えた。


人前で浄化魔法を使ってしまった。

学園に着いて早々図書館に行ったことが間違いだったのか?

けど図書館であんな黒い化け物がでるなんて誰が想像できる?

いや、黒い化け物じゃなくて呪いをかけられた青年か。


あんな酷い呪いをかけられた人を見るのはアルナは初めてだった。

呪い特有の瘴気をあんなにまとって青年の身体は大丈夫なのか?

青年が心配になってきた一方で全力でビンタしたことをアルナは申し訳なく感じた。

謝罪は言い逃げみたいになったし、青年を探すべきだろうか?


しかし、青年は何かしら魔法をかけられたことに気がついていそうだった。

青年に会えば浄化魔法をかけたことを言わざるえないわけで、それはアルナが浄化スキル持ちであることがバレる。それはまずい。


アルナは色々悩んだ結果、何もしないことにした。

そもそもこの学園はマンモス校で青年を見つけるのは至難の技だ。

逆を言えば青年に会う可能性は低い。

身バレもしていないのだから、青年がアルナを見つけるのも難しい。

青年に二度と会わなければ、問題無いはずと楽観的に考えたのだ。

助けてもらった青年にビンタをくらわせてしまったのは心が傷んだが、アルナは心を切り替えることにした。

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