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番はなかなか出会えない  作者: さうざんと


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1/1

番はなかなか出会えない。

 アルスは胸に衝撃を受けた。血潮が噴き出る。衝撃と痛みが彼に致命傷であることを教えてくれた。


 目の前ではイリスが叫んている。


 アルスは、ただ、イリスを悲しませてしまった、と思った。そして意識が薄れていく……


 二人は、隣接していながら仲か悪い貴族の家に生まれた。最も両家とも流石に社交には出ていた。同じ会合や宴に出ていたこともあり、そのおかげで2人は出会えた。二人とも一目ぼれ。家族の目を盗んてこまめに会い、語らい、やがて、かけがえのない仲になっていった。しかしこのままでは2人が結ばれる目はない。よって、二人は力をつけることにした。アルスは騎士として。イリスは魔法使いとして。二人は美しさと強さを兼ね備えた騎士、魔法使いとして修行し、国の為に尽力し、評判と地位を高めて行った。そう、両親も下手に物を言えなくなるくらいに。


 しかし、それが思わぬ障害となる。


 その地位と名声、能力と美貌故に、アルスは国の王女に、イリスは隣国の王子にそれぞれ見初められたのだ。


 もちろん二人は従う事は出来ない。かと言って王女と王子の命であり、多くの人に多大な悪い影響がでる。なので、二人は密やかに国を出て、影響が及ばない第三国へ逃げようと計画した。


 しかし王子も王女も彼らの動向に注意を向けていた。それゆえに彼らの計画は漏れてしまった。


 王女は、アルスの心が自分に向かないと分かると憎悪に駆られ、彼を殺害することを決めた。


 王子はイリスの心が自分に向かないのを知ると、障害となるアルスを殺そう思った。そしてイリスを無理やり妃にしようとした。愛がなくともその能力は惜しいし、時が解決すると信じて。


 勇猛無比のアルスといえど、二つの国の有力者の暗殺者を差し向けられては敵わない。準備もそこそこにイリスと手を取り逃げ出す。


 そして、第三国の国境まであと少し、と、言うところでアルスは追っ手に打たれたのだ。


 王子と王女の軍勢が近づく中、二人は抱きしめ合う。


 アルスは、朦朧とする意識の中、イリスに伝えた。


「い、りす、すま、ない。ご、めん。いき、て。もし、らい、せがあれ、ば、いっしよに」 

 

 ここでアルスはこと切れた。

 

 イリスは軍勢が近づくのを尻目に泣き喚いた。王女やと王子が近づいてくる。

 

 イリスはアルスの亡骸に語りかける。

 

「アルス、ごめん。貴方がいないと生きてても仕方ないわ。来世では、幸せになろうね」

 

 そして彼女は魔力を暴走させて辺り一面に業火となし、周囲の軍勢もろとも自らとアルスを焼き尽くした……

 

 ところかわって神の座。女神が目を泣き腫らしている。アルスとイリスの逃避行を最初から観ていたのだ。神にとっては僅かとはいわないが、そう長い間でもない。しかし、彼女は二人の運命に感動と憐憫を覚えたのだ。


 女神は、感情豊かであった。

 

「なんで、あんなに努力して国の為にに働いて、それで幸せになれないのよ!」

 

 そこで隣にいる夫の世界神を叩き起こす。彼は休みの日。実際昼になるまで起きない性分だ。突然起こされた夫の世界神は不満そうに妻に言う。

 

「なんだよ、たまの休みなんだからも少し寝させてくれよ」

 

「なによ、あんた。それよりさ、この子たち不幸なままじゃない! どうにか出来ないの」

 

 世界神は妻が再現したアルスとイリスの状況を見た。そして頭をかく。


「いや、な。神は基本的に世界の生き物には直接的な干渉できんからな。難しい」

 

「そんなこと知ってるわよ。でも神よ貴方。どうにかしてよ。せめて次の世では幸せにして」

 

「わかったわかった。一応絆を繋いでいる近くにいるようにしてやる。ああ、他の世界神が番とか言ってたな。元々相性はいいはずだから、どのような状況でも多分くっついて幸せになるだろうよ。多分……」

 

「そうなの? まあ、いいわ」

 

「あー、じゃ、飯つくってくれ」

 

 それから、妻女神はぶつくさいいながら御飯をつくる。


 神の世界での数日後。


 女神は仕事中の世界神のところに押しかけた。


「あんた! あの二人、なんとかしてよ!」


 少し仕事を離れ、手を休める世界神。


「おい、仕事中だぞ。何があったんだ?」


「どうもこうもないわよ。悲劇よ、悲劇。あの二人よ」


「どうした? 番だから一緒になってないか?」


「距離離れすぎ。二人とも辺境にいるのよ。しかも反対の方向。しかも歩いてくるのに1年以上かかるじゃない。あ、二人とも今魔物に食べられた」


「運がなかったな」


 あっさりした一言に妻は怒鳴った。


「ちゃんとして!」


「わかった、と、いっても細かい操作は難しいぞ。第一、人だけでもどれだけいると思ってるんだ? さらに……」


「取り敢えずなんとかして!」


「わかった」


 次の日。


「ちょっと、何してるのよ!」


「なんだ? ああ、あの二人か。確か近くにいるはずだろ。細かい操作はできないが、大体そんな感じに操作はしているはずだ」


「何言ってるの! 問題よ! ガーベラと牛なんで、なんの嫌がらせ? 第一、出会ってすぐに牛に食べられたじゃない」


「仕方ないだろ。魂と生き物そろえるだけで大仕事なんだぞ。生き物いくらいると思ってるんだ。天の星よりも多いんだぞ。それに憑依させる魂の数も足りないんだ。時間操作して未来や過去の魂持ってきたり、他の世界神から融通してもらったり、単細胞生物とか微細生物とかは魂一つで分 複数使ってなんとか間に合わせている状態なんだぞ。その上運命とかの操作? 過労死するぞ」


「そんなことはどうでもいいの! 全然違う種族しゃない。どうゆうことよ」


「…… 番だから必ずそばにいるはずだからな。たまたま種族が違ったんだ。運が悪い」


「何言ってるの! それをどうにかするのが貴方の仕事でしょ!」


「ああ、確かにそうだ」


 妻の訴えに、世界神は居住まいを正す。


「だがな、何度も言ってるが。生き物と魂を、配分するだけで手一杯。なるべく近くかつ同じ生き物、ましてや同じ時間に合わせるなんて、どれかはなんとかなるけど、全部は土台無理。」


「いや、そこをどうにかするのが貴方の腕でしょ」


「ああわかったよ!」


 世界神は怒って世界の調律を行った。


 その数日後。


「あーた、なにしやがったの!」


 夫たる世界神に怒鳴りつける女神。


「いや、あれでいいだろ」


「バカじゃないの! 無理やりくっつけるなんて」


「しょうがないだろ今有象無象の生き物扱ってるんだ! たった二つの魂に関与してる暇はない! むしろ頑張ったと言っていいね」


「何よ! 無理やり異生物くっつけるなんて! バカじゃないの?」


「大丈夫だ。相手は龍人。しかも相手を思いやる性格の良さ。いや、元々の魂の性格がいいんだな」


「バカ。相手はニワトリよ! 世界の理崩しそうな勢いよ」


「大丈夫。ちゃんと心は通じあってるさ。無体なことはしない。今の妻もいるし、ブラトニックな思いで生きていくよ。まあ、ニワトリの寿命は十年。時間はみじかいが充実した生活が、できるはずだ。まあバレなきゃいいんだよ、バレなきゃ。グレーゾーン。ま、子どもはできんからな。バレなきゃ問題ない」


 が、ここで二人は信じられないものを見た。


「嘘たろ! 誇り高い龍人が……」


「に、ニワトリとニワトリと……」



 呆然とする夫婦。先に復活したのは世界神のはうだった。


「いや、愛の力は偉大だな」


「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! どうするの? あ、卵を産んだ!」


「ヤバい、上司案件だ! 流石にシャレにならん!」

 

 ここで、世界神は仕方なく上司の銀河神に報告する。


「お前、なんてことしたんだよ。普通ならそんな組み合わせからは子ども出来ないだろう!」


「い、いえ、進化の際には交雑と言う例もありますから」


「あのな、それについてもちゃんと方向性きめて、進化の道筋立てるのが普通だ。流石にこれはないぞ。責任どう取るつもりだ」


 世界神は、しどろもどろ。


「あ、はい、この件に関しましては対策を、講じまして、今後は法整備を行い、遵守していきます」

 

 銀河神は世界神に念を押す。


「頼むよ。君には期待しているんだ。無理やり世界神に昇格してもらったんだ。今後このような不詳時をおこさないようにな」


 銀河神から離れると、世界神は緊張の糸が切れ、ぐったりした。


 そして妻の女神を、睨む。


「お前なあ、流石にあの二人、きにしすぎだろう」


「でも、しょうがないじゃない。かわいそうだもの」


「ま、取り敢えず法令作らなきゃな。なんとか問題点も現れてくれたしな」


「そんなことより、あの二人よ。どうするの?」


「ああ、ちょっと大変だが、種族をおなじにして、近くにいるようなマクロを埋め込むよ。これまで予算がたりなかったかりしたから無理だったが今なら何とかなるさ。ごまかして」


「そんなものなの」


「ああ、そんなもんさ」


 それから、この世界の番は、禁じられて行ってのであった。ただし近い種族は交雑することもあったが。




 

 

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